教授のご紹介 伊藤 恭彦

伊藤 恭彦

最良・最善の包括的腎臓病治療を提供します

伊藤 恭彦 (イトウ ヤスヒコ)

腎臓・リウマチ膠原病内科 平成29年5月1日就任

外来担当日 月曜日

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専門領域 腎臓病・腎不全・膠原病
認定医・専門医
  • 日本内科学会認定医
  • 日本腎臓学会腎臓専門医・指導医・評議員
  • 日本透析医学会透析専門医・指導医・評議員・学術委員
  • 日本透析医学会CKD 患者における腎性貧血治療ガイドライン委員
  • 日本透析医学会腹膜透析ガイドライン改定ワーキング委員長
  • 日本リウマチ学会専門医
  • 東海腹膜透析研究会会長
  • 日本腹膜透析学会評議員・編集委員
  • 国際腹膜透析学会(ISPD)出口部感染症ガイドライン委員
  • 国際腹膜透析学会(ISPD)Council member(アジア・オセアニア代表)
  • The Peritoneal Dialysis Outcomes and Practice Patterns Study(PDOPPS)国際学術委員
  • 厚生労働省緩和ケア講習会修了

診療についての抱負

座右の銘

座右の銘

患者さんへ最善の腎臓病治療を提供する『総合腎臓病センター』へ

わが国で慢性透析療法を受けている患者総数は33万人であり,これは国民430名に1人に相当し,原因となる慢性腎臓病は国民8人に1人といわれ国民病ということができます。腎不全になると食事,透析など患者さんの負担も多く大変です。この病気を予防,早期発見,適切な治療によって進行を防ぐことはきわめて重要な任務と考えます。万一,治療にもかかわらず腎不全が進行し腎代替療法(血液透析,腹膜透析,腎移植)が必要になったとき,患者さんに適した最良の治療法を選択し,最善の治療を提供します。

愛知医科大学では,これらすべてに対応することができる『総合腎臓病センター』を擁しています。慢性腎炎,糖尿病性腎症をはじめ様々な慢性腎臓病を,早期診断から治療を行うことで進行を抑える様に努力しています。日本の腎代替療法は,血液透析に頼り過ぎ他の2つの治療法のメリットを生かしきれていません。当腎センターの特徴は,腎臓内科医のみでなく,小児腎臓医,腎移植外科医を擁し,いかなる年齢層の患者さんにもこの3つの治療法で対応できる体制をとっている点です。腹膜透析,移植療法を有効に利用することで患者さんが幸せに生活を送ることができることはしばしばあります。腹膜透析は,高齢者の方には適した腎代替療法と考えます。

最善の治療を目指し,医療安全のためにも週2回入院患者さん全員のカンファレンスを行っています。さらに,毎朝,新入院患者,重症患者検討会を行っています。診断,治療困難な症例は,医局全体で知恵を絞って,何がベストかということを考えて対応するように努めています。

腎臓病は早期に発見し,早期治療,進行の予防を始めることが重要です。早期からの対応で完全に直すこともしばしば可能です。腎臓は,沈黙の臓器と言われ,慢性腎臓病は,痛みとかかゆいという症状がなく,タンパク尿,血尿があるだけということで油断をしてしまう方がみえます。また,動脈硬化性の腎臓病(腎硬化症)は,検尿異常がなくても腎機能が低下していきます。採血結果のeGFRが,60ml/min以下の際,検尿異常の際にはぜひ我々に相談していただければと思います。

