関節リウマチ

関節リウマチ

概要

関節リウマチは全身の関節に炎症を生じる原因不明の疾患です。30代から50代の女性に多く発症します。一般的には数週間(特に6週間以上)から数カ月単位で左右の手や指(特に指の付け根や第2関節に多い),足趾などの末梢の関節を中心に腫れや痛みが出現・持続します。安静にすると関節が固まるような感じ(こわばり)が強くなるため,起床後に1時間以上のこわばりを自覚することが多いです。血液検査ではCRP陽性や赤沈亢進などの急性炎症反応がを認めることがあります。またリウマチ因子や抗CCP抗体の存在は関節リウマチらしさを示唆しますが,必ずしも陽性となるわけではありません。長期に関節炎が持続するとレントゲン検査で骨が欠けたり(びらん),変形を生じます。関節炎だけでなく間質性肺炎や血管炎などを合併する場合もあります。
以前は有効な治療薬がなく症状を緩和する治療が主体でしたが,治療薬の進歩により現在では,より早く診断し,早期に治療を開始することで関節炎の活動性を低く抑え,治癒に近い状態を維持することが可能となってきています。

治療法

関節リウマチの疾患活動性に合わせ,抗リウマチ薬(DMARD)を単剤もしくは複数組み合わせて治療を行います。
抗リウマチ薬には,従来から使用されてきた低分子化合物主体の合成抗リウマチ薬 (csDMARD),飛躍的に治療を進歩させた生物学的製剤 (bDMARD),さらに近年では特異的分子を標的とした抗リウマチ薬(tsDMARD)があります。csDMARDはメトトレキサート(リウマトレックス○R,メトレート○R)を中心として,サラゾスルファピリジン(アザルフィジン○R)やブシラミン(リマチル○R),レフルノミド(アラバ○R),イグラモチド(ケアラム○R,コルベット○R)などを使用します。csDMARDを開始しても疾患活動性が高い場合にはbDMARDやtsDMARDの使用を検討します。現在発売されているbDMARDはインフリキシマブ(レミケード○R),エタネルセプト(エンブレル○R),アダリムマブ(ヒュミラ○R),ゴリムマブ(シンポニー○R),セルトリズマブペゴル(シムジア○R),トシリズマブ(アクテムラ○R),サリルマブ(ケブザラ○R),アバタセプト(オレンシア○R)の8種類でいずれも注射(点滴・皮下注射)で使用します。tsDMARDにはトファチニブ(ゼルヤンツ○R),バリシチニブ(オルミエント○R)があります。
これらの薬剤で関節炎の活動性を低く抑えること(寛解)を維持できた場合には治療の減弱(DMARDの減量,休薬)を検討します。

当院(愛知医科大学病院)の特色

当院ではbDMARDの導入の際には原則入院にて関節炎および既存合併症の評価を行うとともに,安全に治療開始できるように努めています。また薬効評価だけでなく,bDMARD使用に伴う日常生活での注意点や注射手技の獲得のため,看護師および薬剤師を含めたチームで治療の支援を行います。