先輩ナース
私が所属するGICU病棟は、術後の患者さんや院内重症の患者さんが入院する集中治療室です。病状が重いがゆえに、患者さんは多くの医療機器や薬剤を使用しています。患者さんやご家族の受けるストレスは強く、希望すら見失ってしまうことがあります。そのような時に、些細な表情や行動の変化に気づき、患者さんやご家族の立場で、手を差し伸べるよう心がけています。変化に気づくためには、多くの知識や技術が必要です。修得した特定行為を活用し、多職種と協力しながら、看護実践力を高めていきたいと思っています。
当院の手術室看護師が担当する手術は、平均して1日に1件から3件の手術(全身麻酔手術の場合)です。主に医師の隣で器械を渡す「器械出し看護師」と、手術室全体を見て介助を行う「外回り看護師」に分かれ、1年目の看護師は「器械出し」から担当します。大学病院の手術室なので症例も多様で、最初は器械を覚えることも大変でしたが、スムーズに器械出しができるようになると、手術時間の短縮にもつながり達成感があります。手術中に意識のない患者さんの気持ちを代弁して安全な手術を実現する。そんな使命感を持って仕事に取り組んでいます。
看護学部を卒業した後、1年間専門学校に通って助産師の資格を取り、当院に入職しました。助産師は、お産という人生における貴重な瞬間を支える仕事です。働く上で、身体だけでなくお母さん方の心に寄り添うということを意識しています。出産の喜びを共有するだけでなく、お母さん方の不安を汲み取り、安心して新たな家族とのスタートが切れる様な関わりを心がけています。母と子の命を預かり責任の重さは常に感じますが、お母さんが赤ちゃんと一緒に退院されていく時、「ありがとう」「またここで出産したいです」と言っていただけた時は大きな喜びを感じます。
集中治療領域では、生命の危機状態にある患者様の病態の変化を予測して重篤化の回避の援助が重要です。さらに、患者様の社会復帰促進のため、入院直後から多職種と連携して早期リハビリテーションを推進する必要があります。当院の集中治療室では、早期リハビリテーションチームによる介入が特に強化されており、看護師が患者様の社会復帰したあるべき姿を共有し、継続的に個別性に応じたケアの実践を行っています。私は、スペシャリストとしてICUの教育体制の整備やOJTを通して、看護師の知識・技術の強化に尽力しています。
緩和ケアときくと、終末期や看取りのイメージがあり、敬遠したい気持ちを持たれる患者さんもいます。しかし、がんと診断されたときから緩和ケアは始まります。病気になると疾患や治療による身体の不調だけではなく、精神の不調や生活と仕事の両立など様々な「からだとこころの痛み」を抱えながら治療と生活を送ります。それにいち早く気づき、コーディネート・サポートできるのが看護師の役割だと感じています。私自身が直接対応するだけでなくスタッフ教育にも力を入れ、ケアを共に考え、患者さんが自分らしく治療や生活を送ることができるように努めています。
がん化学療法看護認定看護師の役割は、がん患者さんとその家族が安全・安心して治療が受けられるように支援することです。
私は、患者さんとその家族の精神的サポートを行いながら、安全・安楽・確実に抗がん剤投与が受けられるように統一した投与管理、副作用対策のセルフケア支援を行っています。病棟・外来化学療法室の看護師と共に共同して、患者さんが充実した生活を送りながら治療を実施することができるような看護ケアを一緒に考え提供し、継続看護に繋がること事を目指しています。また、がん看護研修などを開催し、看護師の知識の向上や実践能力の向上に努めています。
別の病院で勤務した後当院に入職し、フライトナースをめざして専門知識とスキルを身につけてきました。フライトナースになった時最初に感じたのは、「医師と2人だけで対応すること」の想像以上の大変さです。現場で分からないことがあっても、自分を助けてくれる人は誰もいません。患者さんの状態と医師の動き、救急隊の動きなどを同時に見ながら、「次に何をするべきか」を考える必要があります。また、自分が現場でケガをしたらその後の処置が一切できなくなるので、ヘリを降りる時の安全確認や周囲の状況判断も重要です。大変さを感じる場面はたくさんありますが、その先に得られるやりがいは、この仕事ならではのものです。フライトナースに興味を持った方がいたら、ぜひ目標に向かってがんばっていただきたいと思います。
ドクターヘリに搭乗するのは、医師とフライトナース、操縦士、整備士の4名です。フライト担当日は朝から救急外来で待機し、要請から3~5分以内に離陸します。患者さんがどのような病態で、現場でどう対処することが適切なのか。また。どの医療機関に搬送するのか。あらゆるケースを想定し、救命のために最善を尽くすことが、フライトナースの役割です。常に強い緊張が伴う仕事ですが、フライトの結果無事に救命につながった時は、大きな達成感があります。ヘリを管理してくださる方や、現場でヘリを呼んでくださる方、患者さんを受け入れてくれる病院など、さまざまな人の力によって一人の患者さんの命が救われます。その中の一員として力を尽くすことに、使命感を感じています。