加齢医科学研究所

加齢医科学研究所は当地方の神経病理の診断,教育・研究センターとしての役割を果たしています。神経疾患の治療に携わる臨床医,病理医の協力を得て,東海3県の主要な病院において神経疾患で亡くなられた患者さんの病理解剖による脳・脊髄の検索を年間150~200例程度行い,各病院,各地域での臨床神経病理検討会(CPC)を年間40回以上行っています。

教育方針

加齢医科学研究所では医学生のみならず,卒後の医師・研究者が神経疾患の病態を理解するために,実際にヒトの脳・脊髄を手でさわり,観察することができます。自分自身で標本作製・神経系の特殊検索方法を学び,自ら顕微鏡で標本を検討し,臨床・画像情報・分子生物学的所見を統合して学ぶことが出来る環境と機会をつくることを心がけています。

活動・研究内容

未熟児から100歳老人まで加齢に伴う脳・脊髄の病理学的変化を検討し,この間に生じてくる認知症や神経変性疾患を含む種々の神経疾患の臨床病理学的研究が加齢医科学研究所の主要な研究テーマです。健やかに老いることを阻害するアルツハイマー病,前頭側頭葉変性症,レビー小体型認知症などの認知症,脊髄小脳変性症,筋萎縮性側索硬化症,多系統萎縮症,パーキンソン病などの神経変性疾患,プリオン病の病態解明を目指しています。

スタッフ紹介

氏名 職名 専門分野
岩崎 靖 教授 神経変性疾患,認知症,プリオン病
吉田 眞理 特命研究教授 神経変性疾患,認知症,運動ニューロン疾患,プリオン病
宮原 弘明 准教授 小児神経疾患,形成異常,脳腫瘍
曽根 淳 講師 神経変性疾患,認知症,神経核内封入体病(詳細はこちら(学外)
陸 雄一 講師 神経変性疾患,認知症
赤木 明生 講師 神経変性疾患,認知症,プリオン病

研究テーマ

氏名 研究テーマ
岩崎 靖
  • 認知症,プリオン病の臨床病理学的研究
吉田 眞理
  • 神経変性疾患,認知症,運動ニューロン疾患の臨床病理学的研究
宮原 弘明
  • 小児神経疾患の病理学的研究
曽根 淳
  • 神経核内封入体病の臨床病理学的研究
  • ゲノム研究および治療法開発
  • 神経核内封入体病については,JaNIIDSのホームページ(学外)をご参照ください。
陸 雄一
  • 認知症・運動ニューロン疾患の臨床病理学的研究
赤木 明生
  • 認知症,プリオン病の臨床病理学的研究

部門紹介

ブレインリソースセンター

部門長:岩崎 靖

当研究所は1990年代からヒト脳組織の凍結保存を行い,倫理委員会の承認を得て愛知医科大学加齢医科学研究所ブレインリソースセンター(AKBRC)を設立しています。現在までに1200例以上の脳や脊髄,臓器を凍結保存し,年間50例以上の新たな蓄積があります。神経疾患の病態解明を目指し,凍結組織の研究利用,他施設との共同研究を推進しています。


法医コンサルテーション

責任者:宮原弘明

2020年10月1日より愛知医科大学法医学講座から依頼を受け,法医解剖例の中枢神経病理診断を担当しています。法医解剖例の残余試料は神経疾患・精神疾患・脳血管障害・頭部外傷・神経発生など様々な神経分野の基礎研究で重要な知見を提供しうる貴重な脳資源と考えますが,法医解剖は検察庁や警察の依頼で施行されご遺族の承諾を得る機会がないため,AKBRCとは異なる管理体制が必要となります。当研究所では本学の倫理審査を受けて2022年10月5日に法医部門を新設し,法医解剖後の残余試料を加齢医科学研究所で管理・保管し,神経疾患の病態や原因の解明,治療薬開発の基礎となる医学研究に幅広く活用する試みを始めました。詳細については 「愛知医科大学加齢医科学研究所ブレインリソースセンター法医部門(AKBRC-F)の設立および法医解剖症例の残余検体を分子病理学的研究へ有効活用するための試料管理体制の構築」(PDF:11KB)をご参照ください。法医解剖を受けられたご遺族の中で残余試料の研究活用を希望されない方は情報公開様式に記載された宛先にご連絡ください。当部門との共同研究を希望される場合は下記の必要書類を作成し申請を行ってください。

