〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1番地1
概要
愛知医科大学病院心臓外科は心臓外科の各種疾患に対し,最新の治療技術と術後管理体制を敷いて,常に質の高い医療を提供しています。また,救命救急センターと常に連携し24時間体制で緊急手術を要する疾患に対応しており,地域に根差した医療を提供しています。
循環器内科をはじめ,血管外科,放射線科とも密に連携協力し合い最適な治療法を提供しています。
心臓弁膜症や狭心症など心臓手術でお悩みの方や低侵襲手術を希望される患者さんは,心臓外科 松山克彦:kmatsuyama@aichi-med-u.ac.jpまでいつでも相談してください。24時間体制で受け付けております。
診療部門からのごあいさつ

部長
松山克彦
当科は,成人の心臓血管疾患に対する外科治療を実施しております。大きく5分野があり,心臓弁膜疾患,虚血性疾患,大血管疾患,不整脈外科,成人先天性心疾患に対応しております。まず,心臓弁膜疾患ですが,リウマチ性疾患は減少しましたが弁逸脱疾患や動脈硬化性など退行性疾患としての弁膜症や虚血性弁膜症が増加し,特に僧帽弁疾患では多くの症例で自己弁の温存をめざす弁形成手術に成功しております。
虚血性疾患としては,狭心症,心筋梗塞後狭心症など循環器内科と個々の症例を検討しエビデンスに基づいた適切な治療方針を決定し冠動脈バイパス手術を行っています。低侵襲を目標に,人工心肺を用いない拍動下冠動脈バイパス(OPCAB)を基本術式として行っています。虚血性心筋症に対しては,左室形成術を積極的に行い,心機能の回復に努めております。大血管疾患としては,大動脈瘤,大動脈解離など,緊急性を要する疾患にも積極的に対応しております。高度救命救急センターと連携し,24時間体制で対応しております。最近注目されているステントグラフト内挿手術としてopen stent法も取り入れて,低侵襲化と一期的根治を目指しております。不整脈の外科治療は私の専門とする分野で,最も罹患率の高い心房細動に対するメイズ手術の治療成績は術後心機能のより良い回復とともに本邦でのトップクラスを誇っております。心室頻拍根治術やデバイス治療も行っています。先天性心疾患は,成人例のみ対応しておりますが,NICUで発生した未熟児動脈管開存症には対応しております。
手術の低侵襲化に加え,早期離床・リハビリプログラムを導入し,入院期間の短縮と早期の社会復帰を目指しております。
以上,すべての成人心臓血管疾患治療を行っておりますが,その基本は先端的治療にも積極的に取り組みつつも「安全で確実な外科治療の提供」をモットーとしてチーム医療に邁進しております。
主な対象疾患
弁膜症
大動脈弁閉鎖不全症・狭窄症,僧房弁閉鎖不全症・狭窄症,三尖弁や肺動脈弁疾患など
虚血性心疾患
狭心症,急性心筋梗塞,心筋梗塞後左室瘤,心室中隔穿孔,左室破裂など
大血管疾患
真性大動脈瘤,急性大動脈解離,外傷性大動脈損傷など
不整脈
心疾患に合併した心房細動や心室頻拍,洞不全や房室ブロックなどの徐脈性不整脈
先天性心疾患
心房中隔欠損症,心室中隔欠損症,動脈管開存症など
心不全,心筋症
特発性心筋症,肥大型心筋症,拡張型心筋症など
その他
心臓腫瘍,心膜疾患など
診療・治療実績
年次別手術件数
設備等
病床数 | 7床 |
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特殊機器

- リアルタイム3次元経食道心臓超音波検査装置(PHILIPS iE33)
おもに弁形成術での心機能,形態評価に有用です - 人工心肺装置
- 補助循環装置
- トランジットタイム血流量計
- 超音波外科吸引装置
診療科の特徴
1 MICS :弁膜症、冠動脈における小切開心臓手術
当科では,大動脈弁,僧帽弁を問わず,弁膜症手術の95%以上をMICS(小切開手術)で行っています。2弁,3弁同時手術もMICSで行っており,これは全国期的にみても珍しく,県外からも多くの心臓血管外科の先生方が見学に来られています。この手術における合併症はゼロではありませんが,MICSは多くのメリットがあります。美容的な面は言うまでもありませんが,縦隔炎のリスクがゼロであり,体力のない患者さん,基礎疾患のある患者さん,高齢者の方には大きなメリットがあると考えます。入院期間(術後)は年齢,術前状態にもよりますが,通常10日程度です。
