間質性肺疾患センター

基本理念:自分らしく人生を歩めるようにサポートします

基本方針:

  • 患者さんおよび医療機関への適切な情報提供を行い、診療の質の向上を図ります
  • 東海地区における病院間および病診連携を強化し、地域医療の質的向上に貢献します
  • 患者さんの自己管理を支援するシステムを構築・提供し、自立的な健康管理を促進します

当センターは、上記の3つの柱をかかげ、間質性肺疾患をもつ患者さんが、自分らしく人生を歩めるようにサポートすることを目指します。

診療部門からのごあいさつ

【部長 近藤康博】

このたび、愛知医科大学病院に「間質性肺疾患センター(ILDセンター)」を開設いたしました。
間質性肺疾患は、命に関わることのある重要な病気です。そのため早期かつ正確な診断と、患者さん一人ひとりに合わせた治療が重要です。
当センターでは、長年ILD診療に携わってきた経験を活かし、多分野集学的検討(MDD)による精緻な診断、新規治療薬の適応の可能性や治験への参画に加え、患者さん一人ひとりの価値観や希望に寄り添ったチーム医療を通じて最善の医療を提供いたします。
また、最新の研究成果をいち早く臨床に反映し、国内外における標準医療をリードする存在を目指します。
患者さんとご家族にとって、安心して相談できる拠り所となるよう、スタッフ一同努めてまいります。

主な対象疾患

間質性肺疾患 (主な疾患は下記)

  • 特発性肺線維症
  • 特発性間質性肺炎
  • 過敏性肺炎
  • 膠原病関連間質性肺炎
  • 間質性肺疾患に伴う肺高血圧症

専門外来

セカンドオピニオン外来

担当者 近藤康博
受診方法 愛知医科大学病院・地域医療連携室(TEL:0561-65-0221 FAX:0561-65-0225)を通してご予約ください。
セカンドオピニオンのご案内
診療日時 適宜相談

間質性肺疾患外来

担当者 近藤康博、山野泰彦、武井玲生仁、片野拓馬、米澤利幸
受診方法 かかりつけ医より愛知医科大学病院・地域医療連携室(TEL:0561-65-0221 FAX:0561-65-0225)を通してご予約ください。
診療日時 火、水、金の午後(近藤医師の予約は水曜日午後)

診療・治療実績

当センターは、2025年5月1日より発足のため、今後実績は随時報告予定です。

質の高い間質性肺疾患の診断・治療

当センターの専門性と強み

間質性肺疾患(ILD)の診断は、高度な専門性と多職種連携が不可欠です。現代の標準的なアプローチでは、呼吸器内科医を中心に、放射線科医、病理医、膠原病内科医などが協力して症例を検討する多分野集学的検討(MDD)が診断精度向上の鍵となっています。
当センター長の近藤医師は、日本を代表する間質性肺疾患の多施設共同研究「プロミス研究」において中心的役割を担い、本研究における国内の診断精度管理を統括するリーダーとして活躍してきました。また、間質性肺炎/肺線維症患者会 中部支部の立ち上げに関わり、現在も患者会の顧問を務めております。当センターには、近藤医師を筆頭に、ILD診療に精通した経験豊富な専門医が複数在籍しており、患者さん一人ひとりの状態に応じた最適な診断と治療方針の立案が可能です。

最先端の治療アプローチ

当センター所属医師は、間質性肺疾患治療の革新をもたらした抗線維化薬について、開発初期の治験段階から豊富な使用経験を有しています。また、各種免疫抑制薬の適応判断と投与管理にも精通しており、最新のエビデンスに基づいた個別化治療を提供しています。

間質性肺疾患の診療(包括的な管理)

当センターでは、間質性肺疾患の正確な診断と管理のために体系的なアプローチを採用しています。

  • 詳細な問診:専門的に開発された問診表を使用し、症状の経過や職業歴、環境曝露歴など、診断に不可欠な情報を系統的に収集しています。
  • 高精度画像診断:高分解能CT装置(HRCT)を導入し、肺の微細な変化を詳細に評価することが可能です。
  • 先進的な生検法:診断確定が必要な場合には、呼吸器外科医と連携した外科的肺生検に加え、より低侵襲な「クライオ生検」も早期に導入予定です。この新技術により、患者さんの負担を軽減しながら確実な診断を目指します。

多職種連携による包括的ケア

間質性肺疾患の管理には、医師の専門知識だけでなく、多様な医療専門職の関与が不可欠です。当センターでは、以下の専門家によるチーム医療を実践しています:

