老年看護学領域

老年看護学領域では，高齢者と高齢者を取り巻く環境の理解に努め，多角的な視点で看護を探求しています。そのために，あらゆる健康レベル，環境で生活している高齢者とその家族の理解と生活の質の向上をめざした看護援助方法を探求し，あわせて高齢者を取り巻く地域，社会との関係で生じる様々な課題について分析するなど，現状の理解とその支援・援助について検討できる研究能力をもつ高度専門職者の育成をめざしています。

これまでの高齢者ケアや高齢者とのかかわりから得た体験を基盤として，老年看護における理論・概念，知識・技術を体系的に学んでいきます。長い歴史を持ち，今を生きている高齢者を「生涯発達」の視点でとらえ，社会の一員として高齢者の望む生活を大切に考えることを教育方針としています。

老年看護実践の多様な場において看護を探求するための活動をしています。研究内容は、老年看護実践のほかに老年看護教育についても取り組んでいます。学習者の体験から湧きあがった疑問を出発点として、意味ある研究に発展できるようサポートしています。最近の修士課程修了者の研究テーマは、「高齢者のドライスキンに対する洗浄法と保湿剤による保湿効果の検証」「家族介護者の介護に対する肯定感・否定感に関連する要因」「高齢患者における術後せん妄予防に関する看護師の実践とその有効性の認識」「個人の写真を使った日常的な回想が看護師と認知症症状のある高齢者に与える効果」「過活動膀胱を有する高齢患者における転倒要因の検討」「看護学生のエイジズムと、生活背景・老年看護学臨地実習における体験との関連」です。