腎臓・リウマチ膠原病内科

当診療科は,旧第一内科を前身とし,診療科再編により現在の腎臓・リウマチ膠原病内科となりました。今井裕一教授を初代教授とし,伊藤恭彦教授が2代目を務めており,約20名の体制で日々の診療・教育・研究に当たっています。
わが国で慢性透析療法を受けている患者総数は33万人であり,これは国民430名につき1人に相当し,原因となる慢性腎臓病は1330万人で国民8人に1人といわれ,まさに国民病ということができます。腎不全になると食事,透析など患者さんの負担も大きくなります。この病気を予防,早期発見,適切な治療によって進行を防ぐことはきわめて重要な任務と考えます。万一,治療にもかかわらず腎不全が進行し腎代替療法(血液透析,腹膜透析,腎移植)が必要となった場合には,患者さんに適した最良の治療法を選択し(下記参照),最善の治療を提供する体制をとっています。
一般的に,慢性腎臓病という形でひとくくりにされていますが,その原因となる疾患は下記のように多彩です。医学の進歩ととともに新しい治療薬,治療方法も開発されてきました。当科では,最新の治療を取り入れ,腎不全へ進行しないことを目標にしています。しかしながら,腎臓病は早期に発見し,早期治療,進行の予防を始めることが重要です。早期からの対応によって完全に直すことがしばしば可能となります。腎臓は,沈黙の臓器と言われ,慢性腎臓病は,痛いとかかゆいという症状がなく,タンパク尿,血尿があるだけということで油断をしてしまう方がみえます。また,動脈硬化性の腎臓病(腎硬化症)は,検尿異常がなくても腎機能が低下していきます。採血結果のeGFRが,60ml/min以下の際,検尿異常の際にはぜひご相談ください。
リウマチ・膠原病分野の治療法の進歩は目覚ましいものがあります。これまで関節リウマチは,関節破壊から手足の変形が進行し手術が必要になり,機能が落ち,生活に支障が出ることが大きな問題でした。今日,生物学的製剤等新たな治療薬が開発され,関節破壊の進行もとまり改善する時代となってきました。他にも多くの膠原病・リウマチ性疾患(下記参照)があり,発熱,関節痛,皮膚,筋肉の症状をはじめ様々な症状を呈してきます。類似する症状も多く診断のため,また治療方針決定のため短期間入院をお願いすることもあります。また,疑われるような症状がありましたら,相談をしていただければと思います。

診療部門からのごあいさつ

部長 伊藤恭彦

部長 伊藤恭彦

腎臓は,200万個の『糸球体』を用いて血液中の老廃物などをこしだし,尿を作り出すコーヒーファイルターのような役割を果たしています。それが目詰まりをおこし,濾過機能や調整機能が低下していくのが腎臓病のしくみです。腎機能が低下し,自分の腎臓で体液調節がつかなくなると透析を含めた腎代替療法が必要となってしまいます。この病気の特徴は,蛋白尿,血尿が出るだけで症状がない方が多いことです。また,検尿に異常がなくても腎機能が低下することもあります。早期発見,早期治療が大切な病気です。検診やかかりつけ医に診ていただくことで早期発見に努めましょう。進行してしまった際の腎代替療法は,高齢者に適する腹膜透析もでき,腎移植も移植外科との連携で可能となっているのが当院の特徴です。
当科では,最善の治療を目指し週2回入院患者さん全員の症例カンファランスを行い,さらに,連日,新入院患者,重症患者さんの検討会を行っています。診断,治療困難な症例は,医局全体で知恵を絞って,何がベストかということを考えて対応するように努めています。また,地域の先生方とも密着した連携をとっています。今後とも,患者さんのために最善の診断・治療を提供でき信頼される診療科であるよう日々努力して参ります。

主な対象疾患

腎臓領域

リウマチ・膠原病領域

専門外来

腎生検外来(予約制)

腎生検を行う患者さんに対して,検査方法などについて詳しく説明させていただく外来です。

「腎臓から組織をとる手技・操作」のことを「腎生検」と呼んでいます。
持続する血尿・蛋白尿などの腎機能障害が出現した患者様に行い,(1)正確な組織診断を得ること(2)病気の見通しを予測すること(3)適切な治療法を決定するために行ないます。

担当者 交代制
受診方法 初めての方は,事前の紹介状やお電話にてご予約ください。
腎臓・リウマチ膠原病内科の外来を受診し,ご相談いただいてから受診されてもかまいません。
診療日時 ※医師の担当日時(週・曜日)についてはこちらでご確認ください。