  • 呼吸器専門医:診断と治療計画の立案、進行管理
  • 薬剤師:薬物療法の最適化、副作用管理
  • 理学療法士:呼吸リハビリテーション、運動耐容能の向上
  • 栄養士:栄養状態の評価と栄養療法の提案
  • ソーシャルワーカー:社会的支援の調整、療養環境の整備

患者さん主体の医療教育

当センターでは、患者さんが自身の疾患について十分に理解し、積極的に治療に参加できるよう、教育的アプローチを重視しています。疾患に関する最新の知識提供、自己管理スキルの向上、症状の早期認識方法などを通じて、患者さんの自立的な健康管理を促進します。

間質性肺疾患センター

間質性肺疾患に伴う肺高血圧症

肺高血圧症の専門的管理

間質性肺疾患を患っている患者さんには、しばしば肺高血圧症を合併することが知られています。肺高血圧症とは、肺の血管に高い圧力がかかることで、心臓や全身に負担がかかる病気です。近年、間質性肺疾患に伴う肺高血圧症に対しても有効とされる薬剤が保険診療で使用できるようになり、治療選択肢が広がっています。

循環器内科との緊密な連携

当センターでは、必要に応じて循環器内科の専門医と連携し、肺高血圧症の疑いがある場合には積極的に「右心カテーテル検査」を実施しています。この精密検査により、病気の重症度を適切に評価し、最適な治療介入を検討します。早期発見・早期治療により、患者さんのQOL(生活の質)向上と予後改善を目指しています。

当科の医師が関連したガイドライン・治療指針

当センター医師が関与した主要ガイドライン・治療指針

当センターの医師陣は、間質性肺疾患関連の国内主要ガイドライン策定に深く関与しています。

近藤康博センター長の主な貢献(詳細はこちら(PDF:1796KB))

  • 膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針2025(委員長)
  • 特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022(責任編集委員)
  • 肺病変を有する肺高血圧症診療ガイドライン2025(作成委員)
  • 特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(委員)
  • 薬剤性肺障害の診断・治療の手引き2025(委員)

その他の医師陣の貢献

  • 山野泰彦医師、武井玲生仁医師:膠原病に伴う間質性肺疾患 診断・治療指針2025(作成委員)
  • 武井玲生仁医師:過敏性肺炎診療指針2022(作成協力者)

当センターの医師陣がこれらの重要なガイドライン作成に深く関わっていることは、国内最高水準の間質性肺疾患診療を提供する当センターの専門性と診療レベルを証明するものです。患者さんは、常に最新のエビデンスに基づいた診療を受けることができます。

膠原病に伴う間質性肺疾患診断・治療指針2025
肺病変を有する肺高血圧症診療ガイドライン2025
特発性肺線維症の治療ガイドライン2023
特発性間質性肺炎診断と治療の手引き2022
薬剤性肺障害の診断・治療の手引き2025
過敏性肺炎診療指針2022

キーワード

間質性肺疾患、特発性肺線維症、膠原病関連肺疾患、自己免疫の特徴を持った間質性肺炎(IPAF)、過敏性肺炎、進行性線維化を伴う間質性肺疾患 (PF-ILD)、進行性肺線維症 (PPF)、Interstitial Lung Abnormalities(ILA)、間質性肺疾患に伴う肺高血圧症、高分解能CT (HRCT)、気管支鏡、外科的肺生検、クライオ肺生検、治験

医療連携について

間質性肺疾患センターへの受診は、かかりつけ医を通じての予約が必要です。必要な検査(高分化能CT、呼吸機能検査、血液検査など)は可能な限り来院当日に行いますが、間質性肺疾患では病気の経過が非常に重要ですので、可能な範囲でこれまで施行した検査結果をかかりつけ医の先生にご提供を依頼する予定です。

  1. かかりつけ医より愛知医科大学病院・地域医療連携室(TEL:0561-65-0221 FAX:0561-65-0225)を通してご予約ください。
  2. ご不明点がございましたら、愛知医科大学病院・地域医療連携室(直通TEL:0561-65-0221)までご連絡ください。
  3. 地域の病院・診療所との密接な連携により、スムーズな診療の紹介・逆紹介体制を整えています。
  4. 患者さんが地域で診療を継続できるよう、かかりつけ医への情報共有を行い、当センター受診後のフォローアップも連携していきます。これにより、地域医療機関との協力のもと、一貫性のある質の高い医療提供に努めています。

関連リンク

連絡先

TEL
外線:0561-62-3311(代表)
内線:36100 28外来