脊椎脊髄センター

せぼねの疾患は,肩こり,腰痛,手足の痛み・しびれ,麻痺の原因としてもっとも頻度が高いものです。現在日本が直面する超高齢化社会の中で,加齢・変性を基盤にした「せぼね」の病気による症状でお困りの患者さんの数も年々増加しています。当院ではこのような脊椎脊髄領域の疾患を取り扱う「脊椎脊髄科」として脊椎脊髄センターを平成24年10月に発足しました。当院の脊椎脊髄センターの特色は(1)脳外科・整形外科・神経内科が一致協力して診断・治療にあたり治療技術向上に努めること(2)放射線科との協力のもと,年々発展を遂げる画像診断学のさらなる発展を目指すこと(3)痛みセンターとの協力のもと,あらゆる痛みの克服にチャレンジすること(4)リハビリテーション科・運動療育センターと協力し,あらゆる身体機能の回復に向けた治療を行うことの4点です。日本国内で診断・外科治療・術後疼痛管理・運動療法まで集学的に治療が可能な唯一の脊椎脊髄センターです。

診療部門からのごあいさつ

部長  原 政人

【はじめに】
平成31年4月1日より脊椎脊髄センター長に就任しました原 政人(はら まさひと)と申します。平成24年10月に発足した脊椎脊髄センターをさらに発展させることができるよう全力を尽くしますので、よろしくお願いします。
さて、高齢化がますます進んでいる現在、脊椎脊髄疾患(背骨の病気)を患う患者さんは非常に増えています。私たちは強い力の重力のもと生活をしていますので、どうしても脊椎(背骨)は負担を強いられています。人生50年時代にはこんなにも多くの脊椎脊髄疾患はなかったものと思われます。しかし、人生100年時代に突入しようとしている現在、どうしても背骨には加齢変化が現われてしまいます。誰もが歳を重ねるわけですから仕方のないことですが、これとどう向き合っていくかが患者さんのみならず、私たち医療者の課題でもあります。
脊椎脊髄センターは(1)脳神経外科、整形外科、神経内科の協力のもと、診断・治療にあたること、(2)放射線科の協力のもと、画像診断能力の向上・診断技術の発展に努めること、(3)痛みセンターとも協力し、あらゆる痛みに対処すること、(4)リハビリテーション科・運動療育センターと協力し、身体機能の回復に向けた治療を行うこと、の4点を特色としています。日本国内では珍しい集学的治療が行えるセンターであります。今後もベルの高い治療を実践してまいります。

【私たちの理念について】
私たちが扱っている脊椎脊髄病変の中で最も多いのが、椎間板ヘルニア、脊椎症(骨の出っ張りにて神経症状をきたすもの)、脊柱管狭窄症などの脊椎変性疾患です。これらの疾患に対して、日本の最近の脊椎外科手術は脊椎固定術(世間一般が言うボルトでとめる手術)が主流になりつつあります。脊椎固定術は、すべての病態(症状の原因となっている部位の状態)に対応可能ですので、この流れに向かってしまうのも致し方のないことなのかもしれません。しかし、私たちは画一的な手術を行うことに疑問を抱いています。同じ病名であれば、同じ手術になってしまうことに違和感を抱かない患者さんも多いことだと思います。しかし、同じ病名でも、病変部位(神経症状を出している場所)の状態が異なれば、症状も違ってきます。まるで個性のように個々人によって症状が異なるのです。私たちが目指している『病態に合わせた手術方法を選択すること』は、色々と考えることも多く非常に手間がかかりますが、最小限の手術で最大限の効果を上げることが出来れば、患者さんにとっては恩恵が大きいものと思います。いわゆるオーダーメイド治療ということになりますが、これが本来の医療の姿であると考えています。
画一的な手術を多く行うことは、その手技に関しては早期に習熟できるので医療者にとっては良いことかもしれません。最近では脊柱の後側弯症など、脊柱の高度の変形をきたしている患者さんも多くみられます。このような症例では変形矯正のための脊椎固定術を行わざるを得ないこともあります。しかし、脊椎固定をしなくても症状を改善させることができると判断した症例では、困難でも減圧術(固定をしないで神経の圧迫を解除する手術)を選択するようにしています。
また、部門の名称は『脊椎脊髄センター』ですが、私たちは末梢神経の手術も手掛けています。しびれ・痛みの原因が脊髄、神経根にあるのみでなく(脳が原因でしびれをきたすことは一般的ではありません。)、末梢神経が原因になっていることが少なくないからです。しびれ・痛みの原因となっている部位を同定し、それが手術治療で改善させることができると判断したら、それがどこであろうと手術治療で何とかしようという姿勢で診療を行っています。もちろんすぐに手術をするわけではなく、薬物治療などを行っても良くならないもの、症状が進行しているものにのみ手術を勧めています。腰椎手術後に神経症状がよくならないfailed back surgery syndromeというのがありますが、私たちはこのうちの何割かは腓骨神経絞扼障害(下腿外側での腓骨神経圧迫による障害)ではないかと考えています。
多彩な手術を行うことは簡単ではありません。私たちが推し進めている低侵襲手術は、視野も狭く、大変難度の高い手術です。経験を積むことにより、より確実な手術になっていくのですが、若い世代は最初からその技術を直接見ることにより、最初から経験値を高く持っていくことが可能です。上級者が後進の指導をし、技術を伝承することが医療の発展には必要です。若い世代の脊髄外科医に多彩な手術手技が受け継がれるよう、今後さらに真摯に取り組んでいきたいと考えております。

