高度救命救急センター

高度救命救急センターとは,複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者さんを受け入れる救命救急センターのうち,特に高度な診療機能を有するものとして厚生労働大臣が認めた医療施設です。広範囲熱傷,四肢切断,急性中毒などの特殊疾病患者さんが対象になり,24時間対応可能な診療体制を敷いています。
当センターには救急蘇生外傷治療室,初療室,ICU,HCU,24時間体制で検査が可能な緊急検査室などがあります。
また,ドクターヘリやドクターカーが配備され,病院前救急医療や災害医療にも対応できるようになっています。

ごあいさつ

高度救命救急センター

愛知医大救命救急センターは、愛知県で高度救命救急センターの指定を受けるともにドクターヘリをいち早く運用し、地域医療ネットワークの中心として、24時間365日、シームレスな患者受け入れ体制を構築しております。救急要請を受けた全患者救命を目標に、病院前医療、迅速・的確な初期診療を行う救急初療室 (ER)、集約的な医療を提供する重症救急患者管理部門(EICU)、中等症救急患者管理部門 (HCU)を駆使して治療にあたっております。
対象疾患は、急性循環不全、急性心筋梗塞、多発外傷、脳卒中、代謝異常、重症感染症、急性呼吸不全、急性腹症、急性中毒などの重症症例で、専門各科の力を結集して急性期管理を行っております。
初療室に搬送されるまで患者さんを待つだけでなく、救急現場に医師1名、看護師1名を含む医療スタッフを派遣して、病院外で直ちに治療を開始するドクターヘリも運用しております。ドクターヘリは365日応需する体制を整えており、1年あたり概ね350回の出動を誇っており、救命率の大幅アップに貢献しております。当院に搬送された患者さんには、充実した専門医を擁する大学病院の特質を生かし、的確かつ高度な診断、治療が行われ、必要に応じて緊急手術、血管内治療等が迅速に施されます。

業務案内

愛知医科大学病院は基幹災害拠点病院の指定を受けており,当センターは,大規模災害が発生した場合,当院の中核として機能します。

三次救急医療機関とは

救急区分には,第一次,第二次,第三次救急医療機関の3つがあります。

  • 第一次救急医療機関とは,外来診療によって救急患者さんの医療を担当する医療機関であり,救急医療に携わることを表明する医療機関をいいます。夜間・休日診療の時間外に比較的症状が軽い患者さんを診療する場合などを指し,処置,注射,投薬だけで済むものを言います。
  • 第二次救急医療機関とは,入院治療を必要とする重症患者さんの医療を担当し,相当の知識及び経験を有する医師及び救急医療を行うために必要な施設・設備などを常時提供できる医療機関をいいます。入院して症状を観察する場合や軽中度の手術などを必要とする場合をいいます。
  • 第三次救急医療機関とは,第二次救急医療では対応できない複数の診療科領域にわたる重症な救急患者さんに対し,高度な医療を総合的に提供する医療体制があること,重篤患者さんに対し高度な治療が可能なこと,医療従事者(医師,看護師,救急救命士等)に対し,必要な研修を行う体制を有することが条件になっています。

当院では,第三次救急医療機関として救急医療に携わってきました。増加する救急要請に対応すべく,平成23年4月1日より「救急告示医療機関」として指定を受け,第一次,第二次対応の救急車も受け入れ,救急車台数・患者数の増加に対応しています。

ER, 集中治療

救急外来(Emergency room; ER)には高度な医療器材がそろっており,救急車,ドクターカー,ドクターヘリからの3次重症患者は救命救急科医師により治療が開始されます。また当院のEICU(Emergency ICU)は12床(うちコロナ対応病床含め個室10床)で,救急外来から入院となった重症患者の全身管理・治療を行います。当院のEICUの特徴は,救命救急科医師によりその日一日一日の治療方針や処置を決める,いわゆる完全型closed ICUです。外傷や敗血症などの疾患は救命救急科医師により退院まで治療が行われ,ACSや脳卒中などは循環器医や脳神経外科医と連携をとりながら治療を行っております。一般病棟で発生した急変患者さんへの対応も救命救急科医師がその場に出向き処置を行い,速やかな対応により救命率や予後を改善しています。EICU退室後はHCU(High Care Unit)で主治医として退院まで治療を行っており,病院前から退院まで一貫した医療を提供できる施設となっています。

外傷診療

当科ではドクターヘリによる病院前診療から,当科外科医によるDamage Control Surgeryを含むAcute Care Surgeryの実践,当科集中治療医による外科的集中治療の実践,そして各科専門医による根本的治療と,重症外傷への迅速かつシームレスな対応を目指しています。特にドクターヘリでは愛知県全域の重症症例,特に重症外傷に対応し現場からの積極的な治療介入を行っています。ERでは当科救急医による初療対応に続き,体幹外傷の手術症例は当科外科医が術者として対応しています。また当科の強みとして,当科集中治療医による質の高い外傷蘇生および引き続くICUにおける高度な集中治療により,重症外傷患者さんの救命と社会復帰を目指しています。また当科は令和5年より愛知県重症外傷センター試行病院(県内2か所)に指定されるとともにハイブリッドERを導入する予定となっており,これにより一刻を争う外傷出血性ショック等の患者さんのさらなる救命率の向上に挑戦しています。

