
看護学生の慢性疼痛教育プログラムの構築:Pfizerの学習と変革のための独立助成金事業
Pfizerの学習と変革のための独立助成金事業
この教育コンテンツは、愛知医科大学看護学部と東京医療保健大学和歌山看護学部が
Pfizerの学習と変革のための独立助成金事業の協力を得て、
全国の看護学生のため、慢性疼痛教育プログラムを構築するものです。
看護学生に限らず、慢性疼痛に関する
教育知見コンテンツとして、自由に閲覧ください。
ただし、本講義の資料内容を無断使用・無断転載・SNS等への投稿することは固く禁じます。
この教育コンテンツは、
愛知医科大学看護学部と
東京医療保健大学和歌山看護学部が
Pfizerの学習と変革のための
独立助成金事業の協力を得て、
全国の看護学生のため、
慢性疼痛教育プログラムを
構築するものです。
看護学生に限らず、
慢性疼痛に関する
教育知見コンテンツとして、
自由に閲覧ください。
ただし、本講義の資料内容を
無断使用・無断転載・
SNS等への投稿することは
固く禁じます。
この「看護学生の慢性疼痛教育コンテンツ」は、「痛み」の基礎知識やメカニズム、
それに寄り添ってケアする看護師としての役割について理解を深めていく教育コンテンツです。
まずは動画で慢性疼痛についての知識を学習しましょう。
そしてこの特設サイトで「痛みの事例学習」に取り組むとともに、「体験コラム」を読み、
痛みに対する対象者の思いの理解を深め、看護師にできることは何かを考えてみましょう。
この「看護学生の慢性疼痛教育コンテンツ」は、「痛み」の基礎知識やメカニズム、それに寄り添ってケアする看護師としての役割について理解を深めていく教育コンテンツです。
まずは動画で慢性疼痛についての知識を学習しましょう。そしてこの特設サイトで「痛みの事例学習」に取り組むとともに、「体験コラム」を読み、痛みに対する対象者の思いの理解を深め、看護師にできることは何かを考えてみましょう。
「痛み」の基礎知識やメカニズムなど、慢性疼痛に関する基礎知識を解説した動画を5本用意しました。
まずはこの動画を見て、「痛み」の基礎知識について学びましょう。
「痛み」の基礎知識やメカニズムなど、
慢性疼痛に関する基礎知識を解説した
動画を5本用意しました。
まずはこの動画を見て、
「痛み」の基礎知識について
学びましょう。
痛みの定義とメカニズム、急性疼痛と慢性疼痛の違い、慢性疼痛の分類について学習するコンテンツです。「人はどのように痛みを感じるのか」や「慢性疼痛とはどのような痛みなのか」など、慢性疼痛について学ぶうえで必要になる、さまざまな背景知識を学びましょう。
疼痛および慢性疼痛について知っておきたい、痛みの定義、痛みの分類、慢性疼痛のメカニズム、慢性疼痛の悪循環、痛みの破局的思考の5つのポイントについて解説しています。痛みの基礎知識を学び、整理しましょう。
慢性疼痛を抱えながら生活している対象者の生活状況のアセスメント、痛みの評価方法、痛みによる日常生活への影響、痛みのケアと効果、痛みのマネジメント、患者のセルフケア行動の実施に向けた看護師の役割の6つにわけて、「慢性疼痛における看護」について学びましょう。
疼痛緩和における代表的な療法のひとつ「認知行動療法(CBT)」について学習するコンテンツです。認知行動療法の概要や認知行動療法のアプローチについて、対話形式による例題をあげながら解説しています。
疼痛緩和における代表的な療法のひとつ「認知行動療法(CBT)」について学習するコンテンツです。認知行動療法の概要や認知行動療法のアプローチについて、対話形式による例題をあげながら解説しています。
集学的治療の定義、集学的治療のスタッフと看護師の役割及び活動の実際について学習するコンテンツです。集学的治療では各スタッフがそれぞれどのような役割を担っているのかや、看護師に求められることや留意するべきことなどについて学びましょう。
疼痛事例をもとに理解を深め、「あなたならば、看護師としてこの事例にどのように向き合うか」考えてみましょう。
疼痛事例をもとに理解を深め、
「あなたならば、看護師として
この事例にどのように向き合うか」
考えてみましょう。
本人 本 |
62歳(女性)、専業主婦 身長158㎝、体重68Kg、BMI27.2 |
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家族 家 |
