新任教授のご紹介 瓶井 資弘

瓶井 資弘

網膜手術のエキスパート

瓶井 資弘 (カメイ モトヒロ)

眼科 平成27年9月1日就任

外来担当日 月・水・金曜日

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専門領域 網膜硝子体疾患
硝子体手術(網膜剥離,増殖性硝子体網膜症,糖尿病網膜症,黄斑円孔,黄斑上膜など)
網膜静脈閉塞症,加齢黄斑変性
白内障手術
認定医・専門医等
  • 眼科専門医・指導医(日本眼科学会)
  • 眼科PDT認定医(日本網膜硝子体学会)
  • 身体障害者福祉法指定医師
  • 臨床修練指導医(厚生労働省)

診療についての抱負

座右の銘

座右の銘

平成27年9月1日付で愛知医科大学眼科学講座教授を拝命しました瓶井 資弘(かめい もとひろ)と申します。よろしくお願い申し上げます。
私は,生まれも育ちも大阪市内で,昭和63年に大阪大学を卒業し,眼科に入局しました。当時の教授の口癖が「なんでや?」でした。これにより,常に原因・メカニズムを考えることを叩き込まれました。「治らない病気を治す」ことに情熱を傾けている先輩達に囲まれて育ち,網膜硝子体疾患の専門家になることを志しました。
網膜硝子体は眼の奥の部分であり,一般に眼底と呼ばれる部位です。眼底出血や網膜剥離,加齢黄斑変性などがよく知られた病気だと思います。眼底出血は糖尿病や高血圧・動脈硬化と言った生活習慣病(かつては成人病と呼ばれていた)に合併するので,患者さんの数はとても多く,高齢化に伴い今後も増え続けることが予想されます。
網膜硝子体疾患の治療の中でも特に手術治療を得意としており,網膜剥離,糖尿病網膜症,黄斑疾患(黄斑円孔・黄斑前膜・黄斑浮腫など)に対する手術を,これまで3000件以上執刀してきました。基本的な手術である白内障手術はその倍以上の執刀経験があります。

また,眼内注射やレーザーを駆使して治療する網膜静脈閉塞症の治療では日本を代表する眼科医として,国内のみならず海外での講演もおこなっています。

さて,五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)のうち,眼から入る情報が8割とも言われています。字が読めなくなる,視野が狭くなる,眼が見えなくなると言うのはとてもつらいことです。患者さんが少しでも視力を取り戻せるよう,あらゆる技術,最先端の器械,最新の治療法を使って治療に当たりたいと思います。しかし,既に進行した状態であったり,現代医療ではまだ治せない病気もあります。そんな患者さんの一人がおっしゃった言葉に「見えないことは不自由であるけど,不幸ではない」と言うものがあります。ロービジョンケアにも力を入れて行きたいと考えておりますので,持てる視力で前向きに生きていくことをサポートして行きたいと思います。
一人ひとりの患者さんの幸せを願って,ベストの治療を提供していきます。「愛知医大の眼科にかかって良かった」と言ってもらえるよう,看護師・検査員と一丸になって頑張ります。

学歴・職歴等

昭和63年 3月 大阪大学医学部医学科卒業
昭和63年 5月―平成 2年 6月 大阪大学医学部附属病院 眼科 臨床研修医
平成 2年 7月―平成 6年12月 国立大阪病院 眼科 医員
平成 7年11月―平成12年 3月 大阪大学医学部 眼科学講座 助手
平成 8年 9月―平成11年 9月 米国留学,クリーブランドクリニック財団コール眼研究所
平成12年 4月―平成12年 8月 大阪大学医学部 眼科学講座 講師
平成12年 5月 博士(医学)学位取得(大阪大学)
平成12年 9月―平成14年 3月 京都府立医科大学 眼科学講座 講師
平成14年 4月―平成17年 3月 大阪大学大学院医学系研究科 眼科学講座 講師
平成18年 2月―平成27年 8月 大阪大学大学院医学系研究科 眼科学講座 准教授
平成23年 4月―平成27年8月 大阪大学医学部附属病院 病院教授(眼科) 併任
平成27年 9月 愛知医科大学 医学部 眼科学講座 教授