冠動脈バイパスにおいても安全性を担保し,小切開で行っています。前下行枝に対し,繰り返してカテーテル治療が必要な患者さんに適しています。
MICSにおいてセカンドオピニオンを希望される患者さんは,心臓外科 松山克彦:kmatsuyama@aichi-med-u.ac.jpまで直接連絡してください。24時間体制で受け付けております。
2 TAVI:経カテーテル大動脈弁置換術(Transcatheter Aortic Valve Implantation)
重症の大動脈弁狭窄症に対して,通常は人工心肺を用い,心臓を停止させて人工弁に置き換えますが,これに対してTAVIは人工心肺を使わず,小さな傷で行うので体への負担は少なく,人工心肺を用いた手術が困難な方(高齢者,過去に心臓の手術を受けた方,様々な原因で体力が低下している方)が対象です.年齢制限はなく,90歳でも100歳でも可能です.95%以上のほとんどの方は足の付け根の動脈から小指の太さくらいのカテーテル(細い管のこと)を挿入して,心臓まで人工弁を持っていきます。残りの5%の方で足の血管からカテーテルが入れられない方は別の場所から行います(心尖部,上行大動脈,鎖骨下動脈など)。手術時間は1時間ほどです。どの場合も,5cmほどの小さな傷で可能です。
3 Mitraclip:経カテーテル的僧帽弁形成術
MitraClip(マイトラクリップ)とは,低侵襲な「僧帽弁閉鎖不全症」の修復術のことで,僧帽弁の前尖と後尖をクリップで挟み込み,弁を引き合わせることにより僧帽弁の逆流を少なくするカテーテル治療です。 日本国内では2018年4月から保険適用となった新しい治療法です。当院では2023年4月からこの治療を開始しています.僧帽弁閉鎖不全症で内服治療で管理が難しく,心不全入院を繰り返す場合には外科的な僧帽弁形成術または僧帽弁人工弁置換術を行います。しかし,高齢者など,開心術(人工心肺を用いた手術)のリスクが高い場合に,経皮的僧帽弁接合不全修復術を施行します.MitraClipというクリップを足の付け根の大腿静脈から挿入し,僧帽弁をクリップではさむことで逆流を制御する新しい治療です.逆流を制御する確実性は手術に劣りますが,手術時間も短く体への負担が少ないので高齢者に適しています。
診療体制
当院は,循環器内科との連携が密であり,患者さんにとって最善の治療を心がけています。また,動脈疾患においては,血管外科,放射線科の3科で検討し,治療方針を決定しております。月曜日,水曜日,木曜日をおもな手術日とし,その他の曜日にも個々の状態に応じて手術にあたっています。緊急症例においては24時間体制で対応しておりますが,当院は麻酔科,看護師,予備手術室が非常に充実しており,また,ICUベッドも余裕を持った体制を整えており,迅速に緊急手術の受け入れが可能であります。
手術
- 月曜日,水曜日をおもな手術日とし,その他の曜日にも個々の状態に応じて手術にあたっています。緊急症例においては24時間体制で対応しています。術後は早期離床に向けてリハビリテーション科とも連携し入院期間の短縮にも尽力しています。
- 冠動脈バイパス術に関しては約9割が人工心肺を用いないオフポンプ手術で行われています。
- 近年の高齢化社会に伴って弁膜症疾患が増加しています。僧房弁閉鎖不全症に対しては自己弁を温存する弁形成術を,大動脈弁疾患に対してはおもに生体弁を用いた弁置換術を行っています。また,心房細動に対する不整脈手術(メイズ手術)も積極的に行っています。
- 大動脈疾患に対しても定期的に症例検討会を血管外科と放射線科と合同で開催して患者さんに最適な治療法の選択を行っています。
- 手術前に,心臓外科,麻酔科,手術室スタッフ(看護師,臨床工学技士)で症例検討会を行って円滑に手術が進行するように術式や手順を1症例ごとに確認しています。
キーワード
循環器疾患の外科治療
(虚血性心疾患,弁膜症,大血管疾患,不整脈,先天性心疾患,心不全,心筋症)
関連リンク
連絡先
- TEL
- 外線:0561-62-3311(代表)
- 内線:36100 28外来(08:30 - 11:30)