主な対象疾患

腰部脊柱管狭窄症,腰椎すべり症,腰部椎間板ヘルニア,腰椎分離症,変性側彎症,黄色靱帯骨化症,後縦靱帯骨化症,頚椎症性神経根症,頚椎症性脊髄症,頚椎椎間板ヘルニア,脊椎脊髄腫瘍,脊髄血管奇形,頭蓋頚椎移行部病変など,あらゆる脊椎脊髄疾患を対象としています。


下記の各疾患名をクリックすると詳細ページがご覧いただけます。




業務案内

脊椎脊髄センターは,独立した部門になっており,現在脳神経外科医と整形外科医で運営されています。この他,神経内科,痛みセンター,放射線科,リハビリテーション科,運動療育センターとの連携のもと個々の症例に対して最適なアプローチを考えています。

手術について

手術の対象にしている疾患

当科では頭蓋頚椎移行部(頭から首に移行する部分)から腰仙椎にいたるすべての脊椎領域の手術を行っております。また、扱う疾患も頚椎椎間板ヘルニア・変形性頚椎症・腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・不安定腰椎症、脊柱後側弯症等の変性疾患、脊柱靭帯骨化症(後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症など)、脊髄腫瘍、脊椎腫瘍、脊髄血管奇形、頭蓋頚椎移行部病変、脊髄・脊椎外傷、脊椎感染症、先天奇形など多岐にわたります。
また、末梢神経絞扼障害の手術も行っております。疾患としては、手根管症候群、肘部管症候群、ギオン管症候群、後骨間神経絞扼障害、胸郭出口症候群、肩甲上神経絞扼障害、梨状筋症候群、腓骨神経絞扼障害、足根管症候群、前皮神経絞扼障害などがあり、ほとんどの末梢神経絞扼障害に対して対応しています。

特に力を入れている手術

(1) 低侵襲手術
  1. 経椎体的椎間孔拡大術(いわゆるkey hole surgery(キーホール手術): 固定をしない頚椎前方減圧手術):対象疾患は頚椎神経根症(椎間板ヘルニア、頚椎症による)
  2. 骨形成的骨化後縦靭帯摘出術(固定をしない頚椎前方減圧手術で、一度切り出した椎体を最後に戻して脊柱を形成します。高難度手術です。):対象疾患は頚椎後縦靭帯骨化症
  3. 可及的神経温存神経鞘腫摘出術(神経根ごと腫瘍を取り出す手術が多くなされていますが、術後に神経症状がよく出現します。私たちは、機能している神経を最大限に温存する手術を行います。)

(2) 脊髄髄内腫瘍の手術(後正中溝経由、後側方溝経由)

(3) 腕神経叢神経鞘腫摘出術 (非常に稀な疾患です)

(4) 胸郭出口症候群の手術(鎖骨上アプローチ; 非常に議論のある疾患です。手術がほとんど効果のないものも存在します。症状の改善が期待できるものに対してのみ、手術を行うよう心掛けています。)

(5) 腓骨神経絞扼障害・足根管症候群などの末梢神経絞扼障害に対する手術(現時点では一般的ではない手術です。手術にて症状の改善に乏しい症例も存在します。)

(6) 頸椎人工椎間板手術(当院では、2017年12月1日付で保険適応になった頸椎人工椎間板手術を行うことができます。)

外来受診について

脳神経外科・整形外科のそれぞれの科内に脊椎脊髄の専門枠が設定されています。紹介状をお持ちの方は,その紹介先に受診ください。紹介状がない場合にはどちらか受診を希望される科を受診ください。

キーワード

脊椎疾患,脊髄疾患,頭蓋頚椎移行部,手術,保存治療,集学的治療

関連リンク

連絡先

TEL
外線 : 0561-62-3311(代表)
内線 : 36800 35外来(9:00-17:15)