分子標的医薬寄附講座

多くの疾患機構が,細胞内シグナル伝達の異常で説明できるようになりました。そして異常なシグナル分子を選んで,その活性を抑制して治療効果を示す「分子標的医薬」が注目されています。分子標的医薬は疾患の原因をピンポイントで攻撃するので,活性が選択的で,副作用が小さい特徴があります。さらに低分子化合物を用いることで,今までと同じように治療ができるので,すぐ使える治療法になります。本講座(平成29〜33年度)は製薬企業や医療法人の支援を受け,私たちは疾患に有効な低分子シグナル伝達阻害剤を探索し,新しい化学療法剤の開発基礎研究,及び阻害剤を用いた病態解析の研究を行っています。

教育方針

生物学は記憶する学問ではなく,理論的で1をきいて10を知ることができる学問分野になりました。また,基本的な化学は生物学や医学の理解や研究にとても役に立ちます。そこで,私たちの研究を知っていただくこと,さらに研究に参加していただくことで,そのような新しい生物学を紹介したいと思っています。
「生体分子の化学」の授業を担当しています。生体分子の構造と機能の関連や医療への応用をお話しします。

活動・研究内容

私たちの見出したNF-kappa B阻害剤DHMEQは選択性の高い阻害剤で,動物実験で毒性を示さず,強力な抗炎症・抗癌活性を示しました。本講座ではDHMEQの開発基礎研究を行い,さらに微生物や植物の産生する生理活性物質から新しいシグナル伝達阻害物質を探索して副作用の少ない新規薬剤の創製を目指しています。最近,さらに進化したDHMEQより安定なNF-kappa B阻害剤SEMBLや組織の線維化を阻害する天然物を見出しました。新しいNF-kappa B阻害剤の有用性を見出すこと,DHMEQを用いて疾患の機構を解明すること,及び抗線維化医薬を開発する研究をしています。また,多くの国内外の大学や研究所と共同研究をしています。私たちの研究内容を広く知っていただくように多くの学会発表と論文発表を行いたいと思っています。

スタッフ紹介

氏名 職名 専門分野
梅澤 一夫 教授 生化学,創薬
小嶋 しおり 研究員 細胞生物学
マー・ジュン 研究員 合成有機化学
ウー・ヤンフア 大学院生 天然物化学
袴田 雅俊 大学院生 細胞生物学

研究テーマ

氏名 研究テーマ
梅澤 一夫
  • シグナル伝達阻害剤の天然からの探索と分子デザイン
  • シグナル伝達阻害剤を用いた疾患の機構解析
  • 新しい機構で働く抗炎症・抗癌剤の開発
小嶋 しおり
  • 化粧品・介護に有用な化合物の探索と機構解析
マー・ジュン
  • シグナル伝達阻害物質の合成
ウー・ヤンフア
  • NF-kappaB阻害物質の探索
袴田 雅俊
  • スキンケアに有用な化合物の探索と作用機構の解析

分子標的医薬探索研究と疾患の機構解析

左上:探索研究のプロセス
右上:細胞内シグナル伝達と今までに見つけた阻害剤の標的分子
左下:NF-kappa B阻害剤DHMEQの発見
右下:NF-kappa B活性化のシグナル伝達とDHMEQの阻害機構

DHMEQの作用機構・疾患抑制と抗線維化活性のある植物由来コノフィリン

左上:DHMEQによるNF-kappa B構成因子への結合と活性阻害
右上:DHMEQによる多くのin vivo疾患モデルの抑制
左下:「腹腔内細胞のNF-kappa Bを阻害すると多くの難治性疾患が改善する」提案
右下:植物由来コノフィリンは膵ベータ細胞を増やし,膵島線維化を抑制し,脂肪肝・NASHモデルを改善

研究室からのお知らせ

DHMEQを用いた多くの研究成果から,炎症や癌における腹腔内細胞の重要性を提唱しています。近未来にNF-kappa B阻害剤DHMEQを腹腔内投与して多くの難治性炎症疾患,癌を抑制できると考えています。研究室(研究棟211)および寄附講座室(研究棟376)にはお気軽にお立ち寄り下さい。

論文

シンポジウム,セミナー,学会発表等

キーワード

分子標的医薬,炎症,癌,糖尿病,シグナル伝達,天然物,分子デザイン

連絡先

TEL
外線:0561-62-3311(代表) / 0561-61-1959(梅澤居室)
内線:12211,12376
FAX
0561-61-1959
E-mail
umezawa@aichi-med-u.ac.jp