慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)

概要

慢性腎臓病 (Chronic Kidney Disease : CKD)は,蛋白尿や腎機能低下が持続している状態です。日本人のCKD患者数は約1,330万人,8人に1人はCKD患者と推定されており,新たな国民病として注目されています。CKDが進行すると末期腎不全に至り,透析療法(血液透析や腹膜透析)や腎移植といった治療が必要になります。それだけではなく,CKDは心筋梗塞や脳卒中などの発症を増加させ,死亡リスクを高めることが知られています。
CKDの原因として高血圧や肥満,糖尿病などがあり,食事や生活習慣に気をつけてCKDを予防することが大切になります。また,CKDはかなり進行するまで自覚症状に乏しいため,定期的に健診を受けて早期発見することが重要です。地域連携システムを通して,かかりつけ医よりリスクの高いCKD患者さんを多数ご紹介いただいております。

治療&当院(愛知医科大学病院)の特色

CKDの対策として,塩分制限やタンパク質制限などの食事療法,運動療法や禁煙などを含めた規則正しい生活習慣の継続,適切な薬剤治療などが必要になります。そのため,医師,看護師,管理栄養士,薬剤師,臨床工学技士などさまざまな職種によるチーム医療が大切となります。近年,各学会と日本腎臓病協会により腎臓病療養指導士制度が立ち上げられました。当院でもその資格を有するスタッフを中心に,チームとしてCKD対策に取り組んでいます。
CKDを対策する上で,患者さんやそのご家族にCKDについて知識を深めていただく機会も重要です。これまでCKD教育外来や1週間のCKD教育入院を行ってきましたが,新しく2泊3日に短縮した教育入院も導入しました。これにより,さらに多くの患者さんに理解を深めていただき,より効果的なCKD対策を目指します。
CKDが進行して末期腎不全に至った場合,血液透析や腹膜透析,腎移植といった腎代替療法が必要になります。長期的に生活環境やQOLが大きく変化する治療法であり,そのような特殊な状況を受け入れ,さらにどの治療法を選択するかを決めることは難しいと思います。そのため,患者さんと医療者が一緒になって治療法を選択するShared Decision Making (SDM)に取り組んでいます。具体的には,それぞれの治療法の情報とともに,患者さんや家族の思い,価値観,生活背景,社会環境などの情報を患者さんと医療者との間でお互いに共有し,一緒になって最善の治療法を選択していきます。