〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1番地1
世界に先駆けて〝RVS〟を乳がん領域に導入した開拓者
中野 正吾 (ナカノ ショウゴ)
乳腺・内分泌外科 平成28年2月1日就任
外来担当日 | 月・水・木曜日 |
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専門領域 | 画像診断・外科治療・薬物療法 |
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認定医・専門医 |
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診療についての抱負
座右の銘
患者さんのニーズやQOLの改善に応えられる医療を目指しています。
当科は2002年に乳腺・内分泌疾患の外科診療を専門に担当する科として開講しました。
乳がん,甲状腺がんを中心に,乳腺良性腫瘍,急性・慢性乳腺炎,甲状腺腫,バセドウ病,副甲状腺腫瘍,副腎腫瘍などの診断と治療を行っています。専任の乳腺専門医,内分泌外科専門医が診察にあたります。大学病院の利点を生かし,内分泌・代謝内科や形成外科とも連携し,安全で質の高い医療を提供することを目指しています。
乳がんは女性がもっともかかりやすいがんです。日本人女性の11人に1人が生涯のうちに乳がんにかかるとされており,年々増加しています。当科では先進の画像診断装置である3Dマンモグラフィや超音波とMRIを同期することができるリアルタイムバーチャルソノグラフィ(RVS)を導入し,乳がんの早期発見に努めています。
乳がん手術においては可能な限り乳房温存手術を試みていますが,乳房温存療法の適応とならない場合でも形成外科と合同で組織拡張器を用いた人工乳房埋没法や遊離皮弁移植法による乳房再建術を行っております。
頸部画像診断の進歩に伴い,甲状腺がんも年々増加しています。甲状腺がん手術には反回神経の偶発的損傷を避け,手術を安全に行うことができる術中神経モニタリングを導入しています。最大径が1cm以下の甲状腺がんを甲状腺微小がんと呼びますが,リスクの低い甲状腺微小がんに対しては経過観察(active surveillance)もひとつの選択枝として提案しています。
エビデンスに基づいたがん薬物療法を実践し,少しでも患者さんのニーズやQOLの改善に応えることのできる医療を目指しています。治療法は病気の状態や患者さんご自身の考え方によっても異なります。当科では治療の前に専門医が患者さんやご家族と時間をかけて話し合い,患者さんご自身が納得して治療を受けられるように心がけています。
学歴・職歴等
昭和59年4月(1984年) | 熊本大学医学部医学科 入学 |
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平成3年3月(1991年) | 熊本大学医学部医学科 卒業 |
平成3年5月(1991年) | 医師免許取得 |
平成3年6月(1991年) | 熊本大学医学部附属病院 外科学第二講座 臨床研修医 |
平成4年7月(1992年) | 水俣市立総合医療センター 外科 臨床研修医 |
平成5年7月(1993年) | 水俣市立総合医療センター外科 医員 |
平成6年7月(1994年) | 荒尾市民病院 外科 医員 |
平成7年5月(1995年) | 国立療養所熊本南病院 外科 医員 |
平成8年4月(1996年) | 熊本大学大学院医学研究科博士課程 入学 |
平成12年3月(2000年) | 熊本大学大学院医学研究科博士課程 修了 博士(医学)学位取得(熊本大学) |
平成12年4月(2000年) | 東京大学医科学研究所附属病院 外科 医員 |
平成13年4月(2001年) | 癌研究会附属病院乳腺外科 シニアレジデント |
平成13年10月(2001年) | 東京大学医科学研究所附属病院 外科 医員 |
平成14年5月(2002年) | 愛知医科大学医学部 外科学講座 乳腺・内分泌外科 助手 |
平成14年12月(2002年) | 愛知医科大学医学部 外科学講座 乳腺・内分泌外科 講師 |
平成17年4月(2005年) | 愛知医科大学医学部 外科学講座 乳腺・内分泌外科 助教授 |
平成19年4月(2007年) | 愛知医科大学医学部 外科学講座 乳腺・内分泌外科 准教授 |
平成24年4月(2012年) | 愛知医科大学医学部 外科学講座 乳腺・内分泌外科 教授(特任) |
平成28年2月(2016年) | 愛知医科大学医学部 外科学講座 乳腺・内分泌外科 教授 |
フォトアルバム
インタビュー
ご専門分野,ご研究内容について教えてください。
専門は乳がん,甲状腺がんの画像診断,外科治療およびがん薬物療法です。民間企業と共同でバーチャルリアリティ技術を使った乳腺・甲状腺画像診断法に関する臨床研究や癌転移浸潤における微小環境の変化に関する基礎研究を行っています。
医学研究の魅力とは何ですか?
基礎研究の試験管や顕微鏡を介して見えてくる病態の本質を理解することが最終的に患者さんの病気を治すことにつながるというダイナミズムこそが,医学研究の醍醐味ではないでしょうか。私の恩師である小川道雄先生はご自身の最終講義の中で「こころ分子におきて,メスを構えるべし」と外科医こそリサーチマインドが大切であると語っておられます。
今までで嬉しかった研究や治療の成果エピソードなどが,ありましたら教えてください。
2007 年に乳がんの分野で世界最大の学会である米国サンアントニオ乳癌シンポジウムにて我々が開発した画像診断に関する研究成果を8,000人の前で発表する機会を得ました。MRI と超音波画像をバーチャルリアリティ技術で同期することができるreal-time virtual sonography(RVS)システムが乳がん診療に有用であったとの報告でしたが,30 年の歴史がある学会で日本人として3 人目のoral presenter に選ばれました。日本人が開発した技術をAichi Medical Universityの名のもとに世界の人々に伝えることができたことは今も私の誇りです。
ご趣味や特技は何ですか?
趣味はクラシック音楽鑑賞です。ベートーヴェン・フリークで通勤の車の中でいつも聞いています。また学生時代,全学にも所属していた軟式テニス部での経験を生かし,今は硬式テニスを楽しんでいます。特技はハンカチから鳩を出す謎の手品?で世界の人々を和ませることです。手品に国境はありません。
今後,愛知医科大学病院で目指されることや目標などを教えてください。
地域や社会のニーズに応え得る診療体制の確立,およびそれにかなう医療人を一人でも多く育成することを目指しています。また教室の大きなテーマである乳腺画像診断へのRVS の応用を中心に臨床や研究において多くの新しい知見を創り出し,育て上げた若い医師に引き継いでもらいたいと考えています。
何か患者さんにアドバイスをお願いいたします。
乳がんから命を守るためには早期に発見し,適切に治療を行うことが重要です。まずはマンモグラフィ検診を受けていただくことをお勧めいたします。また,近年,インターネットなどを通じて,膨大な情報に接することができるようになりました。情報量も多く,どうしてよいかわからなくなったり,偏った情報を鵜呑みにしてしまうといったマイナス面も生じています。ご自身の病気について勉強することは,とても大切なことですが,がんのように専門知識を必要とするテーマについては自分の考えだけで判断せず,私達に直接ご相談ください。