愛知医科大学医学部後援会

就任のごあいさつ


医学部後援会会長 野場 万司
会員の皆様におかれましては、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。また、平素より医学部後援会活動に対して多大なるご理解と温かいご支援を賜り、心より深く御礼申し上げます。

この度、歴史と伝統ある医学部後援会の会長という重責を仰せつかりました、野場でございます。身の引き締まる思いではございますが、未来の医療を担うかけがえのない学生たちのために、そして志を同じくする会員の皆様とともに、本会のさらなる発展と充実を目指し、誠心誠意その職責を果たしてまいる所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

医療または医学教育の激変と「AIネイティブ世代」の挑戦

いま、医療を取り巻く環境、そして医学教育の現場は、これまでにないスピードで激変しています。その中心にあるのが、急速に普及した生成AIをはじめとする高度なデジタル技術の進化です。現在の学生たちは、生まれながらにして、あるいは多感な時期からこれらの最先端技術に触れて育ってきた、いわば「AIネイティブ世代」であります。

医療におけるAIの活用は、画像診断の精度向上や疾患予測、業務の効率化など、多くの恩恵をもたらしています。教育の場においても、膨大な医学知識を効率的に検索し、パーソナライズされた学習を進める上で、AIは非常に強力なツールとなっています。

しかし、利便性と引き換えに、自ら深く思考し、悩み、葛藤しながら答えを導き出すというプロセスが不足してしまうのではないか――。これこそが、現代の医学教育が抱える新たな課題であり、私たち後援会も真摯に向き合うべき大テーマであると考えております。

医療環境の変化が求める「人間性の確立」

医師に求められるのは、単なる「医学知識の器」としての優秀さだけではありません。患者さんの痛みに寄り添う共感力、多様な価値観を尊重する寛容さ、医療チームを率いるコミュニケーション能力、そして何よりも生命の尊厳に対する深い畏敬の念です。これらはすべて、一朝一夕に身につくものではなく、学生時代の豊かな経験や泥臭い人間関係の衝突、挫折と克服のプロセスを経て、少しずつ形作られていく「人間性の確立」です。

私たち後援会は、学生たちがこの多感な時期に、知識の詰め込みだけに偏ることなく、豊かな人間性を備えた「良き医療人」へと成長できるよう、大学と家庭を結ぶ強固な架け橋となり、多角的なサポートを展開していく使命があります。

3つの部会が展開する組織的サポート

こうした教育理念と学生たちの歩みを具現化し、物心両面から強力にバックアップするため、本後援会では現在、3つの専門部会を設置し、緊密に連携しながら組織的な活動を展開しております。

まず1つ目の「厚生協力部会」は、クラブ活動費用や、「医大祭」の運営費用、さらに、学生時代の集大成となる卒業記念品、卒業アルバム費用、そして謝恩会の費用を助成することで、学生生活の彩りと、豊かな人間性を育む課外活動を包括的にサポートしております。

2つ目の「教育協力部会」は、学修教材購入費用の助成、コピー機利用の費用助成、4学年次に実施される「CBT試験(共用試験)」対策費用の助成を中心とした支援を行っています。学生たちが確かな基礎知識を身につけ、自信を持って次のステップへ進めるよう、学習環境の整備に尽力しています。

そして3つ目の「国試対策部会」は、最終目的地である医師免許取得への道を伴走しています。WEBで行われる予備校講師による「医師国家試験対策講義」の費用や、全国規模で実施される「模擬試験」の費用等を助成し、精神的にも肉体的にも過酷な受験期を乗り越えるための強固な盾として、学生たちを後押ししています。

このように、学生の成長フェーズに合わせ、その時々に真に必要な支援をそれぞれの部会が責任を持って実行しております。

組織の未来を見据えた「互助会業務の保険会社への移管」

後援会の活動と並行して行っていた活動の一つに「互助会」があります。学資負担者である保護者が不幸にも死亡または高度障害の状態になられた場合に、学納金を後援会が代替納入する事業、経済的理由で学費支払いが困難になったご家庭に対して、無利子で貸与する貸付業務がありました。しかし、大規模災害時には互助会制度では対応できなくなる可能性があること、任意団体である互助会による貸付業務は法的な問題を指摘されたこともあり、保険会社に移管するととし、今年度の入学生より新規募集は停止しておりました。先日、5月24日に互助会総会で規約施行細則の変更を含め事業移管を正式に承認いただきました。今後は、正式の報告とともに諸手続きの案内をさせていただきます。

この移管は単なる形式の変更にとどまりません。日々変化する大学のニーズや、前述した激変する教育環境に対して、後援会活動がより柔軟かつ効率的、そして持続可能な形で学生をサポートするための、前向きなアップデートであると思っています。

この移管にあたり、会員の皆様には様々な面でご理解とご協力をいただいておりますことに、この場を借りて深く御礼申し上げます。

結びに代えて

医師への道は、決して平坦ではありません。AIという新たな知性と共存しながら、人間としての魅力を磨き、膨大な試験を乗り越えていかなければならない我が子たちの姿は、頼もしくもあり、同時に親としては時に愛おしく、案じるものでもあります。

家庭だけではできないこと、大学だけでは手の届かないところを支える必要があり、そこに私たち保護者が集うこの後援会の存在意義があります。大学と緊密に連携しながら、学生たちが安心して夢に向かって突き進み、いつか社会へ羽ばたくその日まで、私たちが最大の応援団であり続けたいと願っています。

会員の皆様におかれましては、今後とも本会の活動に対し、変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

結びに、会員の皆様のご健勝とご多幸、本学医学部の益々の発展、そして何よりも、未来の医療を切り拓く学生たちの輝かしい前途を心より祈念いたしまして、私の就任の挨拶とさせていただきます。