診療実績

過去3年間の主な疾患別手術実績

水晶体再建術 1,091件
硝子体茎顕微鏡下離断術 802件
増殖性硝子体網膜症手術 82件
網膜復位術 57件
黄斑下手術 3件
人工網膜移植術 3件

フォトアルバム

インタビュー

ご専門分野について教えてください

一般に眼底といわれる眼の中のいちばん奥にある組織で,カメラで言ったらフィルムにあたる役割を果たしているのが網膜。頭につながる視神経が眼の内側に引っ付き,眼球の全体を満たしている卵の白身のようなところが硝子体。そういう網膜や硝子体に病気が出た時に治療をするのが私の専門分野です。
患者さんの症状は,視力低下,歪んで見える,見えない部分がある,急に真っ暗になって見えなくなる,カーテンが降りてきた,などがあります。
疾患としては,糖尿病の三大合併症といわれる糖尿病性網膜症が非常に多く,眼底出血を起こしたり,網膜剥離,増殖網膜症,血管新生緑内障を発症すると,失明に近い状態になってしまいます。日本の失明原因の4割が網膜の病気と言われており,糖尿病の網膜症がひどくなると,増殖性症糖尿病性網膜症あるいは網膜剥離がこじれた状態で増殖性硝子体網膜症を起こします。この状態になると網膜という神経の薄い膜に,かさぶたのようなものが張り付いてきます。それはちょうどティッシュペーパー(網膜)の上にチューイングガム(かさぶたのようなもの)が引っ付いたような状態です。
治療は,網膜硝子体手術を行います。網膜は神経の薄いシートなので傷つけてしまうと,もうそこでダメになってしまうため,網膜に傷をつけないようにして上に着いているかさぶたをきれいに剥がします。一気に取ると下のものが破れてしまいますので,少しずつ時間をかけて丁寧にかさぶたを取り除いていきます。
手術の器械も改善され,かつては片手でしか取れなかったものが,今は,両手で持って取ることができるようになり,手術時間は大幅に短縮されています。私は,手術の器械を開発したり,新しい手術のやり方を開発したり,今まで10数件,手術の方法も含めて発表してきました。最近も,私の名前のついた鑷子(せっし)が世界的に発売されています。今までのピンセットは両方の先が動いていましたが,この鑷子は片方の先だけが動くもの。遠近感がとりやすい。使いやすくなって,初心者の先生も楽に手術ができるようになり,網膜の手術に携わる医師が増えています。

眼科を志望されたきっかけは何ですか

学生の頃のテレビ広告で「初めて見えたのは,先生の大きな手でした」という角膜提供を呼びかけるものがあって心を動かされ,これをやろう!と眼科医になりました。実際,見えなかった患者さんが見えるようになると,非常に喜ばれる。人に喜ばれる眼科を選んで,本当によかったと思っています。
外科の手術はたくさんの先生が共同で行いますが,眼科の場合は,助手の先生が付くものの基本は自分ひとりで行います。手術の成果は,ひとりの腕にかかっているわけです。手術で名をあげたい,手術が好きだという人に向いているのが眼科といえるでしょう。

趣味や特技はありますか

趣味は,本を読むこと,料理すること(後片付けは嫌いですが)。学生時代は,勉強しないでヨットばかりやっていました。

座右の銘や好きな言葉はありますか

「人間万事塞翁が馬」です。世の中,なかなか上手くいかないことがあったり,非常に上手くいって喜ぶこともありますが,とにかく一喜一憂をしないこと。目標を決めてそこに向かって邁進していると,上手くいかない時もそれがかえって次のステップに役立つことがあります。辛い時やしんどい時にくよくよしない。その時々の状況に左右されない。遠くの目標に向かって進んでいこうという時に,非常にいい言葉だなぁと思います。

