ANCA関連腎炎

ANCA関連腎炎

概要

ANCA関連血管炎には顕微鏡的多発血管炎,肉芽腫性多発血管炎,好酸球肉芽腫性多発血管炎の三つが含まれます。免疫の異常によって,自分の血管を傷つけてしまい,強い炎症を起こした結果,臓器を侵します。血液検査ではANCA(Anti-Neutrophil Cytoplasmic Antibodies, 抗好中球細胞質抗体)と呼ばれる抗体が高頻度に検出されます。
ANCA関連腎炎は,ANCA関連血管炎によって腎臓の血管に炎症が起こることで,引き起こされる腎炎のことを指します。腎炎を発症すると,血尿や蛋白尿を認め,進行すると尿が減り,むくみが出現しますが,末期になるまで症状が出ないこともあります。
診断は血液・尿検査,画像検査などを組み合せて行いますが,治療方針を決めるために可能な限り腎生検を検討します。腎生検では,糸球体の中に“半月体”という構造物を認め,多くは半月体形成性壊死性腎炎の病理組織像を呈します。

治療法

免疫の異常によって,腎臓をはじめとした全身の血管が強い炎症を起こしているため,その免疫反応をいち早く抑えることが必要です。血管の炎症をしっかりと抑え込むために,まずはステロイドを中心とした治療を行いますが,重症度や症状に応じて,免疫抑制剤を併用したり,血漿交換を組み合わせて治療します。病気をしっかりと抑え込んだ後は,病気が再発してこないように,治療を継続します。主な免疫抑制剤はシクロホスファミド(エンドキサン®),リツキシマブ(リツキサン®),アザチオプリン(イムラン®)などがあります。

当院(愛知医科大学病院)の特色

不可逆的な臓器障害をきたさないためには,早期診断・早期治療が重要となってきます。また,再発をしたときにも早期に必要な検査を行い,早期に治療することが重要になります。
また,血管炎の治療は長期にわたるため,当院では個々の患者さんの状態に合わせて,どのような薬剤を使用するかを十分に検討し,治療を行っていきます。当院の患者さん中心の診療体制によって,最善の治療を行うことが可能になると考えております。