再発性多発軟骨炎 (RP ; relapsing polychondritis)

再発性多発軟骨炎 (RP ; relapsing polychondritis)

概要

再発性多発軟骨炎

図:耳介軟骨

再発性多発軟骨炎は,自己免疫の異常により全身の軟骨組織に慢性的に繰り返す炎症を起こす原因不明の疾患です。平均発症年齢は50歳くらいですが,小児から高齢者まで全年齢層に発症します。日本ではおおよそ400~500人くらいの患者さんがいると推定されています。症状は,軟骨がある部位の炎症による疼痛,発赤,腫脹で,耳介軟骨(図:耳の上側だけで,下側のいわゆる耳たぶには軟骨がありません)の発赤が特徴的です。耳の奥の軟骨炎によって,難聴,耳鳴り,めまい(蝸牛あるいは前庭機能障害)が起きます。その他にも,鼻根部や,肋軟骨(胸の痛み),喉頭・気管・気管支軟骨(嗄声,喉の痛み,呼吸困難感),関節炎が良く起こります。その他,眼の症状として,強膜炎,結膜炎,虹彩炎などで眼が充血します。心・血管系の病変で弁膜症や動脈瘤,血液の病変で骨髄異形成症候群がまれに起きることが知られています。診断には,血液検査では炎症反応であるCRPの上昇を伴います。抗 type II コラーゲン抗体が検出されることもありますが,陽性率は高くなく,耳介軟骨の生検で軟骨炎を確認することが重要になります。

治療

確立された治療がなく効果も人によって差がありますが,ステロイドに,免疫抑制剤であるアザチオプリン(イムラン®),メトトレキサート(リウマトレックス®),シクロスポリン(ネオーラル®),タクロリムス(プログラフ®)などを併用して治療されることが多く,効果が得られない場合は,保険適応外ではありますが,生物学的製剤であるトシリズマブ(アクテムラ®),インフリキシマブ(レミケード®),エタネルセプト(エンブレル®),アバタセプト(オレンシア®)などが使用されることもあります。気管支病変が難治の場合は,気道狭窄・閉塞を来してしまうため,人工呼吸器管理や,気管切開,気道ステントなどが必要になることがあります。