@肥満とは
  肥満とは体脂肪が過剰に蓄積した状態です。たとえ体重が多くても、ボディビルダーや重量挙げの選手などは筋肉で体重が増えているために肥満ではありません。一方、体重が多くなくても体脂肪が多い場合は肥満と言えます。 「肥満は万病のもと」といわれるように、色々病気を引き起こします。


  ― 肥満によって引き起こされる病気 ―

  1.糖尿病 体重が増加するとインスリン受容体の機能が低下(インスリンの働きが悪くなる)して、糖尿病になります。標準体重者の2〜3倍の発症頻度があります。
 

2.高血圧症

1:食事量が多いために塩分摂取量が増加し、血圧が上昇します。
2:インスリン受容体の機能が低下するために高インスリン血症となり、体にナトリウムを貯留するように働くために血圧が上昇します。
  3.高脂血症、脂肪肝 (高脂血症の項参照)
4.動脈硬化症

種々の疾患を引き起こします (高脂血症の項参照)

  5.胆石症 標準体重者の3倍の発症頻度があります。
  6.睡眠時無呼吸症候群 夜、呼吸が止まってしまう病気です。アゴが小さく首の太い人に起こりやすい傾向にあります。
  7.癌  男性では標準体重者の1.3倍の発症頻度があります(大腸、前立腺)。女性では標準体重者の3.5倍の発症頻度があります(子宮体、卵巣、乳胆嚢)。子宮体、卵巣、乳癌は女性ホルモン過剰(肥満者では女性ホルモンが高値)と関連し、大腸、前立腺、乳、胆嚢癌は脂肪摂取過剰と関連しています。

 

A肥満の原因
  1.過食 消費エネルギーよりも摂取エネルギーのほうが多い場合、肥満になります。
  2.摂食パターン異常 一日の食事回数が少ないと、太りやすいといわれています。なるべく朝食を抜かず、3回食べるようにしましょう。また夜は消化吸収が良く、夜食も太りやすいといわれています。
  3.運動不足 運動不足は消費エネルギーを減らすのとともに、エネルギーを体内に貯蔵しやすい代謝状態に変化させてしまいます。
  4.遺伝

肥満には遺伝も関係していると言われています。

 

B肥満の判定

 

 

以前は体重による判定のみを行ってきましたが、近年体脂肪率の測定が容易になったために併用して判定を行うような傾向になりました。

 

1.体重で判定する方法   BMI(体格指数) = 体重(kg) ÷ (身長(m) × 身長(m))
   理想22(一番生活習慣病になりにくい身長と体重のバランス、下図参照)肥満25以上

   生活習慣病の有病率

  2.体脂肪率で判定する方法
  体脂肪率を測定する方法には、皮下脂肪厚を測定する方法、水中に体を沈めて体比重を測定する方法等がありますが一般家庭では体のインピーダンス(電気抵抗)を測定する方法を行うことが可能です。 
これは、体重計に体脂肪計が付属しているもので、片方の足に微少な電流を流し反対の足までの電気抵抗を測定してその値から体脂肪率を推定するもので原理としては、「脂肪は電気を通しにくい」という性質を利用しています。
男性20%、女性30%以上で肥満と判定されます。

 

 

 

 

C肥満の病型
 

肥満は脂肪の付き方によって、2種類の病型があります。

   

 

1.上半身(リンゴ型)肥満、内臓脂肪蓄積型肥満

  内臓脂肪とは腸の周りに付いている脂肪のことで、一旦たまっても血液中にもどりやすく、種々の生活習慣病を引き起こす原因になっています。男性、運動不足、甘いものの食べ過ぎによる肥満では内臓脂肪がたまりやすいと考えられています。

 

2.下半身(洋ナシ型)肥満、皮下脂肪蓄積型肥満

  生活習慣病の合併が少ない。上半身肥満か下半身肥満かの判定はウエスト÷ヒップ比によって判定します。ウエストは臍周囲径、ヒップは臀部最大径を用い、男性では1.0以上、女性では0.9以上で上半身肥満、それ未満で下半身肥満と診断します。内臓脂肪蓄積型肥満か皮下脂肪蓄積型肥満かの判定は腹部CTやMRIによって判定します。内臓脂肪(V)と皮下脂肪(S)の面積比(V/S比)が0.4以上または内臓脂肪面積100cm2以上を内臓脂肪蓄積型肥満、それ未満を皮下脂肪蓄積型肥満と判定します。

ウエスト/ヒップ比によって判定

 

ウエスト(臍周囲径

÷

ヒップ(臀部最大径)

上半身(リンゴ型)

 

肥満 下半身(洋ナシ型)肥満

 


 腹部CT、MRIによって判定
内臓脂肪蓄積型肥満
皮下脂肪蓄積型肥満

 

D減量の方法
  では減量するにはどうしたら良いのでしょうか?
  絶食すれば4〜5kg減量することは可能ですし、風邪をひいて2、3日寝込むと減量します。
しかしこのような場合は、脂肪のみではなく筋肉量が減少してしまいます。
筋肉量が減少することはエネルギーの消費場所が減ることになり、あまり良い痩せかたとはいえません。
また、急激な減量は骨粗鬆症・貧血・便秘・脱毛や肌荒れを引き起こす心配があります。

 

 

― 月1kgやせるためには ―

  脂肪組織に脂肪は80%あり、脂肪1gを燃焼させると9kcal発生します。
すると1kgやせるには、1,000×0.8×9=7,200kcal燃焼することが必要です。1か月で1kgやせたいときは1日に、7200÷30≒240kcal燃焼することが必要です。
当センターでは月2kgの減量を基 準に実施しており、その場合は1日に480kcalとなります。
それを、運動消費エネルギーと栄養制限エネルギーに配分します。 

 

E脂肪を燃やするために適切な運動とは
  エネルギー消費の過程で主に脂肪をエネルギーとする運動を有酸素運動といいます。
ジョギングやウォーキング、サイクリング、長い時間泳ぐ水泳、水中ウォーキングなど、長い時間無理なく続けられる運動がこれにあてはまります。
また短距離走やウエイトリフティングなど瞬発的に大きな力を必要とする運動を無酸素運動といい、主に糖質をエネルギーとします。
肥満の解消には有酸素運動が適していることがいえます。
下の80kcalの運動交換表で運動強度U.軽いまたはV.中等度の運動が具体的には望ましいといえます。
1回10分〜40分の運動を週3回〜5回行なうと効果的です。

 

運動の強さ

1単位あたりの時間

運動(エネルギー消費量 ,kcal/kg/分)

 T .非常に軽い 

30分間くらい続けて1単位 

散歩( 0.0464),乗物(電車,バス立位:0.0375),炊事(0.0481),家事(洗濯・掃除:0.0471〜0.0499)一般事務(0.0304),買物(0.0481)

 U .軽    い

20分間くらい続けて1単位

歩行( 70m/分:0.0623),入浴(0.0606),階段(おりる:0.0658),ラジオ体操(0.0552〜0.1083),自転車(平地:0.0658),ゴルフ(平均:0.0835)

 V .中 等 度

10分間くらい続けて1単位

ジョギング(軽い: 0.384),階段(のぼる:0.1349)自転車(坂道:0.1472),歩くスキー(0.0782〜0.1348),スケ ート(0.1437),バレーボール(0.1437), 登山(0.1048〜0.1508),テニス(練習:0.1437)

 W .強    い

5分間くらい続けて1単位

マラソン( 0.2959),なわとび(0.2667),バスケットボール(0.2588),水泳(平泳:0.1968),ラグビー(前衛:0.2234) 剣道(0.2125)

※1単位は80kcal相当