腎疾患・移植免疫学寄附講座

愛知医科大学では,平成27年(2015年)4月に腎移植の臨床の場が臓器移植外科学寄附講座から外科学講座(腎移植外科)に移りました。同時に,愛知医科大学内で腎疾患・移植免疫学寄附講座が発足し,研究の場として存在していた名古屋大学,移植免疫学寄附講座の組織をそのまま移動することができました。寄附講座設置申請には,腎臓・リウマチ膠原病内科の今井裕一教授(当時)にご尽力いただきました。本寄附講座更新にあたり,関係者の皆様から貴重なご支援をいただきました。平成27年(2015年)の開設そしてその後の更新にあたり,ご協力いただきました企業・病院・大学関係者の皆様には,心より御礼申し上げます。

教育方針

腎臓・リウマチ膠原病内科,小児科,腎移植外科を含む総合腎臓病センターは単科講座(診療科)では行うことができない組織横断的な診療・研究・教育を可能としました。魅力ある組織作りは,リサーチマインドを持つ若手人材を全国から集め,知的探求心を向上させ,将来のCKD医療を担う優秀な人材を育成し,センターをさらに活性化しております。この間,博士号取得者6名を輩出し,2022年4月現在では博士課程大学院生2名(外科医1名,小児科医1名)が,2名のスタッフと5名の研究補助員,1名の研究員と共に本寄附講座で研究活動を行っております。科研費取得・論文作成・学会発表はもちろんのこと,AMEDにも参画することで,対外的にも重要な立ち位置を獲得しました。慢性腎臓病,小児,糖尿病,臨床検査に興味を持つ医師・技師・薬剤師が研究に携わっており,研究者間の交流による研究の更なる発展が期待されております。また,学内におけるいくつかの治験にも参加し膵島移植の準備も糖尿病内科とともに開始しております。博士号取得後の留学など研究を通して,幅広い分野で有用な人材を育成することは将来を見据えた重要な課題であると信じております。

本講座のもっとも重要な目的の一つに,research mindを持った医師・co-medical・学生の育成があります。この概念は移植領域にとどまらず,医療に携わる人材の育成とつながると考えております。そのため,将来腎疾患・移植に関わらなくとも,研究に興味があり,モチベーションの高い人材育成を主目的とした活動を行っております。名古屋第二赤十字病院・愛知医大・増子記念病院・豊橋市民病院・市立四日市病院・あいち小児・熊本赤十字病院・沖縄県立中部病院からの医師の研究活動への参加を通してグループ全体の活性化に寄与したいと考えており,将来は全国規模での研究活動の促進,腎疾患・移植医療の活性化と発展に貢献したいと考えております。

活動・研究内容

  • 抗体が存在しても移植臓器が拒絶されない「免疫順応」のメカニズムの解明
  • ドナー臓器特異的な免疫寛容の誘導法開発
  • 細胞表面HLA class I/IIの発現制御メカニズムの解明と薬効効果
  • OMICS(mRNA/miRNAなど)を利用した,オーダーメイド医療への応用
  • 遺伝子改変豚を利用した,病態モデルの開発と異種移植への応用
  • 臓器特異的応答T/B細胞クローンの同定と,その制御法
  • 免疫抑制機能を持つ多様性幹細胞の機能解析と臨床応用
  • 免疫抑制下のウイルス感染のモニタリング
  • ドナーHLA/血液型抗体産生に対する,B細胞応答

スタッフ紹介

氏名 職名
岩﨑 研太 准教授
三輪 祐子 助教
石原 美幸 助手
和泉 亜紀 助手
今本 由紀 助手
紙屋 愛 助手
河野 あゆみ 助手
野田 貴幸(愛知医科大学病院薬剤部) 研究員
田中 一樹(あいち小児保健医療総合センター) 博士課程(腎移植外科)
木下 航平(愛知医科大学腎移植外科) 博士課程(腎移植外科)
岡田 学(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院・2020年) 過去在籍者(現在・卒年)
松岡直也(愛知医科大学腎臓・リウマチ膠原病内科・2020年)
西平 守邦(友愛医療センター・2021年)
前仲 亮宏(アメリカ・MGH・2021年)
島袋 修一(沖縄県立中部病院・2022年)
奥村 真衣(中津川市民病院・2022年)
友杉 俊英(アメリカ・MGH・2022年)
坂本 慎太郎(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院・2022年)
打田 和治(増子記念病院) 過去在籍者(スタッフ)

研究テーマ

氏名 研究テーマ
岩﨑 研太
  • 免疫寛容・順応,異種移植,OMICS(single cell, repertoire, NGS)
三輪 祐子
  • 補体・凝固,ABO不適合移植,ウイルス感染,異種移植
野田 貴幸
  • ドナーHLA特異的抗体産生B細胞の培養と臨床応用
岡田 学
  • ABO不適合移植におけるde novo HLA抗体産生
松岡 直也
  • 内皮細胞におけるautophagyの機能解析
西平 守邦
  • 臓器移植とウイルス感染
前仲 亮宏
  • 内皮細胞HLA発現メカニズムの解明
島袋 修一
  • ドナー細胞を利用したHLA検査
奥村 真衣
  • TDMとde novo DSA
友杉 俊英
  • ドナーHLA抗原特異的Tfh同定と機能解析
坂本 慎太郎
  • De novo DSA産生のin silico解析
田中 一樹
  • 臓器移植における,術後バイオマーカーの検索
木下 航平
  • 異種移植

メッセージ

研究のカンファレンス時には腎移植外科・腎臓内科の先生方も参加します。カンファレンスは火曜日・木曜日に研究のカンファレンス,金曜日に抄読会が開催されます。参加スタッフ・学生は各々興味の持てるテーマで研究を遂行していただくことが可能となっております。研究の相談など,ご連絡いただけますと幸いです。

論文・獲得研究費など

下記(外部サイト)をご参照ください。

岩﨑 研太:researchmap kaken
三輪 祐子:researchmap kaken
小林 孝彰:researchmap kaken
石山 宏平:researchmap kaken
安次嶺 聡:researchmap

キーワード

移植免疫,HLA,免疫モニタリング,OMICS,ウイルス感染,異種移植

連絡先

TEL
外線:0561-63-1410
FAX
E-mail
kentaiwasaki@aichi-med-u.ac.jp