〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1番地1
概要
感染症科は、2013年1月に前任教授の三鴨廣繁先生により設置されました。以来、感染制御部の感染検査室および感染管理室と緊密に連携しながら、各種感染症の診断・治療ならびに院内における感染症の予防・伝播防止に取り組んでいます。
当院では、感染症科・感染検査室・感染管理室が一体となり、微生物学的検査に基づいた的確な診断から、適切な抗微生物薬による治療、さらには感染対策までを一貫して行う体制を整えています。
診療部門からのごあいさつ
当科では、感染症診療および感染制御に関する専門的な知識と経験を有するスタッフが、外来・入院診療に加え、院内各診療科からの感染症に関するコンサルテーションに対応しています。
敗血症や肺炎などの重症・難治性感染症をはじめ、薬剤耐性菌感染症、外科系領域の感染症、移植関連感染症、免疫不全患者における感染症など、幅広い感染症を対象として診療を行っています。また、各診療科と連携し、感染症の診断、抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬などの適正な選択・投与について、専門的な立場から支援しています。
感染症診療では、患者さん一人ひとりに対する適切な診断・治療に加え、原因となる微生物の伝播を防ぎ、医療関連感染を予防するという視点も重要です。当科では感染制御部と緊密に連携し、院内における感染症の発生予防と伝播防止に取り組んでいます。
薬剤耐性菌については、院内における検出状況や発生動向を継続的に把握・分析するサーベイランスを実施し、早期発見と院内伝播の防止に努めています。また、中心ライン関連血流感染(CRBSI)、カテーテル関連尿路感染(CAUTI)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)、手術部位感染(SSI)などの医療関連感染についても継続的なサーベイランスを行い、発生状況やリスク因子を分析するとともに、その結果を各診療部門へフィードバックし、感染対策の評価・改善につなげています。
さらに、薬剤耐性菌や医療関連感染の集積など、院内でアウトブレイクが疑われる場合には、感染制御部を中心として速やかに状況を把握し、疫学的調査や微生物学的検査を行い、感染経路の推定、接触者への対応、環境対策など必要な感染拡大防止策を講じます。これらのサーベイランス情報を感染対策や抗菌薬適正使用にも活用し、病院全体で薬剤耐性(AMR)対策および医療関連感染対策を推進しています。
地域の医療機関とも連携し、感染症診療および感染対策に関する相談・支援を行うことで、地域全体の感染症医療の向上にも貢献しています。
今後も、診療・感染制御・教育・研究を通じて愛知医科大学病院における医療の質の向上に貢献するとともに、地域から信頼され、わが国の感染症診療および感染制御をリードできる診療体制の構築を目指してまいります。
主な対象疾患
感染症診療
感染症は、特定の臓器に限らず全身のあらゆる臓器に発症する可能性があり、その診療には臓器横断的かつ総合的な視点が求められます。当科では、発熱や炎症反応の原因を評価し、感染臓器の特定、原因微生物の推定・同定、患者さんの基礎疾患や免疫状態などを総合的に判断したうえで、適切な診断と治療を行っています。
細菌、ウイルス、真菌、抗酸菌、原虫・寄生虫など、さまざまな病原微生物による感染症を診療対象とし、肺炎、尿路感染症、菌血症・敗血症、感染性心内膜炎、骨・関節感染症、中枢神経感染症、皮膚・軟部組織感染症、腹腔内感染症など、幅広い感染症に対応しています。
また、重症・難治性感染症や薬剤耐性菌による感染症、免疫不全患者における感染症など、専門的な診断・治療を必要とする感染症についても、院内の各診療科や感染制御部と連携しながら診療を行っています。
入院患者に発症した感染症の診断・治療
