睡眠科

当睡眠医療センターは2000年の開設以来,睡眠時無呼吸症候群を中心とした睡眠呼吸障害,ナルコレプシーなどの過眠症,むずむず脚症候群,レム睡眠行動障害などの睡眠障害の検査・診断を主に行ってまいりました。

そして,2008年元旦には睡眠障害全般を専門に診る診療科として,『睡眠科』が誕生。これにより睡眠障害の治療も主な業務に加わりました。

睡眠障害は生活習慣病との関連が深いことも明らかにされており,総合的かつ専門的な治療が必要です。当科は,今後も東海地方における睡眠障害の高度な診断・治療を行う拠点としての役割を果たしてまいります。睡眠に関して気になる症状,悩みがあればご相談ください。

診療部門からのごあいさつ

当睡眠科・睡眠医療センターは,「地域医療における安全かつ健全な睡眠医療の樹立」を目標として。あらゆる睡眠障害の診療を行えるようにスタッフ一同が昼夜を問わずに頑張っています。これからも,わが国を代表する睡眠医学の診療・教育・研究の拠点になれるよう努力して参りますので,何卒よろしくお願い申し上げます。

主な対象疾患

睡眠時無呼吸

睡眠中に呼吸が止まる病気です。
呼吸が止まることにより血中酸素飽和度の低下をもたらしたり,呼吸再開時に覚醒反応を起こすことで深い睡眠が得られない病気です。
代表的な症状は大きないびきと日中の強い眠気です。
生活習慣病とも関連があり,また眠気により居眠り事故を起こすリスクも高くなります。

ナルコレプシー

何度も繰り返し起こる突然の耐え難い眠気により寝入ってしまう病気です。
短時間の仮眠ですっきりしますが,数時間後に再度眠気に襲われる…という症状を繰り返します。
笑ったり驚いた時に体の力が抜けたり,寝入り時に幻覚をみたり,金縛りなどの症状がみられることもあります。

特発性過眠症

日中の強い眠気はあるものの脱力発作や金縛りなどは伴わない病気です。
短時間の仮眠では眠気が解消せず,一度寝入ってしまったら長時間寝続けてしまう場合もあります。

周期性四肢運動障害

寝ている間,周期的に脚がぴくんぴくんと蹴るように動く病気です。
脚の動きに伴って覚醒反応が起こる場合,深い睡眠を得られなくなってしまいます。

むずむず脚症候群

夕方~夜間にかけて,脚がむずむずして動かさずにいられない病気です。
じっとしている時に症状が出やすく,動くことで軽くなります。
寝ようとすると症状が出現するため,なかなか寝付けなくなってしまいます。

レム睡眠行動障害

寝ながら夢の中と同じ行動をする病気です。
夢の内容は暴力的であったり,恐怖を感じるものが多く,「喧嘩をした」「強盗に襲われた」などの夢の内容に一致して激しい寝言や叫び声,殴ったり蹴ったりするような手足の動きが出現します。

睡眠・覚醒概日リズム障害

睡眠・覚醒のリズムがずれてしまい日常生活に支障をきたす病気です。
睡眠時間が後ろにずれてしまう場合,前にずれてしまう場合,バラバラになってしまう場合などいくつかのパターンがあります。

不眠症

主に4つの症状に分けることができ,症状が週に3回以上,3ケ月以上継続し,日常生活に支障をきたす病気です。

  1. 入眠障害:寝つきが悪く,眠るまでに30分~1時間以上かかる
  2. 中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまい,再び眠るのに時間がかかる
  3. 早朝覚醒:予定の起床時刻より早く目が覚めてしまい,再び眠ることができない
  4. 熟眠障害:十分な睡眠時間をとっているにも関わらず,熟眠感が得られない




受診の際には,下記,睡眠日誌をダウンロードし,記入をお願いします。

高度な専門医療

高度な医療

MSLT(反復睡眠潜時検査)

完全遮光・遮音された環境で,入眠するまでの時間を計測します。
昼間の眠気を客観的に評価する検査です。
過眠症の診断に用いられます。

MWT(覚醒維持検査)

眠気を催しやすい環境で,起きていられるかを計測します。
覚醒をどれだけ維持できるか客観的に評価する検査です。
睡眠障害の治療後の効果判定に用いられます。

長時間記録PSG

患者さん自身のリズムで過ごす中で,どれだけ眠っている時間があるのかを計測します。
MSLTでは過眠症の診断に至らなかった場合に用いられます。

光療法

照度をスケジュールされた環境で規則正しく生活していただき,ずれてしまっている体のリズムを整える治療です。
リズムを順応させるのに期間を要するため1週間程度の入院で行います。

専門外来

概日リズム外来

担当者 篠邉龍二郎
受診方法 再診患者のみ
診療日時 ※医師の担当日時(週・曜日)についてはこちらでご確認ください。

診療・治療実績

診療実績

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
延べ外来患者数 12,943人 11,909人 11,428人 10,771人 10,890人
延べ入院患者数 949人 727人 828人 953人 1,084人

設備等

検査実績

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
終夜睡眠ポリグラフ 469件 366件 411件 463件 512件
睡眠潜時反復検査 161件 149件 145件 93件 142件
携帯用無呼吸検査 284件 227件 196件 290件 465件
覚醒維持検査 - - - - 11件

PSGが施行できる部屋が5室,MSLTを検査できる部屋が2室あります。ただし,検査の都合上,MSLTを2件/週までしかできず,検査まで長期間お待たせすることがあります。ご了承ください。

入院症例数(疑い例も含む)

症例数(重複せず)

年間 約400例の睡眠呼吸障害の患者を検査診断している

睡眠呼吸障害以外では,近年では,過眠症やレム睡眠行動障害,むずむず脚症候群などの睡眠関連運動障害の症例が増えている。

2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
睡眠時無呼吸 1,294例 1,045例 1,218例 1,549例 1,388例
不眠症 68例 49例 82例 111例 139例
過眠症(ナルコレプシー,特発性過眠症) 231例 176例 240例 436例 370例
随伴症(レム睡眠行動障害など) 114例 95例 117例 209例 138例
概日リズム睡眠覚醒障害 53例 29例 45例 102例 88例
睡眠関連運動障害(むずむず脚,反復性四肢運動など) 55例 39例 69例 169例 88例
その他 - - - - 46例

治療

陽圧呼吸療法

睡眠呼吸障害のうち閉塞性睡眠時無呼吸症候群には,持続陽圧呼吸(CPAP)や二層式陽圧呼吸(Bi-level PAP)を,また,睡眠低換気症候群や心不全に伴う呼吸補助が必要な患者には,サーボ制御圧感知型人工呼吸器(ASV)で治療する。

主な陽圧治療機器

軽症OSASでは,歯科での口腔内装具による治療

小児では,アデノイド増殖症や扁桃肥大がある場合は,耳鼻科での手術による治療を勧める場合があります。

睡眠科研究計画書一覧

キーワード

睡眠時無呼吸症候群,シーパップ(CPAP),ナルコレプシー,むずむず脚症候群,特発性過眠症,不眠症,レム睡眠行動障害,反復睡眠潜時検査(MSLT),認知行動療法(不眠症),日本睡眠学会 A型睡眠医療認定施設

連絡先

TEL
外線:0561-62-3311(代表)
内線:36600 34睡眠科外来(13:00 - 16:00)
※睡眠科の診察は完全予約制です。ご予約はお電話にてお問い合わせください。

待ち時間

MSLT,MWTは同一専用病床(2床)で行うため,3ケ月ほどかかる場合があります。