ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群

概要

ネフローゼ症候群とは,尿に蛋白がたくさん出てしまうために,血液中の蛋白が減り(低蛋白血症),その結果,むくみ(浮腫)が起こる病気です。 むくみは,低蛋白血症が起こるために血管の中の水分が減って血管の外に水分と塩分が増えるために起こります。ネフローゼ症候群は小児から高齢者までみられ,年間に約4000人の方が発症すると報告されています。症候群とは病気の状態を示す言葉で一つの病名ではありません。多量の尿蛋白と低蛋白血症という診断基準を満たせは,原因となる腎臓の病気が何であれ,ネフローゼ症候群に該当します。ネフローゼ症候群のうち,糖尿病などの全身の病気が原因でネフローゼ症候群をおこすものを二次性ネフローゼ症候群といい,明らかな原因がないものを一次性ネフローゼ症候群といいます。一次性ネフローゼ症候群のなかにも色々なタイプの病気があります。正確な診断をするために,腎臓の組織を一部とってきて顕微鏡でくわしく調べる検査(腎生検)を行う場合があります。腎生検は約1週間程度の入院が必要です。腎生検により,一次性ネフローゼ症候群は微小変化型,巣状分節性糸球体硬化症,膜性腎症などに分類されます。

治療

ネフローゼ症候群の治療で最も重要なことは尿蛋白を減らすことです。尿蛋白が多い状態が続くと,腎臓のはたらきがおちたり,免疫力が低下し感染症になりやすくなります。治療の中心となるのは,副腎皮質ステロイドと免疫抑制剤です。食事の塩分制限も重要です。むくみの程度が強い場合には水分も制限し,利尿剤(尿を増やす薬)を使用します。また,腎臓を保護するために,血圧を下げる薬を使用することもあります。コレステロールが高くなることが多いので,コレステロールを低下させる薬も使います。特殊な治療として,血液中の悪玉コレステロールを除去する治療(LDLアフェレーシス)を行う場合もあります。最近では,リンパ球を減らす作用のある新しい薬(リツキシマブ)も使われるようになりました。二次性ネフローゼ症候群の場合は,原因となる病気の治療を優先します。

当院(愛知医科大学病院)の特色

当院では腎生検を中心に,ネフローゼ症候群の原因を正確に診断することが可能です。リツキシマブを使用した最新治療やLDLアフェレーシスも積極的に行っています。ステロイドや免疫抑制剤の使い方を熟知した専門医と豊富な他診療科との連携をもとに,患者様個人に最適な治療を提供しています。