当院では、手術、抗がん薬治療、放射線治療、移植医療、免疫抑制療法など、高度な医療を受けている患者さんが多数入院しています。このような患者さんでは、基礎疾患や治療に伴う免疫機能の低下によって日和見感染症を発症したり、中心静脈カテーテル、尿道カテーテル、人工呼吸器などの医療デバイスに関連した感染症を発症したりすることがあります。
当科では、院内各診療科からの感染症に関するコンサルテーションに対応するとともに、感染制御部の感染管理室および感染検査室と緊密に連携し、入院患者さんに発症した感染症の早期診断と適切な治療を支援しています。
また、血液培養や髄液培養などの重要な培養検査が陽性となった場合や、薬剤耐性菌、Clostridioides difficile、抗酸菌などの重要な病原微生物が検出された場合には、必要に応じて速やかに診療内容を確認し、主治医と連携して適切な治療および感染対策につなげています。
さらに、抗菌薬・抗真菌薬・抗ウイルス薬などの適正使用を推進し、患者さん一人ひとりに最適な感染症治療を提供するとともに、薬剤耐性(AMR)の抑制と院内における感染症の伝播防止に取り組んでいます。
ワクチン・予防接種
感染症は、適切なワクチン接種によって発症や重症化を予防できるものも多くあります。当科では、年齢、基礎疾患、免疫状態、これまでの接種歴などを総合的に評価し、患者さん一人ひとりに適したワクチン接種について相談・提案を行っています。
インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、肺炎球菌感染症、帯状疱疹、RSウイルス感染症などの成人におけるワクチンに加え、基礎疾患を有する方や免疫抑制療法・移植医療などを受ける方についても、各診療科と連携しながら感染症予防の観点から必要なワクチン接種を検討します。
また、海外渡航を予定されている方については、渡航先、滞在期間、渡航目的などに応じて、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、腸チフスなどの渡航関連ワクチンを含めた感染症予防について相談に対応しています。
設備など
細菌・真菌などの培養検査や薬剤感受性検査に加え、質量分析装置(MALDI-TOF MS)を用いた微生物の迅速同定、PCR法をはじめとする各種遺伝子検査を実施しています。また、複数の病原微生物を同時に検出できるマルチプレックス遺伝子検査なども活用し、敗血症、呼吸器感染症、中枢神経感染症などにおける原因微生物の迅速な特定に努めています。
これらの検査結果を臨床情報と組み合わせて総合的に評価し、感染症科・感染検査室・感染管理室が連携することで、早期の適切な抗微生物薬治療や抗菌薬適正使用、さらには感染対策につなげています。
キーワード
感染症、医療関連感染、標準予防策、経路別予防策、細菌検査、遺伝子診断
医療連携について
当院では、地域全体の感染症診療および感染対策の質の向上を目指し、地域の医療機関と緊密な連携を図っています。
特に、感染対策向上加算に基づく地域連携を推進し、連携医療機関と定期的にカンファレンスを開催しています。各施設における感染症の発生状況、薬剤耐性菌の検出状況、抗菌薬の使用状況、感染対策上の課題などについて情報を共有し、地域全体で感染対策および抗菌薬適正使用の向上に取り組んでいます。
また、連携医療機関との相互評価や意見交換を通じて、それぞれの施設における感染対策の課題を共有し、改善につなげています。薬剤耐性菌の検出や院内感染の集積など、アウトブレイクが疑われる事例が発生した際には、必要に応じて感染症診療や感染対策に関する相談に対応し、地域の医療機関と連携して感染拡大の防止に取り組みます。
さらに、地域の医療従事者を対象とした感染対策や抗菌薬適正使用に関する研修・教育活動を行い、感染症に関する知識や感染対策の共有・普及に努めています。
これらの活動を通じて、平時から地域の医療機関との「顔の見える連携体制」を構築し、新興・再興感染症の発生時や薬剤耐性菌によるアウトブレイクなどの緊急時にも、地域全体で迅速かつ適切に対応できる感染症診療・感染対策体制の構築を目指しています。
電話
外線:0561-62-3311(代表)
内線:80365





