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第1度 第2度
耳の正常な形がかなり残っているもの。 耳の形が一部残っているもの。
下の写真では耳介のひだの一部(対耳輪)が欠損し 下の写真では耳介の上半分が欠損しています。
全体的に健常側と比べ小さくなっています。 耳の穴の入り口(耳甲介窩)が小さくなっています。
外耳道は閉鎖しています。 外耳道は閉鎖しています。
第Ⅰ度小耳症
第Ⅱ度小耳症
第3度 無耳症
単に皮膚と軟骨が残っているのみで耳の形を成して 耳介を欠くものです。
いないもの。 下の写真は顔の頬の骨の一部も欠損しており
下の写真はピーナッツ型といい、一番多く見られる 大きなしわとなっていますが、耳介はほとんど胎児が母親のおなかの中にいるとき、耳介やあごはちょうど魚のえらに当たる第1鰓弓と第2鰓弓という部分が癒合して形成されます。
小耳症はこの第1鰓弓と第2鰓弓の癒合に何らかの障害が生じておこるものと考えられています。
顔の骨の発育が悪かったり、中耳の音を伝える部分が欠損したりするのも発生の基となる部分が同一だからです。
そのほか比較的よくみられる症状としては顔の表情を作る神経(顔面神経)の動きが弱く眉毛や口の位置が片方だけ下がっていたり眼瞼がきちんと閉じなかったりすることがあります。
他の先天的な病気と合併することも時々あり、耳だけでなく心臓など全身のチェックをする必要があります。
手術は大きく3つの段階に分けておこないます。もっとも一般的なⅢ度(Peanut type)の小耳症の場合、第一段階として残存耳介を後方に移動し耳垂(みみたぶ)を形成します。その切開を利用し PMT社製Tissue expander、double chamber 容量152cc 大きさ5×6cm remote valve付きを挿入します。Ⅰ度、Ⅱ度のものでも耳介を健常耳介と同じと予想される所まで後方に移動させてから、Tissue expanderを切開線より挿入します。耳輪脚部が残存する例では、その部分は前方に移動し耳輪脚としますが、それ以外のは全て後方に移動した方がexpander後にフレームを挿入しやすく耳輪から耳輪脚部の輪郭も良好となります。
手術は1時間半程度、全身麻酔です。侵襲も少なく麻酔時間も少ないため、入院期間は短くてすみ、麻酔の影響が抜ければ退院できます。
Tissue expanderは生理食塩水を入れて脹らまします。
術後1ヶ月程度待機した後、生理食塩水の注入を始めます。
PMT社製Tissue expander挿入例。
約200ccまで生理食塩水を注入。
Tissue expanderによって皮膚が充分に伸展したら、肋軟骨でできたフレームを入れます。
この手術が一番大きな手術です。胸から肋軟骨を3本取ります。肋軟骨を取るときに、それを包んでいる軟骨膜は温存しますので軟骨は再生してきます。ですから胸に一本細い跡が残るのみで、この跡も時間が経てばあまり気にならなくなります。
ただ体質によってはケロイドになりやすい人もいます。予防接種の跡が目立つ人です。そのような人には圧迫する装具をつけてもらいます。
肋軟骨は実際の耳介の軟骨の形と同じように作ります。三次元的な形態で、耳の穴の前にある隆起(耳珠)まで造ります。
肋軟骨フレーム
肋軟骨フレーム移植後
このフレームのデザインのポリシーは耳輪脚部から 術後3ヶ月の状態です。頭皮を伸展して耳介
耳輪にかけての外側の輪と対耳輪(内側の隆起)から の皮膚にしているので毛髪がありますが、これ
耳珠にかけての内側の輪を、角度を持たせて組み合わ はレーザーにより永久脱毛します。耳の輪郭は
せることです。この二つの輪の組み合わせで自然な流 半年ほどすると鮮明になってきます。
れの立体的な耳介を形成できます。 移植した軟骨は数年すると少しずつ柔かく
なってきます。
この後、必要に応じ、耳を立てる手術(耳介挙
上術)や耳の穴を造る手術(耳甲介窩形成)と耳の
溝を造る手術(舟状窩形成)などを追加します。
また耳の穴(耳甲介窩)や耳の溝(舟状窩)の
窪みを維持するため装具を3~6ヶ月程度装着する
こともあります。
手術適齢期を過ぎた小耳症再建
不幸にして10歳前後の手術適齢期を過ぎてから治療に来院される患者さんもみえます。
その場合顔の大きさは充分ですが軟骨が固くなり細工しにくくなるのが大きな問題です。
軟骨は曲げにくくなるので、曲げやすいように切れ込みを入れたり、幾つかのパーツを組み合わせ寄木細工のようにフレームを作成します。
第Ⅱ度小耳症。 Tissue expander生食注入後。 肋軟骨移植後1年。
二十歳前まで未治療でした。 Expanderに約100ml生理食塩水を 皮膚の色調、質感も健常部分と変
この写真は20歳前の患者さんです。 注入した段階で肋軟骨移植をしました。 わらない。
治療ができることを知らないまま Ⅱ度の小耳症であるため注入量は少な 肋軟骨を移植後1年の状態です。
過ごされてきました。 めです。 良好な形態ですが、軟骨が硬く
Tissue expanderを挿入しました。 生理食塩水注入中も普段どおり通学し 十分曲げることができなかったの
日常生活を送っていました。 で、耳輪と耳輪脚部の連続性が途
絶していますが、患者さんはこの
状態で満足されているので修正手
術は行いませんでした。
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