循環器内科

集合写真

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院内所在マップ

循環器内科は,初代渡邉務教授によって1975年内科学第3講座として開講され,2代小林正教授の下2001年に大講座制から現行の循環器内科に移行し,3代伊藤隆之教授を受け継ぎ,2012年1月より天野哲也教授のもと臨床・研究・教育に日々研鑽しております。
当院は高度救命救急センターにおいてドクターヘリを常設しており,虚血性心疾患・不整脈・心不全といった循環器救急疾患に24時間迅速に対応できる体制を整えております。
当科は虚血グループ,不整脈グループ,心不全グループの3つのグループに分かれ,診療,研究を行っています。
虚血グループは,年間約800件の冠動脈造影,約300件の冠動脈形成術(PCI)を行っています。特に冠動脈CT,血管内超音波(IVUS),光干渉断層撮影(OCT)といった冠動脈イメージングと機能的虚血評価法として部分冠血流予備量比(FFR)を積極的に活用することで,治療すべき病変の適切な選択またより至適な冠動脈形成術を行っています。
不整脈グループは心房細動等の不整脈に対するカテーテル・アブレーション治療および心臓植え込みデバイス(ペースメーカ、植え込み型除細動器)治療を行っています。患者数の増加に伴い治療件数が増えているアブレーションにおいては、2017年に200例以上施行しています。最新のマッピングシステムやバルーンアブレーション等の新しい治療機器を導入し、若手医師の育成を行っております。心臓植え込みデバイス治療件数も増加傾向であり、皮下植え込み型除細動器(S-ICD)やリードレスペースメーカ等の最新治療も積極的に行っています。インターネットを介して心臓植え込みデバイス管理を行うホームモニタリングについては、臨床工学士や看護師、医療事務員とのチーム体制で行っており、患者負担の少ない医療の提供に努めています。また,全国規模のペーシング治療研究会事務局を担当しております。
心不全グループは各種モダリティーによる最新の評価法を駆使し,重症心不全に対する薬物療法に加え,植え込みデバイス治療(CRT)、心臓リハビリテーション、栄養マネジメントによる包括的心不全治療を行っております。また,肺高血圧診断・治療(BPA等)にも当たっております。その他、各講座合同で大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)も行っています。
これら日常臨床を通して行われる臨床研究は,国内外の多くの学会で発表され,実績を残しています。なお当科は心血管カテーテルインターベンション治療,ローターブレーター治療,ホットバルーンアブレーション,ペースメーカー・リードレスペースメーカ,植込み型除細動器・心臓再同期療法(両室ペーシングによる心不全治療)及び着用型除細動器等の厚生労働省の施行施設基準を満たしています。
今後さらなる発展を目指して,医局員の充実を図っていきたいと考えております。

診療部門からのごあいさつ

部長 天野哲也

部長 天野哲也

愛知医科大学循環器内科では,循環器疾患に関してほぼすべての領域をカバーし,最先端の機器を応用し高度な医療を提供しています。心臓外科,血管外科,救命救急科などとの密な連携のもと,重症な心臓病患者さんを24時間体制で受け入れています。また,病診連携にも注力しており症例検討会,講演会など通じて実地医科の先生方のニーズに極力対応すべく努力しております。
当科の診療体制は大きく3つのグループ(虚血,不整脈,心不全)に分かれ,患者さんの症状,状態により,もっとも適した治療を最新のエビデンスに基づき提供できるよう診療に励んでおります。虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術,不整脈に対するカテーテル・アブレーション,ペースメーカ植え込み術,心不全・弁膜症に対するTAVI治療などの先端医療は,この地域の中核医療機関としての役割を担うべく体制を整えて対応しています。各グループ間の壁を越え,全人的医療を目指し日々努力しております。今後,ますます多くの患者さんに質の高い医療を提供できるよう体制の充実を図っていきたいと考えております。
安全で先進的な医療を展開する中で,興味を持った点,疑問点などを抽出し検証していくことが,質の高い臨床研究につながると考えております。こうして得られた研究データは,国内外の多くの学会で発表してきております。
当科では医学生,卒後研修医,専修医など若手医師の教育にも力を入れております。知識偏重型の教育ではなく,より実践的な教育を目指しています。受け持ち症例は各グループの専門医師とともに診療にあたり,より専門的でまた新しい知識を身につけることが出来ます。また診療科の枠組みを超えたカンファレンスも定期的に行われ,治療方針などを議論します。当科で一緒に仕事をしたいと思っている先生,また少しでも循環器に興味のある先生,気軽にご連絡いただければと思います。

