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平成27年度研究概要

これまでの慢性痛研究での15%以上が慢性の痛みを有し、これらに対して有効な医療が
行われないため、医療経済的損失や社会損失を引き起こしている事がわかっている。
慢性の痛みには患者数が多い運動器の痛みや、罹患率は低いが強い痛みが続く難治性の
疼痛疾患があり、多くの医療者が対応に苦慮している。これらは神経機能異常を含めた
器質的な要因だけでなく、心理社会的な因子が関与していることがわかってきている。
その為、欧米諸国では各領域の専門家が集まって診断・治療を進める集学的(学際的)
痛みセンターが構築され、慢性痛を生物心理社会概念で捉えた医療が行われ、良好な成
績が得られることが報告されてきている。これまで厚生労働研究班では、本邦の医療シ
ステムに適合した慢性痛治療体制の構築を目的として、諸外国の取り組みや現状の問題
点などを研究し、18施設で集学的慢性痛診療体制(チーム)による診断・治療介入を試行
してきた。診断・評価ツールを開発し、病態の把握と認知行動療法的な面に重点を置い
た介入・治療の効果について調査を進めてきた。その結果、難
治性の疼痛症例において
も個々の違いはあるものの、全体としては痛みの程度、生活障害度などの改善が有るこ
とがわかってきた。しかし、縦割り医療の中で集学的な診療体制を構築し根付かせるた
めには、これらの診療システムの社会的有益性の検証や、どのような慢性痛患者につい
て有効性が高いかの検証を行い、医療経済を含めて本邦の医療に適合するものを構築し
ていく事が必須である。また、慢性痛は医療の問題にとどまらず社会の問題であること
はこれまでの研究で明確化されてきている。そこで今回の研究では、1)チームでの分
析結果を治療経過なども含めて多角的に解析し、ターゲット患者群を分類する。2)そ
の上で、運動療法、教育・認知行動療法的アプローチを組み合わせた介入の治療効果に
ついて検証する。尚、これらについては集学的チームのシステム(ユニット型とそれ以
外)の差、集中プログラムと通常外来で進めた場合との差について研究する(平成28
-
29年度)。3)介入前後での医療経済的な面を含めた社会損失の改善効果についての
調査(平成27
-28年度)を行なう。4)社会の問題でも有る慢性痛の問題点と対処法
について
NPOいたみ医学研究情報センターや患者団体と協力して国民に対して普及啓発
を進める。



慢性の痛み対策研究事業研究代表者 所属施設
愛知医科大学学際的痛みセンター

〒480-1195
愛知県長久手市岩作雁又1-1
TEL 0561-62-3311
FAX 0561-62-5004