学歴・職歴等

昭和51年4月(1976年) 日本医科大学医学部 入学
昭和57年3月(1982年) 日本医科大学医学部 卒業
昭和57年5月(1982年) 医師免許取得
厚生連愛北病院 研修医
昭和58年4月(1983年) 厚生連愛北病院 内科医
昭和62年7月(1987年) 名古屋大学医学部附属病院 第三内科 医員
平成2年1月(1990年) 労働福祉事業団 中部労災病院 腎臓内科副部長
平成3年1月(1991年) 博士(医学)学位取得(名古屋大学)
平成8年1月(1996年) オランダ留学 アムステルダム大学リサーチフェロー
平成10年4月(1998年) 労働福祉事業団中部労災病院 腎臓内科部長
平成15年2月(2003年) 名古屋大学医学部 臨床助教授(非常勤)
平成16年4月(2004年) 帝京大学医学部 内科(腎臓) 非常勤講師
平成17年2月(2005年) 名古屋大学 腎不全システム治療学寄附講座 准教授
平成22年2月(2010年) 名古屋大学 腎不全総合治療学寄附講座 教授
平成23年10月(2011年) 医学博士(Ph.D)取得(アムステルダム大学)
平成26年4月(2014年) 名古屋大学医学部附属病院 病院機能推進本部 クリニカルインディケーター策定リーダー
平成27年2月(2015年) 名古屋大学 腎不全システム治療学寄附講座 教授
平成27年5月(2015年) 名古屋大学医学部附属病院 病院の質向上推進本部 Measure プロジェクトリーダー
平成29年5月(2017年) 愛知医科大学医学部内科学講座 腎臓・リウマチ膠原病内科教授

フォトアルバム

インタビュー

ご専門分野,ご研究内容について教えてください。

『腎臓・膠原病』,特に腎臓病学,透析療法学を得意としてきました。松尾清一先生(現・名古屋大学総長)のご指導の下,ヒト腎生検組織における免疫組織学評価や腎炎惹起性の単クローン抗体を作成し腎炎発症機序を研究し,臨床医としての研究を行う意義を学びました。1996年より2年3か月間オランダアムステルダム大学に留学し腎臓病進展のメカニズム,特に成長因子の研究を行いました。その後名古屋大学では,慢性腎臓病の進行要因として最も重要な腎間質障害進展メカニズム,腹膜透析の腹膜障害のメカニズムにつき研究しました。

医学研究の魅力とは何ですか?

私は,臨床疑問(Clinical Question: CQ)に対する研究をテーマに選び,疫学的にアプローチを試み,ヒト検体も用いて臨床病理学的見地から検討しました。そして解決できない問題点に対して,仮説を立て必要に応じて動物,細胞実験を行って回答を導き出しました。
得られた研究成果を臨床診療に還元することが,研究の醍醐味です。研究を進めることで,自身の臨床成績を見直し,臨床をより深く追求できるようになることも重要な目的です。

今までで嬉しかった研究や治療の成果,エピソードなどがありましたら教えてください。

臨床
厳しい状況の患者さんが治療により改善し,退院される時の喜びは臨床医にとって最高のものでした。
研究
自分の立てた仮説が実験等で証明できた時,そしてそれが認められ論文になった時,さらにあとからその説を支持する論文が他の施設からでてきて我々の考えが認められたときにはやっててよかったと思いました。

今後,愛知医科大学病院で目指されることや目標などを教えてください。

教育
地道に患者さんを見,患者さんに寄り添うことができる医師を多く育てたいと思います。
臨床
『総合腎臓病センター』を日本一の腎センターにしたいと思います。慢性腎臓病の予防,保存療法,さらに血液透析のみならず腹膜透析,腎移植を患者さんに適した形で,また高い質で提供できるように進めていき,膠原病診療にも力を入れたいと思います。
研究
愛知医大の若い医師に臨床医が研究する意義を教え,臨床からの疑問に対してのテーマの研究を指導したいと考えます。

何か患者さんにアドバイスをお願いいたします。

腎臓病も膠原病も長くつきあっていく必要がある病気です。途中であきらめずに継続することが第一です。私たちは,皆さんの病気を考えて最良の治療を提供できるように努力しています。腎臓病の方は,食事療法,特に食塩制限が1 番です。主治医の先生とよく相談して継続してください。