重症熱傷,循環器救急,脳神経救急

高度救命救急センターの対象疾患でもある重症熱傷に対しては,当科で全身管理を行いつつ形成外科と協働して創部の治療を行いながらトータルマネジメントを行う役割を担っており,急性期の手術なども積極的に行っていく方針です。またEICUには循環器集中治療室(CCU)も併設されており,急性心不全,急性心筋梗塞,肺塞栓症,急性心筋炎といった心原性ショックを呈している重症患者の入室が多いのが特徴です。そのため循環器集中治療医としての役割も担っており,特にIMPELLAやPCPSのような補助循環装置を使用している重症患者管理に力を注いでおります。さらに脳神経疾患に対しても,けいれん,意識障害など内科鑑別診断から,痙攣重積,脳梗塞血栓回収などの治療,多発外傷を伴う重症頭部外傷,脊髄損傷などの治療など様々な病態に対して,脳神経外科,脳神経内科,精神神経科,脊椎外科とも協力して初期診断から集中治療,亜急性期の集中リハビリを提供しています。

ドクターヘリ

ドクターヘリとは,初期治療に必要な医療機器を搭載した救急専用のヘリコプターで,救急処置を必要とする患者が発生した現場などに,救急医療に精通した医師・看護師を派遣し,初期治療・本格的救急医療を迅速に行うための医師・看護師派遣システムです。

ドクターヘリの詳細はこちら

ドクターカー

医師及び看護師が同乗し,適切な処置,医療を施しながら患者さんを搬送できる救急車です。
現在は,当院では転院搬送を主体として運用しています。

ドクターカーフォトギャラリー

画像をクリックすると拡大します。

ドクターカー
ドクターカー
ドクターカー
ドクターカー
ドクターカー
ドクターカー
ドクターカー
ドクターカー
ドクターカー
ドクターカー

基幹災害拠点病院

当院は東海・東南海地震を始めとする大規模地震,バス事故など大型事故で発生した患者さんを受け入れる災害拠点病院として機能し,平成18年からは,その災害拠点病院の中核を担う基幹災害拠点病院として,愛知県から指定されています。
そのため災害時における傷病者の受入れだけでなく,被災地で医療支援を行うDMAT/医療救護班の所有,愛知県内災害拠点病院に対する災害医療研修を行っています。

国内災害(DMAT/A・IMAT)

当院は東海・東南海地震を始めとする大規模地震,バス事故など大型事故で発生した患者さんを受け入れる災害拠点病院として機能し,平成18年からはその中核を担う基幹災害拠点病院として愛知県から指定されています。そのため災害医療研究センターとも協力し,災害時における傷病者の受入れだけでなく,被災地で医療支援を行うDMAT/医療救護班の所有,愛知県内災害拠点病院に対する災害医療研修を行っています。医局員はほぼ全員が日本DMATもしくは愛知DMATに隊員登録し活動しております。また,愛知県警と当院は令和元年7月9日に凶器を使用した人質立てこもり事件などの現場において傷病者の発生が予期される場合,事件現場へ医療チームを派遣する協定を締結し「A・IMAT (Aichi Incident Medical Assistance Team)」と名付けられました。不測の事態に備え医局員も訓練などに積極的に参加しています。

大規模地震時医療活動訓練

大規模地震時医療活動訓練

A・IMAT協定締結式

A・IMAT協定締結式

国際貢献

当院では,2001年から医師,看護師,臨床検査技師,放射線技師等を国際緊急援助隊(JDR)医療チームおよび救助チーム医療班の隊員として登録を開始し,海外での災害発生時にはいち早く派遣する体制を整えています。また,認定特定非営利活動法人である災害人道医療支援会HuMA(Humanitarian Medical Assistance)にも登録し,国内外での大きな災害時に医療チームの一員として参加しています。現在当科および当センターでは6名の隊員が登録され活動しています。最近の派遣経験としては2023年トルコ共和国大地震(国際緊急援助隊救助チーム医療班として医師1名,医療チームとして看護師3名派遣), 2015年ネパール共和国大地震(国際緊急援助隊救助チーム医療班として医師1名,医療チームとして看護師1名派遣), 2015年バヌアツサイクロン(国際緊急援助隊として看護師1名,HuMAとして医師2名派遣)があります。

キーワード

高度救命救急センター,広範囲熱傷,指肢切断,急性中毒,重症外傷,3次救急医療,ドクターヘリ,ドクターカー,基幹災害拠点病院

関連リンク

連絡先

TEL
外線:0561-62-3311(代表)
内線:35371 救命救急科医局
内線:39724 高度救命救急センター

さらに詳細な情報はこちらで紹介しています

高度救命救急センターホームページ(学外)