ドクターヘリ

ドクターヘリとは

ドクターヘリとは,救急処置を必要とする重篤な患者さんが発生した現場などに救急医療に精通した医師・看護師を派遣することを主目的とし,初期治療に必要な医療機器と医薬品を搭載した救急専用のヘリコプターです。

当院のヘリポート

当院のヘリポート

ドクターヘリは,単なる患者搬送システムではありません。現場に医療チームが出向き,初期治療開始までの時間を短縮することが最大の目的です。
さらに,患者さんの状態を安定させ適切な高度医療機関に迅速に搬送することにより,救命率の向上や後遺障害の軽減等の効果が得られます。
なお,このドクターヘリ事業は愛知県と国の共同事業で,費用負担は県と国が行っています。そのため患者さんにはドクターヘリの利用にかかる金銭的な負担は一切なく,保険診療の範囲内の費用負担(往診料,救急搬送料,治療費等)で済みます。

愛知ドクターヘリ配備について

厚生労働省は,全国でドクターヘリ事業の条件を満たす病院を選定し,平成13年度から順次配備を進めています。
愛知県では,平成14年1月から愛知医科大学病院を基地病院として,全国で4番目のドクターヘリ事業が開始されました。当院の医師・看護師が搭乗し,運航管理は中日本航空株式会社が担当しております。

全国のドクターヘリ配備拠点状況

ドクターヘリの活動

ドクターヘリの要請は,一般市民の方が直接行うことはできません。一般市民から119番通報を受けた消防本部が,患者さんの傷病の程度に応じてドクターヘリを要請します。

出動と活動の流れをイメージで解説します。

ドクターヘリ出動イメージ図
  1. 救急患者さんの発生により119番通報をする。
  2. 救急車が出動する。
  3. 119番要請を受けた消防本部は,出動基準に応じてドクターヘリの出動要請を行う。
  4. 救急隊による対応の後,ドクターヘリ合流場所へ搬送する。
  5. 消防本部より要請を受け,5分以内にドクターヘリは離陸し,ドクターヘリが着陸できる場所(ヘリポートや臨時着陸場)へ向けて飛行する。
  6. 救急隊及び救急患者さんと合流し,速やかに治療を開始する。現場に医療チームが赴くことにより初期治療開始時間の短縮を図ることができる。
  7. 応急措置を行った後,医療機関を選定し搬送する。
    愛知県では基地病院へ全患者さんを搬送しているのではなく,病態や重症度・必要と思われる治療・傷病者発生場所・家族などの活動範囲・既往等を総合的に判断し,根本治療が可能な医療機関へ受け入れ要請を行っている。

臨時着陸場について

患者さんに可能な限り早く医療チームを送り込むことが必要です。そのため,常設のヘリポートのみならず,救急現場近くの空き地,公園,学校や企業のグラウンド,河川敷などの臨時ヘリポートに着陸することもあります。

学校着陸写真

学校着陸写真

河川敷広場着陸写真

河川敷広場着陸写真

活動範囲について

ドクターヘリ活動範囲

活動範囲は,原則愛知県内全域を対象とし,片道70㎞圏内(25分)としています。隣県(岐阜・三重・静岡・長野)及び広範囲についても要請に応じて活動し,多数傷病者には隣県ドクターヘリとも協力して救命活動をしています。

ドクターヘリ出動基準

ドクターヘリを要請するにあたり出動基準が示されています。生命の危険が迫る病態・重度で特殊な集学的治療が必要となる病態が対象となっています。

  1. 出血のうち,顔面蒼白や呼吸困難の様相を呈するもの
  2. 意識障害(JCS3桁以上)
  3. ショック(血圧低下,脈拍上昇)
  4. 心臓・肺の激痛(胸痛)
  5. 痙攣・麻痺
  6. 事故で車内などに閉じこめられ,救出までに20分以上を要する場合,高所からの墜落
  7. 明確な重症患者,または負傷者が二人以上いる場合
  8. 重症出血(創部,消化管,生殖器)
  9. 急性中毒
  10. 重症熱傷(BSA20%以上)
  11. 電撃症・落雷
  12. 溺水
  13. 歩行者が車などにより,時速30km以上の速度ではねられた場合または3m以上はね飛ばされた場合
  14. その他,生命に関わると疑う理由がある時
  15. 重症患者の病院間搬送
  16. ヘルプネット受信時死亡重症度表示がある場合(通称:D-Call Net)

搬送先医療機関一覧

愛知県ドクターヘリにより搬送される患者さんを受け入れる代表的な医療機関を示します。
ドクターヘリを必要としている重症患者さんをどこの病院でも診療できるとは限りません。愛知県では,基地病院である愛知医科学病院へ全患者さんを搬送しているのではなく,病態や重症度,既往歴,傷病者発生場所,家族の事情等を総合的に判断し,受け入れ病院を決定しています。

  1. 愛知医科大学病院
  2. 名古屋掖済会病院
  3. 藤田医科大学病院
  4. 名古屋医療センター
  5. 名古屋第二赤十字病院
  6. 小牧市民病院
  7. 岡崎市民病院
  8. 豊橋市民病院
  9. 中京病院
  10. 名古屋第一赤十字病院
  11. 一宮市立市民病院
  12. 半田市立半田病院
  13. 豊田厚生病院
  14. 新城市民病院
  15. 厚生連安城更生病院
  16. 名古屋大学医学部附属病院
  17. 名古屋市立大学病院
  18. 厚生連海南病院
  19. 総合大雄会病院
  20. 刈谷豊田総合病院
  21. トヨタ記念病院
  22. 公立陶生病院
  23. 厚生連江南厚生病院
  24. 春日井市民病院
  25. あいち小児保健医療総合センター
  26. 名古屋市立東部医療センター

順不同

運航実績

ドクターヘリ要請件数と内訳です。(年度推移)

ドクターヘリ要請件数
出動実績(令和4年度)
現場救急 254件
病院間転送 28件
キャンセル 77件
359件

ドクターヘリ事業に用いるヘリコプター

ドクターヘリ写真

ドクターヘリ事業に使用するヘリコプターは,救急現場にも着陸が可能な小型機で,騒音が少ない機種を使用しており,人工呼吸器・心電図・除細動器などの救急用医療機器,医薬品等を常備搭載しています。

ユーロコプターEC135P2型

諸元・性能

ユーロコプターEC135P2型
【 EC135P2e/T2e 】
最大離陸重量 2,950kg / 6,504 lb
有効搭載量 1,495 kg / 3,296 lb
座席仕様 操縦1名,整備士1名
医師1名,看護師1名,同乗1名
患者ストレッチャー1名
エンジン Pratt&Whitney PW206B2×2基
エンジン最大出力 609 Kw / 816 shp (最大緊急出力,片発時)
高速巡航速度 254km/h - 137kt
最大航続距離 620km / 334nm

※EUROCOPTER JAPANホームページより抜粋・改変

搭載医療機器

モニター,人工呼吸器,除細動器,吸引器,シリンジポンプ,医薬品,外傷処置具など

県民のみなさまへ

ドクターヘリの運航に当たっては,行政の担当部局,消防本部,県・市医師会との調整や,学校グラウンド,河川敷などの臨時ヘリポートの使用・安全確保について警察本部・教育委員会等への説明や普及啓発活動が欠かせません。尊い生命を守るためにみなさまのご理解とご支援がなによりも大切です。

リンク

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