主な対象疾患

  • 虚血性心疾患(急性心筋梗塞,陳旧性心筋梗塞,無症候性心筋虚血,狭心症など)
  • 冠動脈以外の血管疾患(急性大動脈解離,大動脈瘤,下肢閉塞性動脈硬化症,肺塞栓症など)
  • 不整脈(洞不全症候群,房室ブロック,上室性頻拍,心房細動,心房粗動,心室頻拍など)
  • 弁膜症
  • 心筋症(拡張型心筋症,肥大型心筋症,急性心筋炎,中性脂肪蓄積心筋血管症など)
  • 心不全
  • 成人期の先天性心疾患(心房中隔欠損症など)
  • 生活習慣病(高血圧,脂質異常症など)

高度な専門医療

高度な医療

高度な専門医療への取り組みについて

循環器内科では虚血性心疾患・不整脈・心不全・高血圧症等の循環器疾患全般にわたる治療を行っています。 心臓疾患には緊急性を要するものが多いことから,我々は24時間いつでも適切な医療を提供できる体制を整えています。また短期入院・早期社会復帰のポリシーでチーム医療に取り組んでいます。
当科における取り組みについてご紹介します。

狭心症を見つける新たな診断法:FFR-CT

FFR-CT

狭心症の疑いでFFR-CTを施行した一例:冠動脈の血
流量は正常であり狭心症の可能性は低いと判断された

これまでの狭心症の診断は,心臓カテーテル検査が絶対的な診断法でした。冠動脈を造影するために,入院して頂き,手足の血管から挿入したカテーテルを心臓まで到達させる必要がありました。ところが,最近新しく開発されたFFR-CTという検査法では,外来で簡単に狭心症の診断をすることが可能になってきました。 FFR-CTでは,CTで得られた情報を精度の高いスーパーコンピューターを使って解析します。冠動脈を3Dで表示し,さらに冠動脈を流れる血流量をカラーで表示することによって,狭心症の重症度や治療の必要性を判断することができます。従来の方法と比べて,検査精度も高いだけでなく,患者さんの負担も軽いため,今後広く普及していくことが予想されます。残念ながら日本では,平成30年1月現在,保険診療が認められていないため,FFR-CTを行うことができる施設は限られています。当院は治験施設として早くからFFR-CTを導入しており,症例数において世界第7位の実績があります。

カテーテルアブレーションによる不整脈治療

FFR-CT

不整脈には多くの種類がありますが、最も多く認められる不整脈が心房細動です。人工の高齢化に伴い心房細動の発症数は増加傾向ですが、症状を伴わない事も多く患者さん自身が心房細動に気づいていない場合もよく認められます。心房細動は短時間で自然停止する発作性から徐々に進行して持続性になり、最終的には治療が困難な慢性心房細動へ移行します。心房細動を放置する事により脳梗塞や心不全を合併する可能性が高くなるため、最近ではカテーテルアブレーションによる積極的な治療を行う事が一般的になりつつあります。
技術の進歩によりカテーテルアブレーションの有効性は高くなっており、当院でも最新のマッピングシステム(CARTO3, EnSite NavX)を使用して患者さんの負担が少ない治療を病態に応じて選択して使用しています。またバルーンを使用したアブレーションも導入しており、最新の不整脈医療を受けて頂ける体制を整えています。

3次元マッピングシステム(CARTO)の画像
治療前・治療後の比較

植え込みデバイス治療

ペースメーカ治療

心臓は心房・心室という上下の部屋に分かれており,交互に拍動する事で血液を循環させています。心拍動は心臓の上端にある洞結節からの電気的刺激によりつかさどられていて,この電気的興奮が心房を刺激すると心房が収縮します。その後電気的興奮は心房と心室をつなぐ伝導路(房室結節・ヒス束)を介して心室に伝導し,心室を刺激・収縮させます。この一連の電気的興奮過程に異常が生じた時に,脈拍数が遅くなる不整脈(徐脈性不整脈)がおこります。
心拍動のきっかけとなる電気的刺激を人工的に与える事により徐脈を改善させる治療がペースメーカ治療であり,当院では従来使用しているリードを介した植え込み型ペースメーカ,およびカテーテルを使用して心臓内に植え込むリードレスペースメーカの植え込みを行っています。リードレスペースメーカではペースメーカを植え込むための胸部皮膚切開が不要であり小さなペースメーカが心臓内に植え込まれて外から見えないため,ペースメーカが植え込まれている事を意識しにくい等のメリットがあります。電気的障害が生じた部位により植え込むペースメーカに種類が変わるため,患者さんの病状に応じて治療選択を行っています。

