消化器外科

診療部門からのごあいさつ

当科では、消化器外科領域の疾患に対して、鼠径ヘルニアや胆石症を中心とする一般的な疾患の治療を中心に行っております。また、適応する症例には積極的に腹腔鏡下手術を取り入れています。腹腔鏡下手術は、傷跡が小さく患者さんの身体的負担を軽減し、早期の退院が期待できる手術法です。
さらに、愛知医科大学病院消化器外科と連携し、大学病院ならではの高度な医療技術(ロボット手術など)を受けることが可能です。手術は大学病院で行い、その後の通院治療を自宅に近い当院で継続することで、患者さんにとって利便性の高い医療を提供し、地域に根ざした医療の実現を目指しています。


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主な対象疾患

  • 胆道疾患:胆嚢結石、総胆管結石、胆嚢ポリープ
  • 肛門疾患:痔核、痔瘻、直腸脱など
  • 腹部ヘルニア:鼠径ヘルニア(外鼠径・内鼠径・大腿・閉鎖孔)、腹壁ヘルニア(臍、白線、半月状線、腹壁、傍ストマ)、ヌック管水腫、虫垂炎など

その他疾患も必要に応じて愛知医科大学病院消化器外科と連携の上、対応します。

鼠径ヘルニア外来

鼠径ヘルニアとは


    ヘルニアという言葉を耳にしたことはありますか?よく聞く疾患として椎間板ヘルニアはなじみがあるかもしれません。ヘルニアという言葉は、ラテン語のherniaからきており、体内の臓器などが、本来の位置から飛び出した状態のことを指します。従って、背骨から椎間板が飛び出せば椎間板ヘルニア、鼠径部からおなかの中の臓器(腹腔内臓器)が飛び出せば鼠径ヘルニアといいます。



    どんな病気?原因は?

    鼠径部は足の付け根付近のことを指し、筋肉や筋膜などで覆われています。筋肉や筋膜は、加齢により徐々に弱くなり、腹圧に勝てなくなると隙間が生じてしまいます。そして、その隙間から腹腔内臓器が飛び出し、鼠径ヘルニアの状態になります。飛び出す臓器として小腸が多いため、「脱腸」とも表現されます。日本全体では、年間15万人程の方が手術を受けています。高齢者に多く、男女の割合では男性が85%と男性に多い疾患です。加齢以外にも、鼠径ヘルニアの誘因として、腹圧がかかることが多い生活環境(長時間の立ち仕事、重いものを持つ仕事、トイレでいきむこと、咳が多いこと、肥満など)が指摘されています。



    症状は?

    鼠径部に柔らかい膨らみとして触れることができます。大きさは様々でピンポン玉大の小さなものから、こぶし大やそれ以上に大きな場合もあります。また、膨らみは腹圧がかかる動作(立ったり、重いものを持ったりなど)をしたときに出現し、手で患部を押したり、横になったりすると元にも戻ります。基本的に痛みは生じませんが、脱出が長時間続いたり、嵌頓(かんとん)状態になったりすると痛みを生じることもあります。



    嵌頓とは?

    腹腔内臓器が飛び出し戻らなくなることを言います。嵌頓状態が続くと、腸の通りが悪くなり嘔吐症状が出たり、脱出部に強い痛みを感じたりします。また、徐々に血流障害が生じ、最悪の場合壊死に陥り、腸に穴が空くこともあります。



    治療法は?

    鼠径ヘルニアはその原因から手術以外では治療できません。手術の方法は、体表側から修復する方法(鼠径部切開法)と腹腔鏡を用いておなかの中から修復する方法があります。原因の隙間を塞ぎ方は、直接縫い閉じる方法とメッシュとよばれるプラスチックの網目状のシートを当てて閉鎖する方法に分かれます。メッシュを用いた方法の方が痛みが少なく、再発率も低いと言われています。当院では、全身麻酔下で腹腔鏡を使用したメッシュ修復法を基本とし、全身麻酔が困難な方や腹腔鏡手術が不適と判断した方では局所麻酔や腰椎麻酔下での鼠径部切開法での修復を行っております。



    当院での治療について

    消化器外科外来では、ヘルニアの状態と全身状態のチェックを行った上で、腹腔鏡下修復法か鼠径部切開法かを決定します。基本的に手術翌日には退院可能です。
    鼠径ヘルニアは良性疾患であり、経過観察でも命にかかわることはありません。しかし、放置すると徐々に大きくなり痛みを生じたり、低い確率ですが嵌頓状態になったりもします。
    鼠径部に膨らみがある方は鼠径ヘルニアかもしれません。一度受診して頂きご相談下さい。