急速進行性糸球体腎炎

急速進行性糸球体腎炎

概要

尿を作っている“糸球体”に高度の炎症が起こることによって,血尿と蛋白尿が出現し,数日から数週間の間に急速に腎機能が低下する疾患を“急速進行性糸球体腎炎”といいます。
放置すると腎不全に至るだけでなく,場合によっては肺などの重要臓器も障害されうる重篤な病態です。ご高齢の方の頻度が高く,自覚症状は,血尿やむくみがみられることもありますが,発熱,だるさ,体重減少,食欲不振などのはっきりしない症状だけのこともあり,受診時には既に進行している場合もあります。早期に発見し治療を開始すれば,病気の進行を止めることができますが,発見が遅れると,末期腎不全となることもあります。
代表的な原因としては,抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎や抗糸球体基底膜抗体型腎炎などがあります。最終診断は,血液・尿検査に加えて,腎生検を行うことによって総合的になされます。組織学的には糸球体の中に“半月体”という構造物を認め,“半月体形成性糸球体腎炎”とよばれています。

治療

免疫の異常によって,腎臓の血管が強い炎症を起こしているため,その免疫反応をいち早く抑えることが必要です。炎症をしっかりと抑え込むために,まずはステロイドを中心とした治療を行いますが,重症度や症状に応じて,免疫抑制剤を併用します。進行した腎不全の状態であれば,血液透析を行います。肺に血管炎を起こし肺出血をおこした場合などの重症例には,血液成分を交換する“血漿交換”という治療を行うこともあります。

当院(愛知医科大学病院)の特色

不可逆的な腎機能障害をきたさないためには,早期診断・早期治療が重要となってきます。また,再発をしたときにも早期に必要な検査を行い,早期に治療することが重要になります。当院では個々の患者さんの状態に合わせて,どのような薬剤を使用するかを十分に検討し,治療を行っていきます。当院の患者さん中心の診療体制によって,最善の治療を行うことが可能になると考えております。