腹膜透析外来(木曜日:予約制)

腹膜透析(Peritoneal Dialysis:PD)とは,自分の体の中の「腹膜」を利用して透析を行う方法です。
患者さんはお腹の中にチューブ(カテーテル)を留置します。カテーテルを通じて透析液を注入し,一定時間おいてから排液することを1日3-4回程度行います。お腹に透析液が入っている間に,腹膜の血管を通じて過剰な水分や不要な老廃物が透析液側に移動していきます。1日24時間,連続してゆっくり行うため,患者さんの体に負担が少ない治療となります。腹膜透析は基本的に患者さんがご自分で行っていただく治療で,寝ている間に機械を使って自動的に行う方法(Automated Peritoneal Dialysis:APD)と,日中に数回透析液を交換する方法(Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis:CAPD)があります。透析液の交換時間帯以外は自由に時間を使っていただけるため,通学・就労・家事・旅行なども可能で,患者さんの生活パターンに適した治療が行えます。

診察

腹膜透析の導入に際しては,患者さんおよびその周囲のご家族の状況をふまえ,安全に治療が可能か相談して決めていきます。ご高齢の方ではご家族の負担軽減のため,近隣の在宅医や訪問看護ステーションと協力しサポート体制を整えています。導入前の外来では体調管理の他,導入後の手技や自己管理,生活パターンに不安が無くなるまで患者さんに合わせて説明させていただきます。導入後,腹膜透析は在宅治療が基本となりますが,患者さんの病態やライフスタイルに合わせて月2回程度通院していただいています。ゆったりした診察時間を設け,医師・認定看護師・管理栄養士などが連携して手技の確認,合併症予防,食事管理など腹膜透析生活のサポートを行っていきます。
カテーテルトラブルや腹膜炎などの緊急時にも素早く対応でき,電話相談も可能です。
腹膜はご自分の体の一部ですので,状態が次第に変化していきます。それにあわせて透析内容を変更する必要があり,定期的な腹膜機能検査(外来または短期入院)を行っています。残存腎機能(尿量)や腹膜機能が低下してきた場合には,血液透析の併用や移行,腎移植を提案させていただきます。

手術

当院ではSMAP法という,カテーテルを留置する際に出口を作製せず,一旦,皮下に埋没する手術を行い,透析を開始する時期に出口を段階的に作製し腹膜透析を開始する導入法を行っています。2回の入院が必要となりますがSMAP法によって導入時の合併症を軽減し,患者さんの予定に合わせて計画的導入が可能です。

旅行などで愛知県にお越しの方,他の疾患で当院へ入院される方の一時的な対応も適宜受け入れております。
詳細についてはお問い合わせください。

担当者 腹膜透析外来担当医
受診方法 初めての方は,事前の紹介状やお電話にてご予約ください。
腎臓・リウマチ膠原病内科の外来を受診し,ご相談いただいてから受診されてもかまいません。
診療日時 ※医師の担当日時(週・曜日)についてはこちらでご確認ください。

多発性嚢胞腎外来(予約制)

多発性嚢胞腎とは,左右の腎臓に嚢胞(体液の貯まった袋)がたくさんできて,腎臓が大きくなる病気です。しかし,症状が出るのは腎臓だけではなく,高血圧症や肝臓の嚢胞,脳の動脈瘤なども合併する全身性の病気でもあります。一般的には遺伝性ですが,遺伝を認めない場合もあります。
進行は年単位とゆっくりですが,嚢胞が大きくなったり数が増えたりして,腎機能が低下していき,約半数の方が60歳までに末期腎不全に至り透析療法が必要となってしまいます。
現在根本的な治療法はありませんが,嚢胞の増大を抑え腎不全の進行を遅らせる薬剤「トルバプタン(サムスカ®)」が2014年3月から保険適応となりました。または2015年には厚生労働省の特定疾患に指定され,病状の程度によって医療費助成の対象になる場合もあります。ただ,トルバプタンの治療はどの施設でもできるものではなく,登録医(腎臓専門医)のいる医療機関に限られ,また治療開始する際には数日間の入院が必要になります。
当院では複数名の登録医が勤務しています。どうぞお気軽に相談してください。

担当者 杉山 浩一, 勝野 敬之
受診方法 専門外来のため,一度通常の腎臓内科外来を受診してから後の予約となります。
診療日時 ※医師の担当日時(週・曜日)についてはこちらでご確認ください。

