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呼吸器・アレルギー内科

大学病院

理念

ヒトは生きるために水と栄養と酸素が必要です。酸素は肺に空気を入れたり出したりする,すなわち呼吸をすることによって取り入れられます。そのためには,肺に空気が滞りなく入ってきて,酸素が血液に溶け込み,代わりに炭酸ガスが出て行くといった肺の働きが万全でなければなりません。空気の中には様々な微生物やほこり,時には有害ガスが含まれているので,肺には感染症や腫瘍,アレルギー反応,その他の障害がおこることがあります。呼吸器・アレルギー内科はそうした肺の病気のすべてに対して内科的な治療をする科です。

当科では,病気に対する検査や治療について,医学的根拠に基づいた適正な治療法をいくつか示して,どの治療方針をとるか患者さんと共に考えていきます。

私どもの目標は,医学的に適正な医療を患者さんの意思と信頼に基づき,安全かつ快適な形で実施することです。

キーワード

呼吸器,気管支,肺,喘息,肺癌,間質性肺炎,サルコイドーシス,肺胞蛋白症

スタッフ

診療時間・外来担当一覧

診療内容

下気道疾患全般を扱っています。その中でも特に当科が得意とする代表的疾患について述べます。

気管支喘息

気管支喘息は,気管支における慢性のアレルギー性炎症の結果,気道が狭くなり,発作的に息苦しさや激しい咳(ぜんそく発作)を伴う病気です。風邪などによっても症状が増悪します。最近の快適な生活環境によるダニやハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーのもととなる抗原)の他に,ペット(ネコ,ハムスターやモルモットなど)のアレルギーが原因となって発症することがあります。現代社会のストレスなども絡み合い,喘息患者さんの数は,年々増加の一途を辿っています。繰り返すぜんそく発作は,仕事や学業などの日常活動をも著しく制限し,患者さんご本人のみならず,社会にとっても大きな損失になります。また,激しい発作は,時に窒息死を招くこともあります。日本では年間約2600人の人が喘息発作で亡くなっています。

治療は,ピークフローメーターという簡単な肺機能測定の器具をお貸しし,個々の患者さんに記録して頂きながら,吸入ステロイド治療を発症早期から積極的に導入します。これにより,多くの患者さんで発作の程度を最小限にくい止め,副作用もほとんど無く,症状をコントロールすることが可能です。最近の喘息治療は,副作用が少なく,効果の高い薬がたくさんあります。しかし私たちは,決して治療を漫然と続けるのではありません。定期的に症状や肺機能の評価を行い,安定していれば治療のステップダウン(薬の減量)を行い,患者さんにとって必要かつ十分な治療を行うことをたえず心がけています。喘息は完治が難しい病気ですが,最小限必要な薬を決めてきちんと続けていけば,健康な人とほとんど変わらない日常生活を送ることが可能になります。ですから安心して治療を継続して頂きたいと思っています。

しかしながら一部の患者さんでは,吸入ステロイドに種々の抗喘息薬を加えても十分なコントロールが達成されず,経口ステロイドも使わざるを得ません。経口ステロイドは色々な副作用を伴います。そのような方では条件が満たされれば,注射薬を用いた新しい治療法があります。当科ではそのような重症喘息の治療にも積極的に取り組んでおります。

慢性咳嗽(3週間以上続く咳)について

慢性咳嗽の原因は,単なる風邪の後に少し咳が残っていて自然に治る場合の他に,喘息,結核,肺癌など,きちんとした治療や管理が必要な怖い病気であることもしばしばあります。私たちは,胸部エックス線写真の他に,必要に応じて気道過敏性試験,咳感受性試験,内視鏡などを駆使して原因を的確に診断し,それぞれの疾患に応じた治療を行っています。弱い咳でも長く続く場合は軽く考えず,是非受診される事をお勧めします。

間質性肺炎・膠原病

特発性間質性肺炎は空咳と呼吸困難を起こす慢性の病気です。原因は分かっていませんが,喫煙者に多くみられます。肺胞という肺を構成する微細な組織の壁で慢性の炎症が起こり,その結果肺が硬くなり,縮んでくる病気です。何年にもわたって徐々に進行しますが,かぜをひいたり,肺炎を起こしたりすると急速に悪化することがあります。膠原病(慢性関節リウマチ,皮膚筋炎・多発筋炎など)によっても間質性肺炎がしばしば起こります。いずれも完治の難しい病気ではありますが,病変の組織的な型によっては治療によってかなり良くなることも少なくありません。従って,きちんと検査をして正確な組織学的診断を行い,適応があればステロイドや免疫抑制剤による治療を行っています。

膠原病は全身性疾患でもあるので,病変が生じる頻度の高い他の臓器診療科(腎臓内科,神経内科,皮膚科)とも密接な連携を保ちながら診療を行っています。

慢性閉塞性肺疾患(おもに肺気腫)

肺気腫とは,主にタバコが原因で肺胞の壁が破壊され,肺機能が低下する病気です。症状は動いたときの息切れです。慢性に経過するため症状の進行に気づきにくく,発見されたときにはすでに後戻り出来ないところまで肺の破壊が進んでいる事が多い病気です。日本では530万人もの人が実は肺気腫で,そのうちの90%以上は診断されずに放置されているとも言われています。長い間タバコを吸っていて,最近息切れを感じるという方は肺気腫に冒されているかも知れません。是非受診をおすすめします。