神経病理部門

部門長:岩崎 靖

神経疾患で亡くなられた患者の脳や脊髄の検索を行い,臨床・画像情報,分子生物学的解析や遺伝子解析を加えて,各症例,各疾患を詳細かつ総合的に検討しています。これまでに6000例以上の蓄積があります。神経病理学の専門学術機関,神経疾患の教育・研究センターとしての重要な役割を果たし,多くの医学生,医師,研究者が研究に励んでいます。神経疾患の病態を理解するために,自分自身で標本作製や神経系の特殊検索方法を学び,自ら標本を検討し研究することができる環境が整っています。

プリオン病解剖部門

部門長:岩崎 靖

プリオン病の病理解剖を施行できる施設は全国的に限られています。当研究所は,東海地区におけるプリオン病の集約した解剖体制を構築し,プリオン病感染予防ガイドラインに従って積極的に解剖や病理組織標本作製の依頼を引き受けています。年間10例前後のプリオン病の解剖を行い,これまでに200例近い症例を検索し,脳組織の保存も行っています。神経病理学的解析に加えて,プリオン蛋白のウエスタンブロット解析や遺伝子解析も含めた網羅的な検討,プリオン病の臨床経過や疫学の研究も行っています。

小児神経病理部門

部門長:宮原 弘明

小児神経病理部門は2020年10月1日に新設されました。胎児期から小児期の神経疾患を適切に病理診断できる施設は全国を見ても多くはありません。小児神経疾患を適切に病理診断するためには小児科臨床の知識が必要となるため,当研究所では小児科専門医を有する神経病理医が在籍し主にこの業務を担当します。小児科のみならず法医学講座の突然死症例・産科の胎児診断・重症心身障害児(者)施設の神経難病症例などの解剖依頼やコンサルタントを受け付けています。
小児の剖検例に関するお問い合わせは,miyahara.hiroaki.926@mail.aichi-med-u.ac.jpにお願いします。

解剖や病理組織検査の依頼方法

加齢医科学研究所では病理解剖,病理組織検査,ブレインカッティング,臨床病理検討会(CPC)の依頼を受け付けています。下記の記載内容をご確認いただき,要領に従って申し込みください(図1,表1~2)。
必要書類は下記よりダウンロードしてください。

※令和4年4月1日より病理組織検査料が変わりました。詳しくはこちら(PDF:176KB)をご覧ください。

※1:電話番号は0561-62-3311(内線12081),メールアドレスはkareiken@aichi-med-u.ac.jpです

愛知医科大学で解剖する場合の必要書類はこちらからダウンロードできます

※1:電話番号は0561-62-3311(内線12081),メールアドレスはkareiken@aichi-med-u.ac.jpです
※2:神経核内封入体病の各種検査については,JaNIIDSのホームページ(学外)にお送りください
※3:依頼元の規定に従いますが,基本的に1日分の代務料をお支払いください

愛知医科大学で解剖しない場合の必要書類はこちらからダウンロードできます

1 病理解剖の依頼(共通事項)

連絡先:加齢医科学研究所(電話0561-62-3311,内線12081)
対象:原則として脳神経内科または小児科が関与していた神経疾患症例
対応可能な時間帯:平日の9時から17時
※平日の時間外,土日祝日,年末年始は行っていません。
※学会期間中などでスタッフが不在の場合には病理解剖が行えない場合があります。

病理解剖の所要時間と必要人数の目安は以下の通りです。
・ 全身解剖:2~3時間(3~4人)
・ 開頭+脊髄採取:約1時間半(2~3人)
・ 開頭のみ:約1時間(1~2人)
※スタッフの移動にかかる時間は含まれていません。

解剖が開始されるまでに必要な書類(上の表を参照)を準備してください。

解剖の際には臨床情報として以下をご準備ください
・臨床情報の要約(A4用紙で1~3枚程度)
・画像ファイル(MRI,CT,SPECT,PET画像,脳波など,CD-Rが望ましい)

