理事長・学長あいさつ

学長 祖父江 元

学長 祖父江 元

愛知医科大学の所在地である長久手市は,県内有数の文教地区であり,優れた自然環境と市街地の利便性が両立した“住みたい街”として,若い世帯の転入が続き,県内有数の人口増加率を誇っています。更に,2022年11月には愛・地球博記念公園内にジブリパークがオープンし,全国から注目を集める街となっています。

愛知医科大学は1972年に建学され,2022年に創立50周年を迎えました。建学の精神は「新時代の医学知識・技術を備えた教養豊かな臨床医を養成する」,「時代の要請に応えて地域社会に奉仕できる医師を養成する」,「医療をよりよく発展向上させるための医学指導者を養成する」です。開学当初は医学部のみでありましたが,その後大学院医学研究科,看護学部,大学院看護学研究科が設置され,現在までに,医学部卒業生は4,644名,看護学部卒業生は2,090名を数えており,有能な医療人材を輩出してきております。

創立50周年記念事業においては,2021年4月に岡崎市に愛知医科大学メディカルセンター(分院)を,2022年7月に名古屋市に愛知医科大学眼科クリニックMiRAIを開院し,地域医療の拠点,先進眼科診療・研究拠点として活動しております。また,2022年1月には本学に日本造血細胞移植データセンターを移転・開設したほか,学生の学修環境及び福利厚生の充実のため,医心館セミナー室の拡充やレストラン「オレンジ」の改修,スターバックスの誘致にも取り組んで参りました。更にはこれからの医療ニーズに対応するため,リハビリテーション医療の充実,がん医療の推進,看護学研究科博士課程設置準備も進めていきます。

医学教育においては,2019年に国際認証評価である医学教育分野別評価,2020年には大学評価を受審し,いずれも高い評価を頂いています。看護学教育については,2023年に看護学教育評価を受審することとなっています。次世代の医学・看護学教育を目指すべく,実技実践教育の場であるシミュレーションセンターのスペースを約2倍に拡張したほか,OSCEの評価・実習体制の整備も完了し,全国的にも高い水準の教育施設となっています。医師国家試験及び看護師国家試験の合格率は,毎年大変高い合格率を誇っておりますが,2022年度の新卒合格率は,いずれも100%を達成しております。

2019年度からの新型コロナウイルス感染症に対しても万全の対応を行ってきました。日々の行動指針策定,体調管理,リモート講義,実習の対応,更にワクチンの接種,生活や修学環境の整備支援など細かな対策・支援を行ってきております。このような対応が高い国家試験合格率にもつながっていると考えております。

また,研究創出支援センターでは,研究支援部門,共同実験部門,バイオバンク部門が充実してきており,特にバイオバンクは,AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)のバイオバンクリストに,私立医科大学としては最初に登録され,がん組織,患者血液を中心として検体の蓄積が進んでいます。更に,文部科学省の私立大学ブランディング研究事業,私立大学等改革総合支援事業にも採択されており,特色ある研究が進んでいます。大学附置の加齢医科学研究所では6,000例を超えるブレインバンクが構築されており,これは脳研究の世界的な研究基盤ともなっています。また,2022年1月に本学に移転した日本造血細胞移植データセンターでは,全国350施設からの白血病を中心に患者データを集積・解析しています。

診療においては,地域がん診療連携拠点病院及びがんゲノム医療連携病院に指定されており,院内にがんセンター及びゲノム医療センターを設置しております。手術件数は年間約13,000件に上り,ドクターヘリも活躍しており,この地域の中核病院として益々充実してきています。また,新任教授を中心に診療体制の充実を図っています。脳神経外科では,血管内治療,脊椎脊髄外科治療,神経内視鏡治療において全国でも有数の体制を整えています。また,いたみセンター,睡眠医療センターは,全国的にも治療に直結するユニークな試みを展開しています。更に,2021年4月に岡崎市に開院した愛知医科大学メディカルセンターは,地域医療密着型の中核病院として発展しており,今後は若い医師らを育てる「教育病院」としての機能も充実させていきます。

更に,県内の救急災害医療の拠点病院として,災害医療研究センターを設置し,災害医療研究や教育,災害医療の啓発活動に積極的に取り組み,南海トラフ大地震に備える役割を果たせるように努めております。

これらの先進化した教育,研究,診療リソースを最大限に活用して,医学部・看護学部の学部生,大学院生は充実した学習・実習を進めることができます。ちなみにTHE日本大学ランキング2023では,教育リソース部門で我国のすべての大学中第10位(昨年12位,一昨年14位)となっています。

愛知医科大学は,21世紀における新しい医療の在り方を提示する為,教育・研究・診療の全てにおいて,効率化を実践し,成果を上げてまいります。

プロフィール

略歴

1975年3月 名古屋大学医学部 卒業
1981年3月 名古屋大学大学院医学研究科 修了(医学博士)
1995年4月~2000年3月 名古屋大学医学部神経内科教授
2000年4月~2015年3月 名古屋大学大学院医学研究科神経内科教授
「医学研究科」は,平成14年4月の組織改編により「医学系研究科」に名称変更。
2001年11月~2007年3月 名古屋大学総長補佐(鶴舞地区)
2007年4月~2009年3月 名古屋大学大学院医学系研究科副研究科長
2009年4月~2012年3月 名古屋大学大学院医学系研究科長・医学部長
2015年4月~2021年3月 名古屋大学大学院医学系研究科神経変性・認知症制御研究部特任教授
2018年1月~2019年1月 学校法人愛知医科大学副理事長
2019年1月~現在 学校法人愛知医科大学理事長
2020年4月~ 愛知医科大学学長

所属学会

1996年5月~ 日本神経学会理事
2003年1月~ 日本老年医学会代議員
2004年10月~ 日本自律神経学会理事
2006年7月~ 日本神経治療学会理事

受賞

2005年 時実利彦記念賞
2007年 中日文化賞
2018年 武田医学賞
2020年 文部科学大臣表彰(科学技術分野)