口は消化管の入口であることから、飲酒、喫煙の影響を大きく受けると考えられます。
日本では口腔・咽頭がんが少ないため、喫煙や飲酒習慣のある人とそうでない人を長期間追跡してどの程度口腔・咽頭がんに
なりやすいかを調べる研究(コホート研究)の報告はあまり多くありません。
そこで、私たちは1988〜1990年に全国36地区で喫煙、飲酒、緑茶および緑黄色野菜の摂取に関する質問に回答された男性46,465名、
女性64,327名について約12.5年追跡したデータを分析し、学術雑誌(Oral Diseases 2008; 14: 314-9.)
に発表しました。ここでは、その概要を紹介します。
喫煙は男性の口腔・咽頭がんのリスクを2.6倍高める
喫煙についてのアンケートの回答から、「すっている」、「以前はすっていたが止めた」、「すわない」の3つのグループに分けました。
そして、「すわない」を1とした場合の「以前はすっていたが止めた」、「すっている」のそれぞれの危険度(相対危険度)を
男女別に計算しました。危険度は、喫煙以外に口腔・咽頭がんに影響する可能性があるその他の要因を考慮し、
すわないグループを1として計算されました。
その結果、図1のように、たばこをすっている方は、男性では2.6倍、女性では8.2倍、口腔・咽頭がんで死亡する危険が
高くなっていました。

一日あたり2合以上の飲酒は男性の口腔・咽頭がんのリスクを3.2倍高める
アンケートに基づき、飲酒習慣を「ほとんど飲まない」「以前は飲んでいたが、今はやめている」「1日あたり2合未満の飲酒」、
「1日あたり2合以上の飲酒」に分類しました。
そして喫煙と同様に、「ほとんど飲まない」を1とした場合の「以前は飲んでいたが、今はやめている」、
「1日あたり2合未満の飲酒」、「1日あたり2合以上の飲酒」それぞれの危険度(相対危険度)を計算しました。
その結果、図2のように、1日に日本酒換算2合以上のお酒を飲んでいる人は、男性で3.2倍、口腔・咽頭がんで死亡する危険が高く
なっていました。一方、以前は飲んでいたが今はやめている人、2合未満の男性ではリスクの上昇は認められませんでした。
女性では、関係は特に見られませんでした。

以前から、口腔・咽頭がんに喫煙習慣、飲酒習慣が関係していることは言われていましたが、日本人を対象とした研究でも
同様の結果が得られたことは重要です。
諸外国と同様、日本においても口腔・咽頭がん予防に対する基本的な考えは、喫煙と多量の飲酒を控えることといえます。
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