学長あいさつ

学長 佐藤 啓二

学長 佐藤 啓二

愛知医科大学の所在地である長久手市は,1584年小牧・長久手の戦いで名を残しておりますが,2005年日本国際博覧会(愛・地球博)では2,205万人の来場者を迎え,一躍知名度がアップしました。全国住みよさランキングでは,814都市の中で,総合評価4位→2位→2位→3位,快適度は1位→1位→1位→2位とベスト5以内を堅持しております。愛知医科大学の他,愛知県立大学,愛知県立芸術大学,愛知淑徳大学があり,愛知県の中でも有数の文教地区となっています。長久手市の西半分は市街地になっていますが,東半分はモリコロパークを始めとする緑の景観が保存され,優れた自然環境と市街地の利便性が両立した「住みたい街」として,若い世帯の転入が続き,5年間で人口増加率が10%を超え,住宅着工件数も4年連続1位となっています。大学の前の図書館通りは,各種レストランが軒を並べ,隣接する名古屋市名東区から長久手市にかけて,魅力的な店舗が増え,イオンやイケアも出店しました。

愛知医科大学は1972年に建学されています。建学の精神は「新時代の医学知識・技術を備えた教養豊かな臨床医を養成する」「時代の要請に応じて地域社会に奉仕できる医師を養成する」「医療をよりよく発展向上させる為の医学指導者を養成する」です。その後,大学院医学研究科,看護学部,大学院看護学研究科が設置され,現在までに,医学部卒業生は4,107名,看護学部卒業生は1,586名を数えており(旧看護専門学校卒業生は1,485名),有能な医療人材を輩出してきております。

2017年4月には学是「具眼考究」を定めました。「具眼」は「正しくみる」事ですが,「診る」「見る」「観る」「視る」「看る」の全てを含みます。「考究」は「具眼」によって得た神髄を深く考え,それに対して正しく適切に対処して究める事を指します。愛知医科大学における教育のバックボーンとして,深く心に刻み歩んでいきたいと思います。

平成18年7月14日新病院建設委員会が発足し,次いで,平成19年理事会においてキャンパス再整備計画が承認されました。医学部6学年次生,看護学部4学年次生の勉強スペースである「医心館」建設,立体駐車場建設(801台収容),保育園(45名定員)建設に引き続き,2014年5月9日中央棟(新病院棟)が開院し,2017年4月バスロータリー,6月立石プラザがオープンし,2018年3月には立石池周辺道路の拡幅工事が完了し,同年3月にドクターヘリ格納庫整備をもってキャンパス再整備計画が完了し,立石池から見る大学景観は一変し,巨大な中央棟が聳え立っています。また本館7階を改修し,医学部4・5学年次生の勉強スペース(個人用ブース及びグループ学習用テーブル)も設置しました。

情報リテラシー能力(活用能力),生涯学修能力を涵養する目的で,AIDLE-K (Learning Management System) の利用度を上げ,学修履歴や学修成果を蓄積できるePortfolioの開発も進め,総合学術情報センターにはICT支援部門を設置し,講義室の無線LAN環境も整え,ICT教育を充実させるソフト・ハードが充実しました。

研究におきましては,科研費Jump up作戦の結果,申請件数は2013年123件から,2017年227件に増加しました。更にJump up作戦を継続し,300件を超えるところまで頑張りたいと考えております。大学院生や若手研究者に対する研究相談や研究指導を目途とし,2016年度より研究創出支援センターを設置しました。吉川特務教授,鈴木准教授(URA),テクニシャン2名の体制となっており,共同実験室部門,研究支援部門に加えて,バイオバンク部門を立ち上げ,3診療科のバンキングより始めました。私立医科大学の中でもバイオバンクを有している大学は少なく,貴重な研究リソースとして活用できるものと考えております。

医学部においては,2019年受審予定の医学教育分野別認証評価に備え,臨床実習時間を大幅に増加させるカリキュラム改革を推進しています。また分野別認証評価に向けた自己点検評価報告書原案作成も進めており,信頼される大学として,細部に亘る見直しを図っております。

看護学部を中心として,長久手高校との高大連携協定を結び,長久手高校が2018年度から開始する「医療看護コース」における講義や実習指導等を担当する事になりました。

中央棟(新病院棟)開院後,4年が経過しました。1日平均外来患者数は2,639名と私立医科大学の中でも有数の患者数となりました。一方診療における時間価値を重視し,採血採尿センター待ち時間は10分~15分,院内処方待ち時間は10分と短縮させており,外来患者数が30%増加しているにも関わらず,診察待ち時間は25%短縮しました。

2017年度から,新たな診療体制の充実も図っております。がん診療を充実させる為に「緩和ケアセンター」を設け,森教授と前田講師による診療体制としました。がん患者さんへの支援にとどまらず,院内の全ての医師を対象とした「緩和ケア研修会」を繰り返し行っております。「救急診療部」を設け,加納教授(特任)を中心とした体制を整備しました。時間外1・2次救急患者さんへの対応を加速する為に,卒後臨床研修センター教員や研修医・専修医との連携を深めて対応しております。脳血管内治療を充実させる為に,「脳血管内治療センター」として宮地教授,大島准教授による新たな診療体制を構築しました。カテーテルによる血栓除去や動脈瘤ステント留置等,最新技術による最小侵襲治療を受けられた患者数も大きく伸びております。中央棟における急性期病床の稼働率は93.2%となり,平均在院日数も10.7日を下回るようになっており,手術件数は12,000件を優に超えてきました。尾張東部医療圏の中核拠点病院として,重要な役割を果たしております。

災害医療研究センター教員による全国自治体への講演活動も多く,ドクターヘリ格納庫整備事業も終了しましたので,愛知県内の救急災害医療の拠点病院として,南海トラフ大地震に備える役割が増していくものと考えております。

人口減少・少子高齢化の社会が到来しようとしていますが,愛知県における医療需要は2040年以降も増加すると想定されています。愛知医科大学病院が担う特定機能病院,基幹災害拠点病院,高度救命救急センター,難病診療連携拠点病院としての役割は増す一方と考えられます。

多くの患者さんが短期間に社会復帰ができるよう,入院直後から治療を開始できるように入退院支援センターの機能拡充を図り,体力や身体機能を戻す為の集中リハ病棟におけるリハ訓練時間を増加させるように取り組んでおります。愛知医科大学病院を受診していただいた貴重な症例を学生教育に生かし,明日を支える医療人材育成を推進したいと思っております。

愛知医科大学は,21世紀における新しい医療の在り方を提示する為,教育・研究・診療の全てにおいて,効率化推進を実践し,成果を上げてまいります。

プロフィール

略歴

昭和51年3月 名古屋大学医学部医学科卒業
昭和56年3月 名古屋大学大学院医学研究科・博士課程整形外科学・単位取得退学
平成9年4月 名古屋大学医学部助教授(整形外科学講座)
平成9年5月 愛知医科大学医学部教授(整形外科学講座)
平成14年4月 愛知医科大学医学部附属病院病院長
平成17年2月 愛知医科大学副学長・経営改革推進室長
平成17年5月 新病院建設委員会委員長
平成23年6月 学校法人愛知医科大学理事・評議員
平成26年4月 愛知医科大学学長

所属学会

平成3年~平成27年 中部日本整形外科災害外科学会 評議員
平成10年~平成27年 日本小児整形外科学会 評議員
平成11年~平成13年 日本整形外科学会 評議員
平成13年~平成27年 日本整形外科学会 代議員
平成19年~平成21年 日本整形外科学会 理事