腫瘍免疫寄附講座

教室紹介

本講座は「新しい科学的ながん免疫療法の開発研究」を目的として平成24年度に開設し,研究,教育,社会活動を継続している。
教室では現在脚光を浴びている固形がんに対するがん免疫療法に関して,制御性T(Treg)細胞除去療法の開発研究を行っている。我々は2012年にCCR4分子を成人T細胞白血病(ATL)の治療標的分子とした抗CCR4抗体薬の上市に成功した。このケモカインレセプターCCR4分子が,健常人のリンパ球では制御性T(Treg)細胞に発現していることを見出し,正常Treg 細胞の除去により,がん免疫の増強効果を観察していたので,この抗CCR4抗体のがん免疫治療への応用研究を開始した。医師主導治験のプロトコールは講座を開設した2012年に厚労省の「革新的がん医療実用化研究事業課題」として採択され,全国8施設(愛知医科大学,国立がんセンター東,慶應義塾大学,東京大学,名古屋市立大学,大阪大学,岡山大学,川崎医科大学)の共同研究として発足した。本プロジェクトは本大学の研究支援課の協力をえて,当教室に治験事務局本部を置き,医師主導治験を強力に推進した結果,治験1a/1b相を完遂し,2018年には治験の安全性と有効性を示す報告書も完成した。
本治験結果を踏まえ,平成28年度からは抗PD-1応対(ニボルマブ)とモガムリズマブの術前併用療法(がん免疫ネオアジバンド療法)の医師主導治験を立案,AMEDに採択された(研究代表者, 大阪大学大学院臨床腫瘍免疫学 和田尚教授)。本治験における特徴は,抗がん免疫治療剤を術前に投与することにより,未治療の固形がん患者さんに対して薬剤の投与前後における免疫環境の変化を解析して,がん免疫治療におけるバイオマーカーの探索や,作用機序を研究する事にある。当教室では,がん病巣の微小環境(TME)における各種免疫細胞のクロストークの解析をフローサイトメトリー,免疫染色,次世代シークエンサー等により多角的に行っているが,特に治療前後の病巣局所における多重免疫組織染色を研究創出支援センターの鈴木進准教授(当講座准教授兼任)が臨床病理の都築豊徳教授らとの共同研究で興味ある結果が得られ始められている。また長年共同研究を行っていた耳鼻咽喉科の小川徹也臨床教授が責任医師(PI)となり,「ネオアジュバンドがん免疫療法の治験」の一環として,愛知医科大が頭頸部癌(口腔癌)領域の開発研究をする事になり,2019年1月には本大学のIRBの審査・承認を受け,12月末に第1例が登録され治療された。本プロジェクトは2020年中に完結し,2021年に成果報告の予定である。
教室主任は2019年より,AMEDの創薬基盤技術開発事業として,「患者層別化マーカー探索事業」の研究代表者として研究の総括を担当している。本年度も大学を始め,多くのがん関連の学会や財団をとうして,がん政策からがん研究の在り方のアドバイザーやがん研究の指導・評価を行っている。

教育方針

腫瘍免疫学の基礎と臨床研究を主に大学院生及び卒後研修医,若手研究者と一緒にグローバルな視野の下で進めることにより,研究の面白さや奥の深さをスタッフと一緒に身をもって感じてもらい,より発想豊かな臨床研究医師を育てていきたいと思います。日々の地道な研究と議論の中から,科学的で国際的に通用する若い研究者を一人でも多く育成していきたいと思っております。

活動・研究内容

腫瘍免疫寄附講座は,次世代がん免疫療法の開発を目的とした,基礎的,臨床的研究を行います。
具体的には,以下の項目を推進しております。

  1. 免疫学における腫瘍免疫学の位置づけ
  2. 腫瘍免疫応答機序の分子的,機能的解析
  3. 腫瘍特異抗原の機能解析
  4. 腫瘍特異的細胞傷害性T (CTL)細胞の作製及びCTL機能の亢進と増殖法の検討
  5. 制御性T (Treg) 細胞の機能解析と制御法の開発研究
  6. 日本初のネオアジュバント設定がん免疫療法である「固形がん患者に対するMogamulizumab/ Nivolumab術前併用投与の安全性を観察するための第Ⅰ相治験」
  7. がん免疫療法に有効なバイオマーカーの探索研究

最近の目覚しいがん免疫療法の臨床成果は,がん免疫療法がOnco-immunologyとしてがん治療の第4番目の柱になることがいよいよ現実味を帯びてきており,本教室もその一端を担いたいと思っております。
教室主任は大学院生や研究生の指導の他,社会的活動としては,がん医療の推進を目的とした多くの機関と協力して,がん政策,がん予防,がん治療やがん研究に微力ながらお手伝いさせていただいております。

スタッフ紹介

氏名 職名
上田 龍三 教授
鈴木 進 准教授(兼務)
奥村 京子 助手

研究テーマ

主たるテーマ : がん免疫療法の開発研究

  1. がん抗体療法の基盤研究
  2. がん免疫抑制環境制御に基づく新たながん治療法の開発研究
      ・固形がんに対する併用がん免疫療法(ネオアジュバントがん免疫療法)
      ・固形がんに対する併用がん免疫療法(がん微少環境における免疫クロストークの解析)
  3. 抗原特異的CTL移入療法に関する研究

研究業績(平成24年度以降)

主な研究活動(平成24年以降)

委員等

現在の学会活動

主な受賞

キーワード

腫瘍免疫,CCR4,制御性T細胞,CTL,抗体療法,がん免疫療法,がんワクチン,がん免疫アジュバンド療法

連絡先

愛知医科大学医学部・腫瘍免疫寄附講座
〒480-1195 愛知県長久手市岩作雁又1番地1

TEL: 外線:0561-62-3311(代表),0561-63-1514(直通)
           内線:11319
FAX :   0561-63-1514