現在,取り組んでいることはありますか

15年ほど網膜静脈閉そく症を専門に取り組んでいます。病気としては,脳梗塞や脳卒中といわれているものと同じで,ベースにあるのは高血圧,動脈硬化です。血管が固くなって静脈が押さえられて,そこでパンと破裂する。血管から血がでて,網膜に広がるというような病気です。視力は,中心静脈がつまるとドーンと落ちてしまいます。枝だけがつまっている栓塞症のときは,中心に近いところで出血があれば,ものが歪んで見えたり,視えにくくなったりして診察にやってきます。治療法としては,今まではレーザー光線でも治療をやっていましたが,失明は回避できるという程度で,思うように良くはなりませんでした。今は,良い注射ができていて,むくみを取ることができるようになりました。視力を完全に回復させるためには,注射も繰り返しうたなくてはならず,患者さんは辛い思いをしています。その課題を何とかしなくてはいけないということで,薬の研究をずっとやってきました。根本的な治療ということで,1回詰まった血管の血行を再建するため,血流を促す薬を開発しています。もう少し開発を進めていかなくてはいけませんが,そういうこともできるようになりつつあるという状況です。治らないものを何とかしたいという思いを抱いて取り組んでいます。

患者さんへの想いを教えてください

私たちが専門とする網膜の病気は,失明原因の半数近くを占め,思うように見えるようにまで回復できない患者さんもいらっしゃいます。そういう患者さんが「見えないということは,不自由だが,不幸ではない」「視力の悪い状態でも,いろんなことを活動的にやろうと思えば,見えている人以上に楽しくできる」と言われたことがあります。
私たちは,治療として手術をしたり薬を出したりするだけでなく,患者さんに前向きに暮らしてもらう,人生を楽しんでもらうことを考えてアドバイスすることも大切な役割の一つです。「見えない方でもこんなことをしていますよ」とお話をして,患者さんを勇気づけ,背中を押してあげることを心がけています。

今後の夢や目標を教えてください

私の専門分野である網膜硝子体手術で,日本をリードする施設にしていきたい。そのためには,医者だけではなく,看護婦さんや検査の方,医療事務の方を含め,愛知医大眼科チームとして日本の眼科医療のリーダーになっていく気概とプライドを持って進めていきたいと考えています。そうすることで,スタッフの皆さんが働きがい,生きがいを持つことができるのではないでしょうか。
その結果として,人が集まる眼科になることで,ドクターも愛知医大で修行したい,愛知医大で見えない人の治療にあたりたいという人が集まってくれるような医療機関を目指していきたいと思っています。
また,15年ほど前から始まった人工網膜の開発に携わってきましたが,今ようやく慢性臨床試験が終了し,実用化の段階に入っています。愛知医大でもこうした視えない人に使えるような出口のはっきりした研究に積極的に関わっていきたい。なかなか上手くいかないこともありますが,新しく血管の再生や,血流を再生する薬の実用化などを10年位の計画で着手し,愛知医大から新しい治療法を提示していければと考えています。

患者さんへのアドバイスをお願いします

病気は,早期発見,早期治療が大切です。「どうしてもっと早くこなかったの」「もっと,はやくくれば,助けてあげられたのに」という方がたくさんいます。とにかく早期に,眼科を受診していただきたいと思います。
両目があると遠近感がとれるため,片目が悪くなっても気づきにくいことがあります。時々手で片目を隠して,見え方を確認してください。それが早期発見につながります。病院に行くと,無理やり手術をされたりするといって嫌がる方がいますが,そんなことは絶対にありません。手術が嫌な方には,他の治療法をお勧めしますので,是非,愛知医大で受診してください。
おかしいなと思ったら,早めに受診することが大事です。