感染症科

2013年1月に設置された感染症科では,感染制御部感染検査室,感染制御部感染管理室と連携して,各種感染症患者の診療および感染症の伝播防止を行っています。感染制御部内に感染検査部門である感染検査室が組織されていることは科学的データに基づいた診療を行うには最も適した体制であると言えます。感染症科では,感染症患者全般の診療,不明熱の診断・治療,HIV感染症診療,渡航者感染症診療,院内発症の感染症の診断・治療を行っています。

診療部門からのごあいさつ

部長 三鴨 廣繁

部長 三鴨 廣繁

2013年1月に新たに設置された感染症科では,感染症専門医・指導医,抗菌薬化学療法認定医・指導医,抗菌薬臨床試験指導医,日本医真菌学会認定専門医,日本性感染症学会認定医,インフェクションコントロールドクター(ICD),日本東洋医学会専門医・指導医等の感染症や感染制御に関するさまざまな専門的な資格を有する専門スタッフが,外来診療に加えて,院内の敗血症や肺炎などの重症・難治性感染症,薬剤耐性菌感染症,飛沫・空気伝播性感染症,移植関連感染症,免疫不全関連感染症,外科系領域感染症など,院内におけるさまざまな感染症の診断・治療・予防に関する横断的診療を行っています。具体的には,各科横断的に,感染症診断へのサポート,抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬の選択や投与に関するアドバイス,感染予防に関するコンサルテーション業務を実施し,積極的に入院患者の受け入れを行っています。また,感染症は原因微生物が伝播するという特性があることから,個人や病棟・医療施設を超えて,地域全体に感染症が伝播蔓延・拡大し,危機的な状況を引き起こす可能性があるため,愛知医科大学病院だけではなく地域の医療施設における感染症診療・感染症対策にも協力支援しています。今後も,愛知医科大学病院の医療の質の向上はもちろんのこと,日本の感染症診療および感染制御分野をリードする総合的な感染症診療体制を築き上げていきたいと考えています。

主な対象疾患

感染症全般

感染症は,すべての臓器の疾患であるため,総合的および横断的な診断,治療を心がけています。細菌感染,ウイルス感染,真菌感染,原虫・寄生虫感染と多岐にわたる微生物の診断,治療を行います。

不明熱の診断・治療

長期にわたる発熱,発疹,関節痛,リンパ節腫脹などを主症状として来院された患者さんを中心に診療します。他の診療科との連絡を密にし,診断確定後には,該当する臓器別診療科に紹介しますが,感染症に関しては感染症科でもフォローさせていただきます。

HIV感染症

血液内科,呼吸器内科等とも連携を密にとりながらHIV感染症の診断と治療を行います。

渡航者感染症

渡航者下痢症,デング熱などの診療を行います。予防が必要な場合には,ワクチン外来で各種予防接種などを行わさせて頂きます。

院内発症の感染症の診断・治療

本院には,さまざまな疾患に対する治療目的で入院されている患者さんが多いですが,手術,化学療法,放射線治療等を行っていく中で,患者さんの免疫状態によっては,普段罹患しないような日和見感染症や治療の一環で挿入される医療デバイスに起因した感染症を発症する方が少なからず存在するため,当科では,感染制御部感染管理室および感染制御部感染検査室と連絡を密にして,入院中の患者さんの感染症に対応します。以下に,コンサルテーションやインターベンションの基準例を示します。

  • 血液培養や髄液培養陽性時
  • 各種薬剤薬剤耐性菌検出時
  • Clostridium difficile toxin 検出時
  • インフルエンザウイルスなどの検出時
  • 抗酸菌(結核菌を含む)検出時
  • 抗菌薬適正使用の推進
  • 感染対策へのアドバイス

高度な専門医療

高度な医療

先進的な医療

プロバイオティックス,プレバイオティックス,シンバイオティックス療法をさまざまな疾患に応用しています。

分子生物学的検査に基づいた感染症診療・感染制御

感染制御部微生物検査室の遺伝子検査室において臨床で分離された各種耐性菌の耐性遺伝子(カルバペネム耐性遺伝子,バンコマイシン耐性遺伝子,各種毒素遺伝子など)の検出ならびにアウトブレイク疑い時の遺伝子学的検討を実施しています。本検査は,他院からの依頼も常時受け付けて対応しています。感染制御部微生物検査室の遺伝子検査室においてノロウイルスやインフルエンザウイルス等に関してリアルタイムPCR法,LAMP法などの遺伝子診断を迅速診断法としてin house遺伝子検査として実施しています。

診療・治療実績

2013年1月感染症科設置

感染症患者の診療内訳(2020年)

感染症科外来診療件数 2,392件
感染症科入院診療件数 115件
感染症コンサルテーション件数 4,747件

他院からの菌株同定依頼や分離菌株の解析依頼も受け付けています。

設備等

  • 入院が必要な患者さんにつきましては,感染症科に入院のうえ,他の診療科とも連携して診療にあたります。
  • 各種感染症に関する遺伝子検査に関しては全国の大学病院では随一の設備を保有しています。

当科の特徴

  • 感染症は特定臓器に得られた疾患ではないため,診療科が横断的な診療を行っています。新しい感染症の診断や治療法に関する研究を進めていく中で,患者さんから得られた菌株の解析において,患者さんの臨床的な背景に関しても解析を加える場合があります。その場合には,その都度,本学の倫理委員会の承認得て研究を進めて行きますが,皆様のご協力,ご理解いただけると幸いです。
  • 嫌気性菌感染症の診断および治療に関しては全国でも有数の施設です。
  • 初期研修で全般的な知識と技能を身につけた後,さらに研鑽を積みながら,感染症専門医の取得を目指します。その中で,大学院への進学も積極的に進めており,基礎研究(薬剤耐性菌の分子疫学的研究や感染症の宿主免疫応答など)を,多施設とも共同で研究を行っています。また,当院で得られた知見をもとに血液培養陽性例の解析や感染管理に関する臨床研究も行っています。当科で取得可能な専門医は,感染症専門医・指導医,抗菌薬化学療法認定医・指導医,抗菌薬臨床試験指導医,日本医真菌学会認定専門医,日本性感染症学会認定医,インフェクションコントロールドクター(ICD),日本東洋医学会専門医・指導医等です。
  • 愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学に進学する(社会人大学院生制度あり)ことにより医学博士の取得も可能です。

キーワード

感染症,医療関連感染,感染制御,細菌検査,遺伝子診断,嫌気性菌感染症

医療連携について

  • 隔離等を必要とする感染症患者さんの入院に関しては必要に応じて入院可能な施設に連絡を取ります。
  • 嫌気性菌感染症に関しては岐阜大学生命科学総合研究支援センター嫌気性菌研究分野と密接な連携を取って診療に当たっています。

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