夫(64歳)と二人暮らし。夫は常勤の会社員。同じ市内に、一人娘が一人暮らしをしている。 |
病名 病 |
腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症により、2椎間後方固定術後6か月経過。 腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症により、2椎間後方固定術後6か月経過。 |
現病歴 現 |
令和2年12月から下肢にうずくような痛みが出現。最初は朝起きるときや夕方から夜にかけて症状が強く出ていたが、 令和2年12月から下肢にうずくような痛みが出現。最初は朝起きるときや夕方から夜にかけて症状が強く出ていたが、最近は何をしていても臀部から下肢の痛みが気になる。
左下肢の痺れもあり、夜も眠れなくなった。寝ていることが多くなったため、令和3年6月に自宅近くの整形外科クリニックを受診した。 |
検査結果 検 |
腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症と診断され、令和3年9月に手術を実施。手術後2週間で退院した。 腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症と診断され、令和3年9月に手術を実施。手術後2週間で退院した。 |
治療状況 治 |
現在はプロスタグランジンE1、プレガバリン、NSAIDsを内服している。 現在はプロスタグランジンE1、プレガバリン、NSAIDsを内服している。コルセットを使用中。筋力アップトレーニングのためリハビリ、腰痛体操、姿勢指導あり。 |
現在の症状 現 |
しびれ、下肢痛、便秘。 |
疼痛期間 疼 |
手術後から現在までの疼痛期間は、6か月。 |
疼痛への思い 疼 |
◎手術をしたが臀部から下肢の痛みが続いたまま治らない。検査結果は「異状なし」。 ◎手術をしたが臀部から下肢の痛みが続いたまま治らない。検査結果は「異状なし」。薬を飲んでいても痛みはよくならない。痛み始めると痛みは恐ろしく、痛みに圧倒されてしまう。
痛みが強いと、良くならないのではないかと思うこともある。寝ていても痛みが軽くならず、家事をできなくなっているので、何もできない自分を情けなく思う。 |
相談者 相 |
同居している夫に左膝の痛みのことを話すと、最初はゆっくりと話を聞いてくれたが、 同居している夫に左膝の痛みのことを話すと、最初はゆっくりと話を聞いてくれたが、最近は「また同じ話か」と少し嫌な顔をする。 |
疼痛尺度等 疼 |
数値評価スケール(NRS)は、10点中7点。 |
既往歴 既 |
高脂血症:HMG-CoA還元酵素阻害剤(2回/日) |
日常生活状況 日 |
◎朝食は、下肢の痛みがあるため、パンとサラダ、コーヒーの準備のみをする。 ◎朝食は、下肢の痛みがあるため、パンとサラダ、コーヒーの準備のみをする。 |
趣味・習慣 趣 |
◎趣味は、パッチワーク。 |
やってみたいこと や つ |
◎趣味のパッチワークをしたい。 |
社会資源の活用 社 |
痛みの会について、情報を知りたい。 |
現在の対象者の痛みによる身体的状態、痛みに対する思いにともなう精神的状態、
日常生活への影響をアセスメントしてみましょう。
現在の対象者の痛みによる
身体的状態、痛みに対する
思いにともなう精神的状態、
日常生活への影響を
アセスメントしてみましょう。
対象者の状態について、
家族はどのように理解しているのか考えてみましょう。
対象者の状態について、
家族はどのように
理解しているのか
考えてみましょう。
対象者に必要な看護ケアには
どのようなものがあるか、考えてみましょう。
対象者に必要な
看護ケアには
どのようなものがあるか、
考えてみましょう。
事例を振り返り、痛みについて
必要な知識を確認してみましょう。
事例を振り返り、
痛みについて
必要な知識を
確認してみましょう。
これは日常的な医療行為がきっかけで、複合的局所疼痛症候群(CRPS)を発症し、
利き手である右手の運動機能に不具合を抱えることになった看護師の痛みの体験記です。
痛みとの向き合い方、愛知医科大学病院「いたみセンター」での集学的治療や周囲のサポートを通して、