小児腎臓専門外来(予約制)

検尿異常から末期腎不全管理まで通して子どもの腎臓病を全般的に取り扱っています。多くの小児慢性腎臓病は先天性の疾患であることが大多数を占めており,生涯に渡り付き合っていく病気となる場合が多いです。子どもの腎臓病については,過去には正確な評価や治療が充分に出来ていませんでしたが,最近になり小児の腎機能正常値を始めとした各種疾病に関する治療方法が徐々に整備されつつあります。慢性腎臓病を持つ子ども達に,“適切な時期”に,“適切な評価”を行い,“適切な治療”を施すことが求められる時代となりました。2015年4月より,愛知医科大学病院では,総合腎臓病センターとして子どもからおとなまで一貫した治療を展開できる組織づくりを開始いたしました。多くが先天性の疾患であることより,生涯を通して付き合っていくことになります。このような小児科医,腎臓内科医および移植外科医が垣根を越えて一本化する試みは,全国的にもまだ数少ない施設であるといえます.当科にて行う治療介入としては,下記のようなものがあります。

  • 小児の腎生検
    1歳程度より超音波下で経皮的針腎生検を行えます。
    体格が小さく困難な場合には,開放性腎生検を行うこともあります。
    腎臓内科医とともに腎病理診断を行います。
  • 難治性ネフローゼ症候群の治療
  • 慢性糸球体腎炎(IgA腎症等)の診断,治療
    IgA腎症をはじめとした慢性糸球体腎炎への病理診断を行い,病状に応じてステロイド大量療法,多剤併用カクテル療法や扁桃摘出術を行っています。
  • 非典型溶血性尿毒症症候群(atypical HUS)
    atypical HUSに対して,エクリズマブ(ソリリス®)の投与を行えます。
    必要に応じて血漿交換療法を施行することも可能です。
  • 末期腎不全管理
    体格が小さな時期には腹膜透析が選択され,新生児期よりの維持腹膜透析が可能です。
    体格が大きくなればシャントを作成して維持血液透析を行います。
    腎移植については,献腎移植および生体腎移植のどちらも選択可能です。
  • 急性血液浄化療法
    様々原因による急性腎障害に対する血液浄化療法を受けられます。
  • 希少疾患治療
    Fabry病の酵素補充療法
    HAE(遺伝性血管性浮腫)に対する治療
担当者 永井 琢人(小児科兼務),畔柳 佳幸(小児科兼務)
受診方法 要予約(当日予約可能)
診察場所は,小児科外来(23番外来)となります。
診療日時 永井 琢人(火曜日 9:30~12:00,13:00~16:00)
畔柳 佳幸(金曜日 9:00~11:30)

診療・治療実績

診療実態

外来・入院患者数

患者数内訳(年度(4月~翌年3月))
内容 2016年度 2017年度
外来患者数(1日平均) 105.4人 107.9人
入院患者数(1日平均) 29.3人 29.8人

透析等の患者数

患者数内訳(年(1月~12月))
内容  2017年   2018年 
血液透析患者数(1日平均) 20人 20人
腹膜透析患者数 8人 14人
新規透析導入患者数 48人 56人
腎生検数(年間) 24人 39人
シャント手術(年間) 58人 59人

腎臓病関係入院患者数

患者数内訳(年 延べ人数)
内容  2017年   2018年 
CKD-G3 50人 41人
CKD-G4 36人 61人
CKD-G5 131人 149人
CKD-G5(HD患者) 69人 65人
CKD-G5(PD患者) 12人 14人
CKD教育入院 25人 19人
腎移植術前検査 74人 40人
ネフローゼ症候群 21人 43人
糖尿病性腎症(DKD) 90人 131人
腎硬化症 35人 61人
微小変化群 4人 4人
巣状糸球体硬化症 2人 9人
膜性腎症 1人 0人
MPGN 1人 0人
軽鎖沈着症,軽鎖重鎖沈着症 5人 2人
アミロイド腎症 16人 1人
骨髄腫腎 1人 1人
痛風腎 2人 0人
IgA腎症 25人 19人
紫斑病性腎炎 0人 1人
腎クリーゼ 1人 6人
急速進行性糸球体腎炎(RPGN) 3人 2人
抗GBM抗体腎炎 0人 1人
ループス腎炎 6人 9人
低形成腎 2人 0人
Alport症候群 0人 0人
菲薄基底膜病 0人 0人
多発性嚢胞腎 14人 13人
尿細管間質性腎炎(RTA) 3人 4人
急性腎障害(AKI) 30人 50人
電解質異常 10人 17人
腎盂腎炎 34人 44人