治療は,薬物治療,呼吸リハビリ,在宅酸素療法(または呼吸管理)を組織的に行い,少しでも日常生活の質(QOL)が改善し,長生きして頂けるようにと努力しています。呼吸リハビリは,リハビリテーション部と協力して,外来でも可能なプログラムを実践しています。在宅酸素療法は,24時間連続経皮酸素飽和度測定・解析装置などを用いて日常生活上の低酸素血症の存在を的確に把握し,個々の患者さんにとって最も適切な酸素流量の設定を行うよう心掛けています。必要があれば在宅での人工呼吸管理も導入し,往診ドクターや在宅看護師との連絡を密にとり,患者さんがご自宅で安心して過ごして頂けることを目標に努力をしています。

肺癌

最近の死亡原因のトップをご存じでしょうか?それは「肺癌」です。1日に吸うタバコの本数×吸っている年数が400以上の方,どうも咳が止まらない,このところ痰がよく出る,時に血痰も混じる。こんな症状のある方は肺癌かもしれません。肺癌はなかなか早期に発見することが難しい病気です。自分は肺癌ではないかとお悩みの方がみえましたら,怖がらずに早めに受診することをおすすめします。当科では,肺癌の診断率を上げるため,患者さんへの負担の少ない極細気管支鏡を用いた生検を行っており,特にマルチスライスCTを用いた仮想内視鏡像をナビゲーションとして短時間で的確に診断が行えるノウハウを確立しています。

肺癌と診断された場合,手術適応のある症例に対しては呼吸器外科に紹介するとともに,科学療法(抗癌剤)及び放射線療法を用いて治療を行っています。最近は,癌の遺伝子異常により特定の抗癌剤の効果がかなり正確に予測できるようになっています。また当科では外来化学療法も積極的に導入し,患者さんにはできるだけ自宅での療養生活が送れるよう,配慮しています。

肺癌には,まだ標準化された治療法がないのが現状です。患者さんの日常生活の質(QOL)と予後が少しでも改善するように,東海地区のみならず,西日本におけるがん治療の主要施設として適切な薬剤選択のもと治療にあたっています。

肺胞蛋白症

肺胞蛋白症は肺の中に界面活性物質というタンパク質が貯まる病気です。肺は肺胞という小さな袋に分かれています。肺胞の表面は湿っていますので,水の表面張力で肺胞がつぶれ易くなります。これを防ぐために肺胞の細胞は界面活性物質という表面張力を小さくする作用のあるタンパク質を産生しています。しかし肺胞蛋白症では,このタンパク質を処理する肺胞マクロファージという細胞の機能が低下しています。そのためにタンパク質が肺胞内に貯留・充満して空気が入らなくなってしまい,肺機能が低下してしまうのです。原因はこの肺胞マクロファージを働かせているGM-CSFという物質を妨げる抗体ができているためと言われています。今日本では,GM-CSFを吸入することによって肺胞マクロファージの働きを正常化して,病気を治そうとする試みがされています。

肺血栓塞栓症

「エコノミークラス症候群」と言う言葉をご存じでしょうか?旅行等で長時間同じ姿勢をとっていた後,歩行中に突然呼吸困難に陥る病気です。原因は静脈の中にできた血の固まりが肺の血管を塞ぎ,その結果体の中に酸素が取り込めなくなることによります。場合によっては,命に関わることもあります。この他に足に静脈瘤があったり,経口避妊薬を内服されている方で突然呼吸困難が表れた方はこの病気かも知れません。

当科では,循環器内科,血管外科と共に血栓溶解療法,血栓除去術を用いて治療にあたっています。

サルコイドーシス

サルコイドーシスとは,原因不明の,肉芽腫という病変が全身に起こる病気です。20歳から30歳代,女性では閉経後にも多く,肉芽腫病変は,肺やリンパ節のほか,眼,皮膚,心臓,神経,肝臓,唾液腺,筋肉などにも起こります。健康診断の胸部エックス線写真で肺門リンパ節が腫れていることを指摘されて見つかったり,“眼がかすむ”,“視界に虫が飛んでいるよう(飛蚊症)”などの眼の症状で発見されることもあります。また,様々な皮膚病変,全身倦怠感,顔面神経麻痺など神経症状,咳や息切れ,そして心臓に病変が起こることによって不整脈や脚の腫れなどの症状を起こすこともあります。サルコイドーシスの予後は通常良好とされ,約7割の患者さんは2年以内に自然に治ります。しかし5~10%の患者さんでは難治化し,極端に視力が低下したり,呼吸不全,不整脈を起こしたりするなど,重症化する事があります。難治化,重症化症例の治療にはステロイド剤の内服や点眼などが使用され,心臓の不整脈にはペースメーカーが必要になる事もあります。いずれにしろ,サルコイドーシスが疑われたり診断された場合は,専門医による注意深い経過観察が必要です。当科は,サルコイドーシスに関する研究や診療経験が豊富な医師を擁しておりますので,健康診断で異常を指摘されたり,眼科などで本症の可能性を指摘された方は是非当科外来に御相談ください。

診療実績

2009年度実績

1日平均外来患者数:46人
1日平均入院患者数:48人(年間新入院患者数:720人)
※疾患内訳:肺癌,呼吸器感染症(肺炎,胸膜炎),間質性肺炎,COPD急性増悪
気管支鏡検査数:342件

連絡先

〒480-1195
愛知県長久手市岩作雁又1番地1

愛知医科大学 呼吸器・アレルギー内科
教授:山口悦郎,馬場研二,医局長:久保昭仁,医局長補佐:高橋大輔,横江徳仁

TEL: 0561-62-3311 
FAX: 0561-62-4652
内線:3050 山口悦郎
内線:3500 馬場研二,八木健郎