生体の適応調節機構

 本講座では生体の適応調節をテーマに、細胞レベルでの情報伝達機構から人体の生理反応まで広く研究を行っています。生体の生理機構を分子レベルから人体まで統合的に理解できる医師・研究者を目標としています。

新しい生理調節機構の同定と解析

【疾病に関与するシグナル制御蛋白の同定と解析】

 私たちの研究室では、疾病の発症・進展に関与する新しいシグナル制御蛋白の同定を行っています。佐藤らは、G蛋白刺激伝導系を中心に研究を行い、複数のシグナル制御蛋白の同定を行ってきました1,2)

 三量体G蛋白は生体にとって非常に重要な機能を制御しており、三量体G蛋白を活性化する受容体は薬物療法の主要なターゲットとなっています。しかし近年、受容体以外に、三量体G蛋白の活性化を直接制御するシグナル制御蛋白(G蛋白活性調節因子)が細胞に存在することが知られるようになりました3)。私たちはG蛋白活性調節因子の同定と機能解析から、病態解明・新しい治療法を見つけていきたいと考えています。

 私たちは、すでに狭心症に関係するG蛋白活性調節因子4)、心肥大に関係するG蛋白活性調節因子の同定を行いました5)。得られた蛋白の解析を進め、その結果から虚血心筋傷害、心肥大を予防する方法を検討しています。他の疾患関連シグナル蛋白も同定中です。研究活動に興味のある方の参加を歓迎します!

 詳しい研究内容は、メンバーのページを参照ください。

左図:新しい蛋白によるG蛋白シグナル制御が疾病の発症・進展に関与する
右図(上)我々が同定した狭心症で発現するG蛋白活性制御因子(Activator of G-protein Signaling 8, AGS8)の心筋組織での発現。右図(中・下)培養心筋細胞でのチャネル蛋白コネキシン43の発現(中、正常培養:下、低酸素曝露後)

1) Sato M, et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 103:797, 2006,
2) Sato M, et al. Annu Rev Pharmacol Toxicol 46:151, 2006
3) Sato M, et al. Pathophysiology 17:89, 2010
4) Sato M, et al. J. Biol. Chem. 284:31431, 2009
5) Sato M, et al. J. Biol. Chem. 286:17766, 2011

環境生理学と自律神経活動の解析

 私たちの研究室では発汗と体温調節を中心とする環境生理学,自律神経生理学の研究を行っています。

 発汗・体温調節は私たちの研究室が長く取り組んできた課題です。人工気候室を用いて、温度・湿度が発汗・体温調節に与える影響を自律神経活動とともに記録し、解析しています。発汗・体温調節障害の病態生理研究も行っています。また、年齢、季節による発汗・体温調節能の変化も検討課題としています。(右は赤外線サーモグラフィーで測定した皮膚表面温度の写真)

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