糖尿病性腎症

糖尿病性腎症

概要

糖尿病性腎症は糖尿病の三大合併症(眼・神経・腎)の一つで,血糖値が高い状態が続き,腎臓の血管が障害を受けることで発症します。合併症のうち,一般的には眼症状が比較的早期に(糖尿病罹患後2年ほど)出現し,その後神経症状が続き,腎症状は罹患後10〜15年で発症することが多く,微量アルブミン尿が出ると診断されます。初期には症状はありませんが,進行し尿蛋白が増加すると,浮腫や高血圧などが出現し,腎不全が段階的に進行していきます。現在,透析導入に至る原因で最も多いとされています(図)。早い段階からの介入を行うことで,腎不全の進行スピードを緩やかにすることができるため,早期介入が重要となります。

透析導入患者の主要原疾患の推移

図:透析導入患者の主要原疾患の推移(日本透析医学会統計)

治療

血糖コントロールと食事療法(塩分制限,カロリー制限,蛋白制限)が主な治療であり,また高血圧症や脂質異常症を合併している方は,降圧療法や脂質コントロールも同時に行なっていきます。糖尿病性腎症の血圧コントロールの管理目標としては,130/80未満と言われています。初期の場合は,治療により腎不全の進行を防ぐことができますが,ある程度進行すると悪化を止めることは難しく,末期腎不全に至ると透析治療や腎移植への移行が必要となります。