検査相談コーナー(血液・尿検査)

よくあるご質問

貧血とはどういうことですか?

貧血とは血液中のヘモグロビン(血色素)量が低下(減少)した状態を指します。ヘモグロビンは赤血球の中に含まれており,血流に乗って酸素を体のすみずみまで運搬する働きをしています。そのため,ヘモグロビン量が低下すると体内の各所が酸欠状態となり,顔色不良・動悸・息切れ・疲労・倦怠感・めまいなどいろいろな貧血症状が現れます。ひどい時には呼吸困難や胸痛が起こったり,爪が反り返ったりすることもあります。このヘモグロビンは赤血球の中で主に鉄を原料として合成されます。そのため,体内の鉄分が不足すると貧血を生じます。また,ヘモグロビンの器である赤血球の数が減少しても同じように貧血が起ります。

右は顕微鏡で見た正常赤血球です。円形で7~8ミクロンの大きさです。この写真は特殊な染色が施されていますが,生の状態でも中に含まれているヘモグロビンにより薄いピンク色をしています。血液が赤いのはこのヘモグロビンの色調によるためです。
右下は鉄欠乏性貧血で見られる赤血球です。正常赤血球に比べて赤血球内のヘモグロビンが少ないために色が薄く形も不整です。

貧血に関連した検査項目です。

赤血球数(RBC)

血液1μl中の赤血球の個数です。

基準値
男性 450万~510万
女性 370万~480万(/μl)
ヘモグロビン(Hgb)

血色素ともいいます。この値が低下した状態が貧血です。

基準値
男性 13.9~16.0
女性 11.4~14.8(g/dl)
ヘマトクリット(Hct)

血液全体に占める赤血球の割合を意味します。貧血時には低値を示します。

基準値
男性 41.4~49.2
女性 33.7~43.5(%)
平均赤血球容積(MCV)

赤血球1個の体積の平均値です。大球性貧血(巨赤芽球性貧血など),小球性貧血(鉄欠乏性貧血など)など,貧血の種類を鑑別する指標となります。

基準値
81.0~97.0(fl)
平均赤血球血色素(MCH)

赤血球1個に含まれるヘモグロビンの濃度を意味します。特に,鉄欠乏性貧血で低値を示します。

基準値
28.8~33.6(pg)
網赤血球数

出来たての新しい赤血球です。高値を示すときは赤血球の生産が盛んに行われていることを意味します。

基準値
0.3~1.8 (%)
血液像

血液1滴から標本を作製し顕微鏡で観察します。赤血球の形の異常や,異常細胞の出現などがわかります。

血清鉄(Fe)

肝臓などに貯蔵されていた鉄はタンパク(トランスフェリン)と結合し血液中を運搬されます。このタンパクと結合した鉄の量です。鉄過剰症,再生不良性貧血などで高値を示し,鉄欠乏性貧血などで低値を示します。

基準値
男性 90~180
女性 70~130(μg/dl)
総鉄結合能(TIBC)

総鉄結合能とは血液中のトランスフェリンが運搬可能な総鉄量です。鉄欠乏性貧血などで高値を示し,ネフローゼ,慢性感染症などで低値を示します。

基準値
男性 235~375
女性 220~440(μg/dl)