膠原病関係入院患者数

患者数内訳(年 延べ人数)
内容  2017年   2018年 
関節リウマチ 55人 56人
全身性エリテマトーデス(SLE) 37人 40人
皮膚エリテマトーデス(DLE) 6人 5人
抗リン脂質抗体症候群(APS) 9人 13人
多発性筋炎 14人 9人
皮膚筋炎 5人 9人
混合性結合組織病(MCTD) 7人 1人
顕微鏡的多発血管炎(MPA) 13人 16人
多発血管炎性肉芽腫症(GPA) 2人 6人
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA) 6人 10人
強皮症(びまん皮膚硬化型) 15人 10人
強皮症(限局皮膚硬化型) 7人 10人
結節性多発動脈炎(PN) 2人 4人
高安動脈炎 2人 0人
巨細胞性動脈炎,側頭動脈炎 3人 0人
シェーグレン症候群 11人 14人
リウマチ性多発筋痛症(PMR) 17人 12人
RS3PE症候群 1人 2人
ベーチェット病 9人 6人
キャッスルマン病 0人 3人
強直性脊椎炎 4人 4人
乾癬性関節炎 2人 4人
反応性関節炎 1人 1人
IgG4関連疾患 2人 7人
成人Still病 6人 10人
線維筋痛症 1人 0人
IgA血管炎 0人 1人
偽痛風 2人 3人
SAPHO症候群 3人 0人
再発性多発軟骨炎 1人 1人
膠原病関連間質性肺炎 28人 30人
肺高血圧症 1人 1人
クリオグロブリン血症 3人 6人
サルコイドーシス 1人 0人

設備等

施設内容

一般病床数 32床
総合腎臓病センター  23床

教育入院等

CKD教育入院,CKD教育外来

慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)とは,腎臓の障害が慢性的に続いている状態のことで,具体的には「蛋白尿や血尿などが出ている」 「画像診断などで腎障害が見られる」 「腎機能が低下している」といった状態が3カ月以上続いたときに診断されます。 現在,患者さんは国内に1,330万人(成人の8人に1人)いるとされ,新たな国民病といわれています。
CKDでは腎臓の機能がある程度まで低下してしまうと,残念ながらその機能は元に戻ることはありません。そうして末期腎不全まで進行してしまうと,生きていくためには透析治療や腎移植などを余儀なくされます。
そこでCKDにおいては早期発見・早期治療によって,腎臓の機能をこれ以上低下させない,または進行を遅らせることがとても重要となってきます。
そのための治療は,日々の生活習慣の改善,食事療法や薬物治療による血圧管理,貧血改善,脂質代謝管理,糖代謝管理,塩分摂取制限などを総合的におこなうことが必要ですが,これらの管理のためには患者さん本人が内容をしっかり理解して,食事療法をはじめとした生活習慣の見直し・改善をすることが不可欠となります。
CKD教育入院では,腎臓の働きやご自身の腎臓の状態,食事療法や現在の治療内容に関して理解を深めていただくことが非常に重要と考え,血液検査,蓄尿検査などの必要な検査の他に,専任看護師による腎臓の働きや腎代替療法などについてのパンフレット指導,管理栄養士による一般的な食事療法の話から個別の生活スタイルに合わせた食事指導,薬剤師による服薬指導などを行います。必要に応じて身体障害者取得などの医療福祉相談,そして医師と今後の治療戦略について話をする場も設けております。また,この入院期間中は患者さんに状態に合った腎臓食を提供しており,退院後の食事の参考として頂いております。
実際に教育入院をされた患者様には「腎臓に関して初めて知ったことが多かった」 「治療に対する姿勢が変わった」 「入院しただけで血圧が下がり驚いた」などのお声をいただき好評を博しております。
当院のCKD教育入院は5泊6日入院のコースが基本となっておりますが,お仕事などでお忙しい方のための2泊3日短期コースを新設しました。また,まずは基本的な話を聞いてみたい,気軽に相談してみたいという方のためにCKD教育外来も行っており,様々な選択肢をご用意しております。
尿検査で異常を指摘されたことのある方,腎機能の低下を指摘されたことのある方など,当科にご相談いただきCKDに該当するようであれば教育入院を検討されてみてはいかがでしょうか。

キーワード

内科学講座,腎臓病学,リウマチ学,膠原病学,血液浄化学,腎移植

関連リンク

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