3次元マッピングシステム(CARTO)の画像
治療前・治療後の比較

植込み型除細動器移植術

最近AEDを街中で見かける機会が多くなったように,心臓突然死は社会的に極めて重要な問題となっています。心臓突然死の原因となる心室頻拍や心室細動という不整脈は,もともと心臓病を患っていた患者さんのみでなく,健康診断で異常を指摘されたことのない方にも起こりえます。原因疾患としては心筋梗塞などの虚血性心疾患,心筋症,ブルガダ症候群,心サルコイドーシス等がありますが,明らかな原因が分らない場合もあります。
心室細動・心室頻拍のような不整脈を来す事が予測される患者さんや実際に心停止を来たし救命されて病院へ搬送された患者さんに対して,発作の再発が認められた際に自動的に作動することにより突然死を予防するのが植込み型除細動器による治療です。当院では不整脈を来した原因について総合的に検査することにより,患者さんに最適な治療方針を選択しており,植込み型除細動器による治療はその一つとなります。植込み術後には不整脈外来でICDの定期検査をすることにより,ICDが個々の患者さんに最適な状態で働くよう調整しています。

両心室ペースメーカ(CRT)移植術

心不全の患者さんでは左室同期不全という現象が生じる事があります。左室同期不全が起こると,心臓の筋肉の縮むタイミングがずれてしまうために心不全をより悪化させます。心臓再同期療法(CRT)はペースメーカを使った心不全の新しい治療の一つです。ペースメーカを使って,ずれてしまったタイミングを元に戻す事によって心不全を良くします。CRTはこれまでに多くの大規模臨床試験で心不全の症状の改善,心不全による入院の減少,予後の改善(余命が伸びる事)等に効果があることが示されています。
当院でも2007年から年間15人前後の重症心不全の患者さんがこの治療を受けておられ,治療前より快適な日常生活を送られています。すべての患者さんに有効というわけではないのが難点ですが,有効な場合の効果はとても大きい治療です。慢性心不全の内服治療をしていても日常生活の中で息切れ等の症状を自覚される方は適応があるかもしれません。一度,循環器内科外来をお訪ねください。

CRTによる治療前・治療後比較写真

CRT術前は胸部レントゲンにて心臓が拡張していましたが,治療後は心臓の拡張が縮小し(赤矢印),日常生活の向上を得ることができました。

入院早期からのきめ細かい心臓リハビリ

FFR-CT

慢性心不全の特徴として、急性増悪により入退院を繰り返します。薬物治療および侵襲的治療の向上により生命の存続という意味での心不全の予後は改善しましたが、自律した活動性(ADL:Activity of Daily Living)を保持したままでの予後の改善が世間では問題となっています。
当院では新規・再入院含め年間250例余りの心不全患者さんに入院加療を行いますが、入院早期からきめ細かい心臓リハビリをすべての心疾患患者さんに行うことにより、ADLを損なわないようにして退院できるよう最大限留意しながら診療にあたっています。また、入院中の方に限らず、通院中の患者さんに対しても心臓リハビリが行えるような診療体制をとっております。

大動脈弁狭窄症に対するTAVI(経カテーテル的大動脈弁植え込み術)

心臓の弁に障害が起き機能障害を来した状態を心臓弁膜症といい,高齢化が進む日本では患者数が年々増加しています。代表的な心臓弁膜症疾患に大動脈弁狭窄症があり,大動脈弁が硬くなり,開きにくくなる疾患です。 病状が進むと動悸,息切れなどの症状が現れ,重症になると胸痛や失神,突然死を来すことがあり,自然に治ることはありません。診断はこうした症状のほか,聴診と心エコーをもとにされます。
重症の大動脈弁狭窄症に対しては,従来では開胸し人工心肺装置を用いて心臓を停止した状態で人工弁を縫い付ける外科的手術が行われてきました。近年では新しい治療法として開胸や心停止せずに,経カテーテル的に大動脈弁を留置するTAVIという治療法が行えるようになりました。県内でTAVI施行可能施設は現在8施設ですが,当院は2017年よりその認可を受け,これまで施行した症例は良好な経過をたどっています。現在当院では大動脈弁狭窄症の患者さんに対して,循環器内科および心臓血管外科からなるハートチームが個々の状況を詳細に検討の上,治療法として外科的治療法もしくはTAVIのどちらが適切か提案させていただいています。 大動脈弁狭窄症の診断,治療法についてお悩みのことがあれば一度外来を受診してください。
(担当:火曜日午後 渡部,木曜日午後 向井 2018年9月)

