てんかんセンター(成人)

てんかんとは、てんかん発作を繰り返す脳の病気で、小児からお年寄りまでどの年代にもおこりうる病気です。世界保健機関(WHO)では、てんかんは「脳の慢性疾患」で、脳の神経細胞(ニューロン)に突然発生する激しい電気的な興奮により繰り返す発作を特徴とし、それに様々な臨床症状や検査での異常が伴う病気と定義されています。
日本では約100万人のてんかん患者が存在し、100人のうち0.5~1人(0.5~1%)が発症する決してまれな病気ではありません。発病年齢は3歳以下が多く、成人になると減りますが50~60歳代よりまた発病率が増加し、その後は発症率が増え続けることが知られています。(てんかんの年代別発症率の図を参照)これは、年代によっててんかんの原因が異なることや、高齢になるにつれて脳の一部が傷ついたり、脳血管障害などの疾患が増えたりすることに起因しています。
てんかん発作は、全身がけいれんする発作だけではなく、意識があるまま体が勝手に動く運動発作や、吐き気などの自律神経発作、またけいれんはしないが意識だけがなくなり動作が急に止まる発作など、様々なものがあります。高齢発症のてんかんの多くは全身けいれんを伴わず、意識がなくなりその後ももうろう状態が長く続くため、見逃されていたり、認知症と誤認されているケースも少なくありません。
てんかん患者の35%に精神疾患合併が合併することが知られており、これは一般人口の20%に比べても多い数です。また、抗発作薬(抗てんかん薬)による副作用によって精神症状が出現することもあり、薬剤選択は慎重に行う必要があります。さらに、てんかんと診断された人の5人1人に誤診があると言われており、実際にはてんかんではなく解離性障害の仲間である心因性非てんかん発作であったり、失神発作であったということも少なくありません。
当院のてんかんセンターでは、一般的なてんかん診療に加え、てんかんに随伴する精神症状、また近年増えている高齢発症のてんかんの診断、治療を積極的に行っております。心因性非てんかん発作の診断、治療にも力を入れており、発作時脳波同時記録のための長時間脳波を行っております。さらに、小児科、脳神経外科、臨床心理士、ケースワーカーなどと多職種連携を行って協力し,小児から成人への移行(トランジション)や手術適応、また心理面や地域連携などてんかん発作以外の問題についても包括的に対応します。

診療部門からのごあいさつ

当院は、てんかん専門医を持った精神科医がてんかんを積極的に診療している全国でも数少ない施設です。前任の精神科学講座の教授、兼本浩祐先生はてんかん診療の大家として知られ、多くの患者さんの診療に携わり、また多くの精神科医が兼本先生の診療を学び、その信念を引き継いでまいりました。
てんかんという病気は、発作は止まるのか止まらないのか,どの薬が一番良いのか,手術はできるのかできないのかなどの予測がかなりの例でできる病気です。愛知医科大学病院てんかんセンター(成人)では、てんかんの正確な診断、てんかんの種類、てんかんの種類に応じた治療方針の決定を行い、さらにてんかんがあっても患者さんが望む人生が選択できるようサポートしていくことを目標としております。また、てんかんや抗発作薬に関連する精神症状の評価や治療、研究も行っており、最先端の医療を患者さんに提供したいと考えております。

主な対象疾患

  • 焦点てんかん
    側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、後頭葉てんかんなど
  • 全般てんかん
    若年ミオクロニーてんかん、若年欠神てんかんなど
  • 分類不能てんかん
  • てんかん性精神病

高度な専門医療

高度な医療

専門医による精神症状の診断、治療

てんかんに関連する精神症状や、てんかんに合併する精神疾患、または心因性てんかん発作に関して、精神科専門医、てんかん専門医による総合的な精神症状の診断、治療を行います。

発作時ビデオ脳波同時記録

発作の時の脳波変化をビデオと同時に記録し,正確な診断をします。

迷走神経刺激療法

迷走神経をペースメーカーのような機器で刺激することによって発作を軽減させる治療です。
脳神経外科と協力して実施します。

外科的治療

脳神経外科との協力で外科的治療を検討します

専門外来

てんかんセンター(成人)外来

精神神経科外来で行っています。

担当医師 兼本浩祐,田所ゆかり, 河合三穂子
受診方法 地域医療連携室を通じてご予約下さい
診療日時 精神神経科外来担当医表はこちら
※医師の担当日時(週・曜日)についてはこちらでご確認ください。

キーワード

精神神経科、てんかんセンター、てんかん

関連リンク

連絡先

TEL
外線 : 0561-62-3311(代表)
内線 : 22129 精神科学医局