自分らしさを取り戻すことができた軌跡を読み、考えを深めてみましょう。
これは日常的な医療行為がきっかけで、複合的局所疼痛症候群(CRPS)を発症し、利き手である右手の運動機能に不具合を抱えることになった看護師の痛みの体験記です。 痛みとの向き合い方、愛知医科大学病院「いたみセンター」での集学的治療や周囲のサポートを通して、自分らしさを取り戻すことができた軌跡を読み、考えを深めてみましょう。
2016年11月。その日の採血は、体調が悪く、血管が出にくかったため、採血担当者も苦戦していた。ようやく穿刺された時、穿刺時に電撃痛が生じた。私は「痛い」と訴えたけれど抜針してもらえず、苦痛でしかない採血だった。まさか、この後「複合的局所疼痛症候群(CRPS)」と診断され、右手の機能を失うことになるとは思ってもいなかった。
受傷直後は、皮下出血が消退すれば症状は改善すると思っていた。しかし、受傷後1ヶ月が経過しても前腕の疼痛、腫脹は軽減せず、思うように動かない右手に苛立ちしかなかった。その時期、仕事では責任者を任される立場にあったにもかかわらず、基礎疾患の治療のために入院治療が勧められ、私には、新たに生じた「痛み」と向き合う余裕がなかった。私は、無意識のうちに、痛みを伴う右手を捨て、気づけば利き手を転換し、左手のみで生活する道を選んでいた。
仕事に穴を空けないことだけを目標に、処方されるがまま薬の量を増やし、痛みのコントロールを試みた。その結果、副作用ばかりが強く出現し、体も心もボロボロだった。大好きだったダイビングもランニングもできなくなった。「看護職としての自分の存在」が脅かされ、「あの時、すぐに針を抜いてくれていれば…」、「私の看護師人生を返してほしい」と、怒りと恨みと恐怖の感情に押しつぶされていた。そして、人と出会うこと、慣れない環境で仕事をすることに極度の緊張を覚えるようになった。
2017年8月、いたみセンターで専門的な治療とリハビリを開始した。その時はまだ、「自分のために右手を取り戻す」という思いを持てずにいた。受診にもリハビリにも前向きになれず、できるだけ受診間隔を空けて仕事に専念したい、そんなことばかり考えていた。ますます使わなくなった右手は、随意運動ができなくなり、手首から先の存在が消えた。右側を無視するようになり、重心が左に傾き、小さな段差で転倒するようになった。「まずい」と思いながらも、抜け出せない闇の中にいる自分が辛かった。
まさか、「看護行為」がきっかけで、看護職としての将来やアイデンティティが崩壊するなんて、思ってもみなかった。同時に、小児看護が専門で、障がいのあるお子さんやご家族に対する看護を実践してきたはずなのに、「障がいのある右手」を目の前に、前向きになることができない自分が嫌だった。そして、「痛い」と言語化することのできないお子さんに対して、自分も同じような辛い採血をしていなかったかと不安になった。私は、前を向くことよりも、誰かのせいにすること、右手を捨てることで、辛い現実から逃げた。しかし、それでは何も解決しないことを、たくさんの人が、時間をかけて教えてくれた。
時間の経過と周りのサポートがあって、2020年頃から、少しずつ、自分のために右手を取り戻そうと思えるようになった。相変わらず、不自然な痛みは続いているし、一度、自分の意志で消した右手を取り戻すことは容易ではない。むしろ、戻ってこようとしている右手の反応が、消された右手の「絵図」と合致せず、その不一致感が苦痛で仕方ない。2022年8月現在、不快症状としてではあるけれど、1日のうちに数時間、輪郭としての感覚が戻ってきてくれ、母指の外転・内転運動が少しだけできるようになった。
私の周りには、私の右手が戻ることを諦めずに支援してくれる人がたくさんいてくれる。主治医やセラピストの先生は、看護師としての私の存在も、一人の人間としての私の存在も認めてくれる。「ありたい姿」、「取り戻したい世界」に向けて、明確な課題を提示してくれるだけでなく、共に評価してくれる。上司や恩師、先輩、同僚は、私が前を向くことを支援してくれる。直接的な看護実践が難しくなった私が、教育者として未来に羽ばたくこと、シミュレーション教育の世界に飛び込むことを教えてくれた。そして、「誰かのためではなく、自分のために前に進むこと」を伝え続けてくれる。「多様性のある世界」と言いながらも、現実は、五体満足であることが「普通」の基準となる世の中で、「手が動かなくても、看護の世界に存在すること」をたくさんの人が支えてくれている。そして、「好きなことを諦める必要なんてない」と、一度は諦めたダイビング、ランニングを再開させてくれた仲間がいる。復帰1本目のダイビング。水中に入ることが精一杯だったけれど、親友から「おかえり」と、歓迎してもらえた海の世界は一生の宝物。