費用:標本作成料に加えて,解剖室使用料(持ち込み剖検の場合)や交通費・代務料(出張の場合)を請求させていただきます。

報告までの所要期間の目安
・病理標本の作成:解剖から約2~3ヵ月
・病理診断:標本完成から約1~2ヵ月
・報告書の作成:解剖から約半年~1年
プリオン病の解剖やブレインカッティングも行っております(原則として開頭のみ)

ご遺体を搬送して解剖を行う場合
病理解剖は愛知医科大学2号館(研究棟)の病理解剖室で行いますので,その間,搬送車両は定められた駐車スペースにてお待ちください(下図)。ご遺族の同伴は必須ではありません。

2 解剖済みの脳組織の病理組織検索の依頼

受け渡し:指定した時間に組織や標本を持参してください。
連絡先:メールや電話にて加齢医科学研究所に病理組織検索を依頼してください。
必要書類:上の表を参照に必要書類を準備してください(1症例につき1組必要です)。その際,依頼元病院の解剖に関するご遺族の承諾書のコピーも準備してください。
臨床情報:臨床病歴のサマリーとマクロ写真を記録したCD-ROMを準備してください。

3 出張ブレインカッティングと病理組織検索の依頼

対応可能な時間帯:平日の13時から17時
※平日の時間外,土日祝日,年末年始は行っていません。
※1回のブレインカッティングで検索する症例は3例までとします。
必要書類:上の表を参照に必要書類を準備してください(1症例につき1組必要です)。その際、依頼元病院の解剖に関するご遺族の承諾書のコピーも準備してください。
臨床情報:臨床病歴のサマリーとマクロ写真を記録したCD-ROMを準備してください。

4 生検標本や手術標本の病理組織検索依頼

受け渡し:加齢医科学研究所に標本を持参するか郵送してください。
連絡先:メールや電話にて加齢医科学研究所に病理組織検索を依頼してください。
必要書類:上の表を参照に必要書類を準備してください(1症例につき1組必要です)。
臨床情報:臨床病歴のサマリーとマクロ写真を記録したCD-ROMを準備してください。

5 臨床病理検討会(CPC)の依頼

連絡先:メールや電話にて加齢医科学研究所にCPCの依頼をしてください。
対応可能な時間帯:平日の13時から20時
※平日の時間外,土日祝日,年末年始は行っていません。
※1回のCPCで検索する症例は3例までを原則とします。
※臨床担当の先生がCPCでご提示いただいた臨床病歴はAKBRCで保管します。
当日,紙媒体かパワーポイントファイルをご提出ください。
※出張CPCを行う場合には病理解説担当者に交通費・代務料をお支払いください。

6 補足

① 必要書類は原本を提出し,依頼病院でコピーを保存してください。
② 病理組織検査料には,病理標本作成料,病理診断料,報告書作成料が含まれています。
③ 交通費・代務料の金額は出張先病院の規定に従います。
④ 当研究所ではルーチンで蛋白のウエスタンブロット解析や遺伝子解析は行っていません。
⑤ 最善を尽くしますが必ずしも確定診断が得られるわけではないことをご了承ください。
⑥ 学会発表や論文投稿に病理所見や画像を使用する際には,事前にご連絡いただきますようお願いいたします。

7 連絡先

愛知医科大学加齢医科学研究所 神経病理部門
電話: 0561-62-3311 (内線12081)
メール: kareiken@aichi-med-u.ac.jp

8 病理組織検査依頼料の支払いに関する問い合わせ先

愛知医科大学加齢医科学研究所 事務担当
電話: 0561-62-3311 (内線12091)

9 関連文書(下記より参照可能です)

研究業績

倫理申請

キーワード

加齢,神経病理,運動ニューロン疾患,パーキンソン病,脊髄小脳変性症,認知症,多系統萎縮症,神経感染症,脱髄疾患,プリオン病,脊髄,病理解剖

関連リンク

連絡先

TEL
外線:0561-62-3311(代表) 加齢医科学研究所
E-Mail
kareiken@aichi-med-u.ac.jp