正常大動脈

正常大動脈弁

大動脈弁狭窄

大動脈弁狭窄

TAVI 実施例

TAVI 実施例

当科では循環器疾患全般への治療を目的としてスタッフのチームワークを確立し,患者さんの状態にあった適切な治療を提供できることを目指しています。
ご不明な点などございましたら,遠慮なくお尋ねください。

専門外来

不整脈・アブレーション外来

カテーテル・アブレーションによる不整脈治療を希望される方を対象とした専門外来です。十分な説明をさせて頂くために患者さん一人当たり30分程度の時間をとっています。

担当者 鈴木靖司,伊藤良隆
受診方法 予約のみ(新規の場合はかかりつけ医から地域連携室を通して予約してください)
診療日時 ※医師の担当日時(週・曜日)についてはこちらでご確認ください。

植え込みデバイス外来(ペースメーカ・植え込み除細動器)

ペースメーカ植え込み後の患者さんを対象に,ペースメーカの作動状況,電池の消耗具合などのチェックを行う専門外来です。

担当者 伊藤良隆(交代制),福田元敬
受診方法 予約のみ(新規の場合はかかりつけ医から地域連携室,又は内科外来受付を通して予約してください)
診療日時 ※医師の担当日時(週・曜日)についてはこちらでご確認ください。

CRT外来

心不全に対して両室ペースメーカ移植術を施行された患者さんを対象にペースメーカチェックを専門に行う外来です。ペースメーカの設定が心不全治療に対して効果不十分の際には,その場で心エコーを施行し,最適なペースメーカ条件を再設定します。

担当者 向井健太郎,若林宏和,中野雄介
受診方法 予約のみ(新規の場合はかかりつけ医から地域連携室を通して予約してください)
診療日時 ※医師の担当日時(週・曜日)についてはこちらでご確認ください。

診療・治療実績

患者数内訳

1日平均 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度
外来患者数 101.9人 119.9人 122.5人 120.9人 119.5人
入院患者数 39.1人 41.1人 38.1人 40.7人 42.8人

心・血管カテーテル検査,治療

冠動脈造影,経皮的冠動脈形成術,下肢血管形成術

  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
冠動脈造影 649 577 604 913 816
経皮的冠動脈形成術 352 329 290 325 288
下肢血管形成術 23 24 15 15 6

不整脈治療

カテーテル・アブレーション,ペースメーカ植込み術,植込み型除細動器

  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
カテーテル・アブレーション 113 106 143 178 215
ペースメーカ植込み(新規) 31 31 33 37 37
ペースメーカ植込み(交換) 19 14 18 10 16
植込み型除細動器 13 10 7 7 9

両心室ペースメーカ移植術(CRT)

  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
新規 6 3 7 5 2
交換 4 6 5 5 2

経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)

  2017年
TAVI 6

設備等

  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
心エコー(経胸壁) 4,424 5,077 5,873 3,088 4,822
心エコー(経食道) 82 124 142 136 179
冠動脈CT 622 579 648 727 789
心臓核医学検査(負荷有り) 322 314 341 314 284
心臓核医学検査(負荷無し) 204 196 95 69 124

キーワード

循環器内科,虚血性心疾患,狭心症,心筋梗塞,不整脈,カテーテル・アブレーション,リードレスペースメーカ,心不全,両心室ペーシング,弁膜症,生活習慣病,高血圧,TAVI,中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)

医療連携について

循環器内科では,病診連携(愛知医科大学病院とその他の医療施設との連携)を,極めて重視しており,当病院全体としての「病診連携室」を軸にして,積極的に地域の医療連携に取り組んでいます。患者さんの御紹介は24時間いつでも受け付けています。当科では迅速な対応を行うため,循環器内科ホットラインを開設しております。緊急患者さんの受け入れ要請,外来診療において循環器的判断,助言など「よろず相談」としてこのホットラインをご利用いただければと思います。平日時間内は各曜日の診療責任医師,平日時間外・土日祝日は当直医師が対応します(ホットラインの番号はIDPW利用の地域医療連携のページより)。

関連リンク

連絡先

TEL
外線:0561-62-3311(代表)
内線:36100 28外来(08:30 - 17:15)
内線:32705 循環器内科病棟
内線:23490 循環器内科医局