細胞治療センター

先進的な医療として将来的にも期待されているリンパ球を用いたがんの免疫療法や組織の修復・再生などを目的とした細胞医療では,患者さんから採取した細胞を,その目的に応じて活性化,分化,増殖させる必要があり,この作業には熟練した作業員と管理された衛生環境を備えた施設が必要となることから当細胞治療センターが設置されました。
現在では,細胞の加工だけでなく,外来も設置し,外部機関で調整された細胞を用いた治験や臨床研究にも対応するセンターとなっています。

ごあいさつ

部長 加藤栄史

部長 加藤栄史

これまで,種々の病気に対して,投薬,放射線療法,手術などが標準的な治療として行われ,また,造血幹細胞移植や生体肝移植などの移植医療も多くの施設で行われ,多くの患者さんの命が救われています。しかし,これらの治療法では効果のない患者さんや移植ドナーの不足によって移植医療の恩恵を受けることが出来ない患者さんもおられます。そのため,新しい治療法として,再生医療や免疫細胞療法などヒトの細胞を用いた細胞療法の研究が盛んに行われ,今後の発展が期待されています。
愛知医科大学病院細胞治療センターは,医療分野において有用な治療法と期待されている細胞治療に関する治療ならびに研究を行っております。また,当センターはヒトに投与する細胞の品質管理などを厳重に行うために,国の管理基準を準拠した施設を有し,安全な細胞治療を実践しています。
今後,当センターは再生医療や免疫細胞療法などの新しい医療を実践することを目標として日夜,診療,研究を行ってまいります。

業務案内

細胞治療センターでは,無菌的細胞加工やそれらを行うCPC (Cell Processing Center)の管理・運営と,再生医療や免疫細胞療法などの細胞治療に関する外来・治療などの診療を実施しています。

細胞処理とCPC管理業務

治療用細胞の培養,品質検査

幹細胞培養の様子

幹細胞培養の様子

患者さんから採取された細胞・組織から必要な細胞を分離します。その後,治療目的に応じて細胞を処理・増殖させ,患者さんへ投与・移植します。また,投与・移植前には,細菌混入がないこと等を検査します。
ヒトに投与する細胞を作製するにあたっては,細菌などの汚染を防止するための衛生管理や投与細胞の品質管理などが重要であり,当センターは国の管理基準であるGMP (good manufacturing practice)基準に準じた施設で行っています。これまでに多くの患者さんに細胞治療を実施していますが,投与細胞への細菌汚染は無く,安全に投与されています。

CPC管理業務

CPCは全体が大きなクリーンルームとなっており,空調や室圧などで外部からの空気の流入を防ぐと共に細菌等の流入を防いで保ち,衛生的な空間を維持しています。また機械的な空気の流れの管理だけでなく,作業者の入退室や資材の搬入出をはじめ,作業方法・手順についても厳密に管理しています。また,細胞処理や試薬の保管においても,患者間の相互汚染,取り違えを防ぐ管理工夫を行っています。

1) 衛生管理
  • 環境モニタリング(機器,室温・室圧・浮遊微粒子,湿度)を24時間専用システムにて管理しています。異常発生時,複数の管理者の携帯電話に通報され対応しています。
    環境モニタリングシステム

    環境モニタリングシステム

  • 常に無菌性を維持するため,作業終了毎に消毒を実施しています。また週1回環境菌検査を行い,無菌的な環境が維持されていることをモニタリングしています。
    CPC内へ持ち込まれる生体材料や物品,作業者の服装などについて手順書に従って行っています。
    環境菌検査

    環境菌検査

    作業時の服装

    作業時の服装

  • 施設・機器の定期検査
    施設および培養に用いる機器が適正に稼動しているかを,外部の専門業者へ依頼し検査してもらいます。結果は文書で保管しています。(年1回実施)
2) 患者治療スケジュール・治療中および治療後データ管理

治療を行う患者さんのスケジュールを調整します。また,治療中・後の検査値を治療へ役立つようにデータベース化しています。

3) GMP書類・SOP作成・更新

安全に作業を行うため,GMP書類,SOP(標準手順書)の整備等を行っています。

臨床研究

「脂肪組織由来間葉系ストローマ細胞を使用した臍帯血移植時における新規生着促進療法の安全性に関する臨床研究」

1) 概要

同種臍帯血移植は白血病などの血液疾患に対して,根治を目指した治療法であり,現在,多くの医療機関で実施され,良好な成績を挙げています。しかしながら,多くの理由により,移植された細胞が患者さん体内で育たない(生着不全)や造血回復の遅れなどが認められています。本臨床研究は,この臍帯血移植の欠点を補うことを目的に,患者さんと異なる第三者の方の脂肪組織から作成した間葉系ストローマ細胞を同時に使用して,臍帯血移植を実施して,生着の向上を図ることが目的です。
本臨床研究は,平成30年9月21日に開催されました第33回再生医療等評価部会(厚生労働省)にて承認されました。近々,実施する予定です。

2) 患者さんへの対応

患者さんから当院で行っている臨床研究については,当院の血液内科で治療されている患者さんが対象となります。本臨床研究についてのお問い合わせは,医師が血液内科外来にて具体的に説明します。

愛知医科大学病院における細胞治療の位置づけとセンターの取り組み

当院では,歯髄(歯の神経と言われている部分)を用いた顎骨の再生,三重大学との共同の医師主導治験としてがん特異抗原を認識する免疫細胞を用いた治療法を実施してきました。(現在は終了しています。)さらに,新しい再生医療として,「脂肪組織由来間葉系ストローマ細胞を使用した臍帯血移植時における新規生着促進療法の安全性に関する臨床研究」を実施する予定です。高度な医療の提供を目指す愛知医科大学病院の一つの特徴と言えます。
また,この細胞療法の実施を通じて,医薬品としての細胞を加工する施設の運営ノウハウの蓄積を積み重ねており,細胞加工技術の向上,研究に取り組んでいます。

キーワード

細胞治療センター,再生医療,免疫細胞治療,治験,CPC

関連リンク

化学療法剤投与による前処置後のMAGE-A4・NY-ESO-1抗原特異的TCR遺伝子導入Tリンパ球輸注による固形癌を対象とした多施設共同臨床第I相医師主導治験について
三重大学大学院医学系研究科遺伝子・免疫細胞治療学

連絡先

電話番号
0561-62-3311