正直、周りが作ってくれた奇跡の積み重ねがなければ、今の私は存在しない。私の「心の声」を聴き、「自分のために生きること」、「前を向くこと」を全力で支援してもらえた結果、今の私が存在することに、感謝の気持ちでいっぱい。前向きになれない時は、逃げ道をもらえない…と、反発したこともあった。でも、後ろを向くことに共感するよりも、前を向くことを支援することのほうが、周りにとっても大変なことだっただろうなぁと、今だから感謝できる。
私は、「この手になったからこそ見える世界があった」なんて思える立派な人間にはなれない。だから、私と同じ思いをする人が一人でも少なくなるように、看護基礎教育の現場で、自分にできることを見つけていきたい。でも、この出来事があったから、「自分のありたい姿」を考えることができたし、「新しい未来を切り開く力」をもらえることができた。「がんばっている姿が、いつの日か、奇跡ではなく希望になる日」を信じて、今できることに取り組んでいきたい。
動画コンテンツの引用・参考文献を以下にまとめました。
気になった文献を読んでみるなど、各自これからも慢性疼痛に関する知見収集を重ね、研鑽を積んでいってください。
動画コンテンツの引用・参考文献を
以下にまとめました。
気になった文献を読んでみるなど、
各自これからも慢性疼痛に関する
知見収集を重ね、
研鑽を積んでいってください。
CONTENTS No.1 |
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CONTENTS No.2 |
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CONTENTS No.3 |
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CONTENTS No.4 |
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CONTENTS No.5 |
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CONTENTS No.2 |
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CONTENTS No.3 |
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CONTENTS No.5 |
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本教材の制作にあたり、監修・ご協力いただいた先生方を紹介します。(順不同・敬称略)
ご協力ありがとうございました。
本教材の制作にあたり、
監修・ご協力いただいた先生方を紹介します。
(順不同・敬称略)
ご協力ありがとうございました。
作成・監修・編集
愛知医科大学看護学部
教授 若杉里実/准教授 荻野朋子/講師 佐藤ゆかり
東京医療保健大学和歌山看護学部
准教授 鈴木里美
愛知医科大学医学部疼痛医学講座
教授 牛田享宏
愛知学院大学心理学部心理学科
教授 牧田潔
作成協力
東京医療保健大学和歌山看護学部
教授 八島妙子/教授 北得美佐子/准教授 甲村朋子/准教授 吉村公一/講師 納谷和誠/助教 関口公平/助教 宮本千佐
名古屋女子大学健康科学部
講師 橋本侑美
作成・監修・編集
愛知医科大学看護学部
教授 若杉里実
准教授 荻野朋子
講師 佐藤ゆかり
東京医療保健大学和歌山看護学部
准教授 鈴木里美
愛知医科大学医学部疼痛医学講座
教授 牛田享宏
愛知学院大学心理学部心理学科
教授 牧田潔
作成協力
東京医療保健大学和歌山看護学部
教授 八島妙子
教授 北得美佐子
准教授 甲村朋子
准教授 吉村公一
講師 納谷和誠
助教 関口公平
助教 宮本千佐
名古屋女子大学健康科学部
講師 橋本侑美