IVR 治療を受けることになりました。どのような治療ですか?

IVR 治療を受けることになりました。どのような治療ですか?

IVRはインターベンショナル・ラジオロジー(Interventional Radiology)の略です。日本語訳として一般的に「放射線診断技術の治療的応用」という言葉が用いられますが,「血管内治療」,「血管内手術」,「低侵襲治療」,「画像支援治療」もほぼ同義語として使われています。エックス線透視や超音波像,CTを見ながら体内に細い管(カテーテルや針)を入れて病気を治す新しい治療法です。
IVRは手術を必要としないため,身体にあたえる負担が少なく,病気の場所だけを正確に治療でき,入院期間も短縮できるなど優れた特徴を持っています。がんの治療に広く応用され,その他に緊急状態(大出血など)からの救命や,血管などの閉塞や動脈瘤に対する治療にも有効な方法です。
IVRには以下のような種類があり,病気の種類や状態によって選択し,時には組み合わせて治療することもあります。

1.血管(Vascular)IVR

  • 動脈塞栓術(TAE)
  • リザーバー留置術
  • 経皮的血管拡張術(PTA)
  • ステント留置術
  • ステントグラフト留置術
  • 血栓溶解術
  • 脳動脈瘤コイリング
  • 頸動脈ステント留置術
  • 冠動脈血管形成術
  • カテーテルアブレーション

2.非血管(Non-vascular)IVR

  • 生検
  • 胆管ドレナージ
  • 膿瘍穿刺ドレナージ
  • 経皮的腎瘻造設術
  • 結石除去術
  • ステント留置術
  • 胃瘻・腸瘻造設術
  • ラジオ波熱凝固術
  • 経皮的椎体形成術

どれくらい時間がかかるの?

治療時間は,目的や疾患の種類,状態などによって異なりますが,1~4時間程度です。治療の種類によっては,長く時間がかかる場合があります。

治療を受けるときの注意

  • ヨード造影剤を使用しますので,検査当日は食事の制限をさせていただきます。 ヨード造影剤については造影剤についての項目を参照してください。
  • カテーテルを抜いてから約6時間(場合によって異なる)ベッド上で安静にしていただきます。
  • 基本的には局所麻酔で行いますが,全身麻酔を使う場合もあります。

代表的な血管IVR治療例です。

肝細胞がんのIVRによる治療 【肝細胞がん塞栓術】

肝細胞がんに栄養を運ぶ血管である肝動脈の枝を選択的に閉塞することにより,腫瘍組織への栄養血流を遮断し,肝細胞がんを壊死状態にする治療法です。

肝細胞がんのIVR治療を下の動画でご覧にいただけます。

脳血管動脈瘤のIVRによる治療 【脳動脈瘤塞栓術】

くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の治療法の一つです。脳血管にカテーテルを挿入し目的の動脈瘤内にプラチナ製のコイルを詰めて動脈瘤を閉塞し,破裂した動脈瘤の治療をしたり,未破裂動脈瘤の破裂を予防する治療です。

脳動脈瘤のIVR治療を下の動画でご覧にいただけます。

腸骨動脈狭窄のIVRによる治療 【腸骨動脈形成術】

動脈の狭窄した場所で,風船のついたカテーテル(バルーンカテーテル)を膨らませたり,ステント(編み目状で円筒形の金属)を留置したりして血管を拡げ,血流の改善をする治療です。

腸骨動脈狭窄のIVR治療を下の動画でご覧にいただけます。

心筋梗塞、狭心症のIVRによる治療 【冠動脈血管形成術】

心臓を栄養する血管(冠動脈)にカテーテルを挿入し,狭窄や閉塞を起こした血管を拡張し心臓を栄養する血管の血流を改善する治療法です。 経皮的冠動脈形成術(PTCA)とか経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と呼ばれます。 バルーンカテーテルや,ステント,ロータブレーター(高速回転するドリル)などを用いて治療を行います。

冠動脈血管形成術のIVR治療を下の動画でご覧にいただけます。

大動脈瘤のIVRによる治療【ステントグラフト内挿術】

足の付け根の部分を約3cmほど切って大腿動脈からステントグラフトという人工血管を挿入する方法です。直径7-8mmの管をとおして大腿動脈からステントグラフトを挿入します。動脈瘤の前後の正常な径の血管にステントグラフトが固定されることにより動脈瘤の内部には血流がなくなるので破裂が予防され大動脈瘤が消失していきます。

胸部大動脈ステントグラフト内挿術のIVR治療を下の動画でご覧にいただけます。

腹部大動脈ステントグラフト内挿術のIVR治療を下の動画でご覧にいただけます。