脊椎関節炎

脊椎関節炎

  • 強直性脊椎炎
  • 乾癬性関節炎(関節症性乾癬)
  • 反応性関節炎
  • 炎症性腸疾患関連関節炎
  • SAPHO症候群

概要

脊椎関節炎とは,脊椎(背骨)付近を中心として,骨盤の関節である仙腸関節炎を特徴とする疾患群で,いくつかの疾患に分類されます。長引く腰痛をきっかけに診断されることが多いですが,仙腸関節炎による臀部痛,全身の至る部位の関節痛,胸肋関節・胸鎖関節による前胸部痛や,付着部炎(筋肉の腱が骨にくっつく場所,アキレス腱や膝蓋腱,足底腱など)も起こしやすいため,全身の痛みを感じることもあります。通常は45歳以前に発症し,これらの痛みの特徴は,安静で悪化するため夜間痛が出やすく,運動によって改善やすいです。
診断には,X線,CT,MRIで仙腸関節炎の所見(図1),脊椎関節炎の所見(図2)と,関節炎,付着部炎の身体所見と各疾患の特徴的な症状を併せて診断することになります。血液検査での炎症反応を表すCRPは上昇しますが,正常値の場合もあります。血液検査で測定可能なHLA-B27が検出されることも参考になります。

仙腸関節炎

図1 仙腸関節炎

脊椎関節炎

図2 脊椎関節炎

治療法

各疾患とも確立された治療法がありません。薬物療法としては,非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)が中心的な治療でしたが,生物学的製剤が保険適応となり,使用できる薬剤が増えてきました。
  強直性脊椎炎:インフリキシマブ(レミケード®),アダリムマブ(ヒュミラ®)
  乾癬性関節炎:インフリキシマブ(レミケード®),アダリムマブ(ヒュミラ®),ウステキヌマブ(ステラーラ®),
                       セクキヌマブ(コセンティクス®),イキセキズマブ(トルツ®),ブロダルマブ(ルミセフ®)
薬物療法だけでなく,脊椎や骨盤,股関節が固まるのを防ぐために,リハビリテーションとしての体操,運動も大切です。