新聞で見ましたが,エックス線検査でがんになるって本当ですか?

新聞で見ましたが,エックス線検査でがんになるって本当ですか?

2004年2月に報道された,イギリスの医学雑誌「ランセット」に掲載された論文についての記事のことだと思います。 あの論文で発表された数値は,放射線防護の立場で用いられている「仮説」をもとに計算された計算上の値です。 通常のエックス線検査における少量の被ばくでは,がんの心配をされるより,エックス線検査の必要性をご理解いただきたいと思います。

ランセットの論文では,広島・長崎の原爆被爆者における大きな放射線量を外挿することによって,エックス線検査で使う少ない放射線量でのがんのリスク係数を出して計算しています。

これは安全を第一の目的とするために,「放射線はどんなに微量でも有害」と考える,放射線防護の立場からの仮説を用いた計算であり,この論文は,放射線防護領域の論文として読むことが大切です。

広島・長崎の被爆者の調査では,統計的に被爆で発がんが増えたと考えられるのは白血病で100ミリシーベルト,その他のがんは50~60ミリシーベルト以上の場合でした。

通常のエックス線検査はそれよりずっと少ない被ばく量であり,それによって身体に異常が起きたり,がんが発生したという具体的な報告はありません。心配する必要のない安全なものなのです。

むしろ,エックス線検査は,大きな苦痛を伴わずに正確に診断ができ,早期に適切な治療を開始するために,なくてはならないものです。

不安があれば,医師にご質問いただき,安心してエックス線検査を受けてください。